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番外編 先端を走る者達

初詣の前に番外編があったので投下。

 暗い、明かりの無い部屋。そこには数人の男女が円形のテーブルを囲み座っていた。


「・・・そろそろだな」


 誰かの呟きが合図であったかのように壁が発光し、ローブを被った九人の人影を映す。


「全員揃っているようですね、始めましょう。まずはAI班からお願いします」


「AI班です。自立型AIの完成は目処が立ちました。データ収集のため、例のプロジェクトに移行します」


「うむ、VRMMO計画だな。楽しみだ」


「ロボット班のあれと組み合わせれば、2頭身のサムライロボットが実現出来るな」


「無論、語尾は~ナリだな。これだけは譲れん」


 飛び交うセリフから高度な科学知識と技術を持った集団であろう事は予想出来るが、方向性が残念な雰囲気を醸し出している。


「検証班です。四次元鞄の実用は大成功です。試しに渡した数人も問題なく使えているようです」


 まだ若い声の少女の報告に、怪しげな会議の参加者は喜色を露にする。


「よし、これで半月型のボケットに組み込めば!」


「長年の夢の一つが実現する!」


 皆が喜ぶ中、一人の男性が疑問の声をあげた。


「検証班に聞きたい。一般人に鞄を使用させたようだが、機密は守れるのか?我らの技術は守られねばならん」


「うむ、間違えても国なんて愚かな連中の手に渡る事は避けなければな」


 一同は検証班と名乗った少女に注目する。しかし当の少女は臆する事なく堂々と答えを返してみせた。


「その心配はありません。相手は私の親友で、目立つ事を嫌う人間ですから」


 微笑み即答する少女。最後に小さい声で本人目立ちまくってるけど、と呟いた声は誰にも聞かれなかったようだ。


「ならばよい。技術や知識を戦争や政争に使うなど馬鹿げているからな」


「さよう。我らの持つ世界最高の技術と知識は、漫画・アニメの世界を実現するためにこそある」


 うんうんと頷く一同。色々とツッコミを入れたいにも関わらず、ナレーションの我が身にはそれが叶わないのがもどかしい。


「目指せ、機動○士!R○-78!」


「目指せ!体がゴムになる木の実の栽培!」


 めいめいが目指す目標を叫び、グダグダになる会議場。そんな中、冒頭に発言していた纏め役と思しき者が手を叩き場を鎮めた。


「とにかく、一歩一歩進んでいこう。まずはVRMMOの実現からだ」


「そうですな。実行は日本ということで各位に異存は無いでしょう」


 AIはんと名乗った男の意見に反対する者は現れず、怪しい会議はそれをもって閉会となった。


 壁の映像が消え、会議場に残った男女も一人、また一人と消えていく。そして、部屋には冷たいテーブルと椅子が残るのみとなった。

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