第二百三十八話 不可避な修羅場
更新出来なくてすいません。体調を崩して寝込んでました。
「学園祭や文化祭なら呼ぶ学校もあるでしょうけど、普通の入学式や終業式に呼ぶ学校なんてないわよねぇ」
学園祭等のイベントで有名人を呼ぶのは普通、高校ではなくて大学です。校長先生と教頭先生の趣味で声優を呼ぶこの学校がおかしいのです。
「入学式にも呼んだんですか。誰を呼んだんですか?」
「ユウリさんですよ。あれが初めてでしたね」
あの依頼を桶川さんが断らなかったのが全ての始まりだったようです。時を戻せるのならどんな手を使っても桶川さんが受注するのを防ぐのですが。
「でも、そんな事に予算を使ってPTAから苦情は来ないんですか?」
「ユウリさんへのギャラは、私と教頭先生のポケットマネーから出しました。その後はグッズショップの売り上げからですから問題無いです」
「あのグッズは学校とは無関係ですから。でも、ちゃんとショバ代は納めてますよ」
その辺りはキッチリとしているようです。学校のお金で趣味に走らないのは誉めるべきですが、税務申請はどうなっているのでしょう。一度税務署にみっこ・・・相談してみましょうか。
「そうそうユウリちゃん、北本先生にご挨拶したいんだけど良いかな?」
「朝霞さん、うちの両親と面識が?」
基本うちの両親は外出しないので、朝霞さんと知り合う事なんて無いと思います。一体どんな経緯で知り合ったのでしょうか。
「朝霞さんは北本先生原作のアニメに出てますから」
「学園戦隊ものの『テンプレ☆ナイト』でしたね。あれでも2役されてましたなぁ」
お父さん原作のアニメに出てたいたので、その縁のようです。私は悪なりの原作者さんに会った事はありませんが、作品によってはそういう事もあるのでしょう。
「多分大丈夫だと思いますよ。今は締め切りに追われてないはずなので」
年末から来春にかけての出版物の原稿は地獄の年末進行で仕上げた筈なので、今の時期は余裕があるはずです。
家への案内を兼ねて私の下校に同行する事になったのですが、朝霞さんが制服姿の北本遊の隣に居るというのは違和感がありまくりで落ち着きません。
「「朝霞さん、サインありがとうございました!」」
声を揃えお辞儀する校長&教頭先生。二人共キッチリとサインを強請ってゲットしていたようです。
校長室を出ると、生徒が遠巻きにしてこちらを見ていました。何処からか朝霞さんが来ている事が生徒に漏れてしまったようで、ファンの生徒が集まっています。
「流石は朝霞さん、凄い人気ですね」
「ユウリちゃんも凄いと思うよ。ここで正体明かしたら大変だろうね」
小声でヒソヒソと話しているので遠巻きにしている生徒には聞こえなかったと思います。私の方はともかく、朝霞さんの発言内容は聞かれたくありません。
でも、それがいけなかったのです。人気のベテラン声優と親しげにヒソヒソ話をすれば、ファンが嫉妬するには十分な行動です。
「あなた、朝霞さんの何なのよ。ちょっと生意気よ」
「そうよそうよ、とっとと離れなさいよ」
案の定、一部の女子高生が詰め寄って来ました。他の生徒も私を非難する目つきで睨んでいます。
さて、この修羅場をどうやって切り抜けましょうか。
腕の痺れが酷い為、暫く更新は不定期になりそうです。




