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第二百六十一話 晴れた疑い

「ちょっと確かめさせてね」


 女子生徒が久喜さんの髪を軽く引っ張りました。ヅラが落ちるなんていう事はなく、髪に引かれた頭は少し動くのでした。


「間違いなく自毛ね」


「ユウリさんのあの髪を無理やりヅラに押し込んだら浮かないかしら?ヅラで誤魔化すのは無理があるわよ」


 実際に一度試してみたのですが、どうやっても浮いてすぐに分かってしまうのです。私の経験から出た言葉は説得力があり、クラスの皆も納得してくれました。


「それもそうね。このクラスにはユウリさんはいないのね」


 教室中の皆が落胆しました。中には手をついて涙する男子もいたのです。そんなに悲しまなくても、と思ってしまいました。


「クラスに正体を隠した芸能人がいるなんて、ネット小説の中だけよ。さあ、お昼食べましょ」


 この騒動で昼休みの残りが少なくなっていました。お昼御飯抜きでの授業は育ち盛りの私達にはキツイので、急いでお弁当を食べました。


「はぁ・・・生ユウリさんに会えると思ったのに」


「生きる希望が・・・」


 何だかゾンビみたいになってる人もいますが、自力で回復して下さい。勘違いして勝手に沈んでいるのをフォローする気はありませんから。


「な、何だか変な空気だな」


「お気になさらずに。勘違いした人達がいるだけですから」


「そうか。今日は試験に出る大事な所をやるぞ!」


 真っ白になって聞いてない人もいるのに。先生、鬼だわ。

何故か上機嫌で授業を進める先生。終鈴が鳴ると同時に爆弾発言をかましてくれました。


「今日はこれで終わり。なお、次の試験で赤点をとった者は俺に美人のお姉さんを紹介するように。それを出来なければ留年だからな!」


 それを聞き我に帰るゾンビ擬きの生徒たち。但し、顔色はゾンビのように真っ青です。


「そんな無茶な!」


「人身御供を差し出せと!」


「異論は認めない。それでは今日は終了!」


 パニックに陥る生徒を尻目に、お姉さん楽しみだな~と鼻歌混じりに出ていく先生。教室に残された生徒達は混乱の渦に叩き込まれました。


「ノート貸してくれ!」


「断る!復習しなくちゃ!」


「絶対に赤点は回避しなければ!」


 騒がしくなった教室を気配を殺して脱出します。今日も仕事があるので、時間を取られるわけにはいかないのです。


「遊、待って!」


 友子が引き留めますが、ノート目当ての連中に囲まれた友子を救い出す時間はありません。

 友子、あなたの犠牲は忘れないわ。その犠牲に応えるためにもちゃんと仕事をしてきます。


 友子の叫びで気付かれそうになったものの、無事に教室を抜け出して仕事に向かいます。スタジオでは出演者のKUKI君が中々来なくて、皆がやきもきする一幕がありました。


 どうして遅れたんでしょうかねえ、私には全く分かりません(笑)


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