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第二百七十七話 使える者はJKでも使う

「そこの君、これを経理部の日進さんにお願い!」


「あっ、ついでにこれを経理の南古谷さんに!」


「わかりました!」


 仮で総務部に配属されて私は、目の回るような忙しさを体験しています。仕事は雑用だけなのですが、次から次へと仕事が生まれます。


「日進さんと南古谷さんに書類をお持ちしました!」


「こっちこっち」


「ありがとうね。帰るときこれをお願い」


 指示された書類をそれぞれ渡し、逆に総務に渡す書類を受け取り踵を返します。


「見ない顔だけど、あれ誰だ?」


「臨時バイトの高校生よ。仕事早いし正確だからかなり重宝がられてるわよ」


 私を初めて見た社員さんが隣の同僚に聞いています。口を動かしていても手の動きの素早さは落ちていないので、修羅場慣れしている歴戦の戦士なのでしょう。


「おいおい、さっきあの子に持たせたの社外秘の書類だろ?大丈夫なのか?」


「あの子は社長が保証してるから大丈夫よ。それに北本夫妻の御令嬢だから」


 離れてしまったので続きは聞けませんでしたが、私の身元は経理部内に広がるでしょう。御令嬢呼びは止めて欲しいところですが、戻ってそれを言う余裕はありません。


「おい、この数字おかしいだろ。誰かチェックお願い!」


「今は誰も手が・・・遊ちゃんお願い!」


 会計のチェックを頼まれましたが、一応部外者の私がやって良いのでしょうか?確認する意志を込めて課長の方を見ます。


「北本君、頼む。何か言われたら責任は私が取るから。間違えてる部分にマーカーで印を入れてくれ」


 そこまで言われてはやらない訳にはいきません。書類とマーカーを受け取り、合計値の計算がズレている部分にチェックを入れました。


「出来ました。恐らく入力されている計算式のセルがズレてますね」


 表計算ソフトで作られた会計書だったのですが、計算すべき項目の隣の項目で計算されていたようでした。


「ああ、ありがとう。しかし早いな」


「算盤をやっていたので、計算は得意なんです」


 無節操に習い事をやっていたので、当然その中には算盤もありました。なので自然と暗算の能力も鍛えられたのです。


「それじゃこれのチェックもお願い!」


「あっ、ズルい。こっちもお願い。課長、構わないですね」


 課長が反対しなかったので、私は使われていない机を専用に与えられ高く積まれた書類のチェック作業に追われるのでした。 

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