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第二百三十話 小さな犠牲

 翌日も朝からお仕事です。今日は年内最後のクリスティア騎士団の収録日です。


 パーソナリティーの話を聞いた時にはやれるのか不安でしたが、今ではすっかり慣れてしまいました。いつもと変わらない平常運転の蓮田さんをあしらいます。


 台本?なにそれ、美味しいの?と言いたくなるようなアドリブ満載の収録を終えました。ラジオのスタッフさんに次に会えるのは来年の収録の時になります。


「お疲れ様でした、皆様良いお年を!」


 蓮田さんの音頭で今年は終わりです。蓮田さんとはまだイベントで会うのですが、他のスタッフさんは今日が今年最後なのです。


 次はスカイツリーで脳力試験のアンケートクイズの収録を行います。スタジオからスカイツリーまでは桶川さん運転の車で移動です。


「桶川さん、イブのイベント終わったらその後は仕事はないですよね」


「無いわよ。ユウリちゃん、まさか彼氏とデート?ユウリちゃんはお嫁には出さないわよ!」


 物凄い形相で助手席の私を睨む桶川さん。こちらを凝視しないで、運転中は前を向いて欲しいと思うのは私だけでは無いはずです。


「違うわよ!ちょっとしたイタズラをしようと思って」


 桶川さんの顔を掴み物理的に前を向かせ、私がしようと思っている事を話します。桶川さんは思った以上に食い付いてきました。


「それは面白そうね。私も参加させてもらうわ」


「え、イブの夜は予定があると言っていませんでしたか?」


 確か、桶川さんはパーティーに出る予定があると以前に聞いた事がありました。面倒だけど出ない訳にはおかないと言っていた記憶があります。


「業界の顔繋ぎのパーティーなんかより、そっちの方が面白そうだわ。専務に押し付けるから問題ないわ」


 可哀想な専務さん。本人の意向の確認すらなくいきなりイブの予定が変更されましたよ。


「私としては助かるので大歓迎です。荷物を持っての移動をどうしようかと思っていましたから」


「ついでに大きなケーキを用意して持っていきましょう」


 あれこれとイブのイベントについて話し合います。人の意表を突く事が大好きな桶川さんは私よりも乗り気になっているように見えます。


「楽しいイブになりそうね。待ち遠しいわ」


「桶川さん、本当にイイ性格してますね」


 企みが楽しみなのか、業界のパーティーをすっぽかすのが嬉しいのか。私の見立てでは両方のよえな気がします。


「誰が困る訳でもなし、いいじゃない」


「専務さんは困るんじゃないですか?」


 ただでさえ忙しい年末に、いきなりの予定変更です。ご家族と過ごす予定でしたらご家族にも迷惑をかけてしまうのです。


「・・・何事にも小さな犠牲は付き物よ。細かい事を気にしたらダメなのよ!」


 犠牲となる専務さんに心の中で合掌します。今回は私も助かる事があるので、専務さんには泣いていただきましょう。

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