第二百九十一話 いとこ登場
「お母さん並みの戦闘力・・・フ○ーザ様が来ようと地球は安泰ね」
「それには流石に勝てないと思うけど」
いくらお母さんでも、惑星破壊する相手には勝てないと思います。勝てない・・・わよね?
「立ち話もなんだわ、家に落ち着きましょう」
農園の中を突っ切り叔母さんの自宅へと歩きます。10分程で3階建ての白い家が見えてきました。
「ただいま、お客様を連れて帰ったわよ!」
「いらっしゃい、久しぶりですね」
人の良さそうな男性が笑顔で迎えてくれました。この方が多分叔父様でしょう。
「義兄さん、お久しぶりです。今日明日と一家でお世話になります」
「身内なんだ、他人行儀にしなくても。そうそう、今日と明日は近くで桃祭をやるから見に行くと良い」
「確かテレビの取材も入るの。結構盛大にやるみたいだから期待して良いわよ」
桃祭開催もテレビの取材が入るのも私は知っています。そのレポートをする仕事を受けたのがユウリなので。
「でも、取材に来るタレントが倒れたとニュースで報道していたぞ。中止になるかもしれないな」
「あら、残念だけど取材は中止かしら」
私が代役になった事は伝わってないようです。と思っていると由紀が暴露してくれました。
「あれ、ユウリさんがレポートする事になったはずよ」
その言葉が放たれた瞬間、ドタバタと階段を駆け降りる音がして少女が飛び込んできました。
「それ本当に?本当に脳力試験のユウリさんが来るの?」
凄い勢いで階段を駆け下りて来た少女は由紀の胸ぐらを掴み、ガクガクと揺さぶりながら質問を繰り返します。
「京華、それじゃ何も話せないわよ」
「あっ・・・」
叔母さんの指摘に手を離す京華さん。察するに、私達のいとこなのでしょう。
「けほっ、河の向こうでロザリアちゃんがおいでおいでしているのが見えたわ。行って抱きしめたかった・・・」
「それ、お迎えだから行ったら駄目な奴だから!でもお迎えが由紀らしくて納得しかない!」
悪なりで凛ちゃんと一人になる本来の公爵令嬢。何度も破滅する未来を繰り返し、疲れ果て凛ちゃんの体を渡すと言うシーンは何度見ても涙ものです。
「悪なり談義は後でじっくりやるとして、ユウリさんが来るっていうのは本当?」
「本当よ。情報源は言えないけど確かな情報よ」
自信を持ってキッパリと言い切る由紀。本人からの情報なので確実である事は保証します。言えないけど。
「ゴメンね、京華は私の娘なのだけどユウリさんの大ファンなのよ」
またこのパターンですか。芸能人なのでファンが多い分には有難いのですが、正体がバレたらエラい事になりそうなので気をつけなければなりません。
「私も大ファンだよ。他にはどんな声優さんが好き?」
「え?私声優さんは好きじゃないんですけど・・・」
同好の士を見つけたとはしゃぐ由紀に、見事にカウンターパンチがヒットしました。




