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番外編 夫婦の出会い①

お父さんとお母さんの出会いとなる番外編です。

本編には直接関係ありませんが、両親の異常な人脈の理由がわかります。

 ホワイトデーの騒動も終わり、落ち着いた小春日和の午後。お役御免となった炬燵布団や火鉢を物置に片付けていると物置の奥に甲冑のような物を見つけました。


「西洋甲冑だと思うけど、何でこんな所に?」


「あら、懐かしい物を見つけたわね。これはお母さんがお父さんと出会った時に持っていた物なのよ」


 錆びる事なく美しい光沢を放つ金属の鎧を見つめるお母さん。出会いの時に持っていたって、まさかお父さんはこれを着てお母さんに会ったのでしょうか。


「金属鎧着るって、同人誌の即売会かコスプレ大会の会場で会ったの?」


「そんなほのぼのとした場所ではなかったわね。どういう経緯だったかはお父さんに聞いた方が詳しく教えてくれると思うわよ」


 その言葉に後ろに居るお父さんを見ると、少し困ったような表情でお母さんを見ていました。お母さんとの出会いを言うのが恥ずかしいのか、耳が赤くなっています。


「娘達に言うなとは言わないけど、俺が言わなきゃ駄目か?お母さんから言っても・・・」


「あら、お父さんがどういう経緯で私の所に来たのかとか、この鎧の出自はお父さんが言わないとね」


「お父さんとお母さんの出会い、聞いてみたい!」


 両親の異様な人脈の元がそれにあるらしいので、私は聞いてみたいような恐いようなで判断をお父さんに任せます。お父さんは期待する由紀の眼差しに負けたようで、場所をリビングに移す事になりました。


「では話そうか。あれはお父さんの初めての本を出版する時の事だった。出版社で担当さんと打ち合わせをしていて、挿し絵を誰に頼むかという話になった。イラストレーターさんをチェックしていたお父さんは、お母さんの名を挙げたんだが担当さんは困ったような顔をしたんだ」


〜お父さんの回想〜


 出版社の談話室。若い頃の俺と困った顔をした担当さんがコーヒーを飲みながら担当してもらうイラストレーターについて話していた。


「その人は現在、海外旅行に行っていて連絡つかないのですよ。滞在している場所は判ってるのですが」


「ならば承諾をとりに行きます!」


 お母さんの絵に惚れ込んでいた俺は、お母さん以外に依頼する相手は考えられなかった。なので例え海外であろうとも承諾を得るために会いに行く事に躊躇は無かった。


「その国は部族間の内乱で戦争状態なのですよ。まともな手段では渡航できません」


「・・・少し考えさせて下さい」


 会いに行く事は難しく、仕事を依頼する事はほぼ不可能だと言われてしまった。それでも俺は引き下がらなかった。それ程お母さんのイラストに惚れ込んでいた。

番外編は⑳までは一日二話を十二時と一八時に更新します。㉑まで続きます。

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