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第二百二十五話 抽選結果

 今日も一日中年末年始の特番撮影です。休みをとるため、皆さん必死で働いています。世の学生はこんな苦労しなくても休めるのだと思うと羨ましくなります。


 あれ?私もまだ学生だったような気がするのですが・・・


 学生といえば、期末テストの勉強も全然やっていません。ノートのコピーは友子に頼んでいるので、仕事に区切りがついたら勉強しなければなりません。


 仕事を終えて遊に戻り家に帰りました。今日は早めに終わった事と、帰りに買い物を頼まれたので最寄り駅で下ろしてもらいます。

 商店街で頼まれた野菜を買い、帰宅します。仕事帰りに野菜山盛りの袋を下げて帰る声優がいる光景。中々珍しいと思います。


 夜の帳が降りた町を歩きます。皆忙しそうに早足で行き交います。中には疲れた顔をしたサラリーマン風の人や、私のように買い物袋を抱えた少女もいました。


 家に帰ると、ガックリと項垂れた由紀がお出迎えです。まるで全力を出し切って真っ白になったボクサーのようですが、何があったのでしょうか。


「ただいま。どうしたのよ?」


「・・・外れた。ユウリちゃんのイベント、見たかったわ」


 どうやら悪なりのイベント抽選に外れたようです。今日が抽選の発表日だということをすっかりと忘れていました。なので、私が申し込んだ方は結果を確認していません。


「私は見てなかったわね」


 携帯を取りだし確認します。私も応募させられていた事を忘れていた由紀は、すがるような眼差しで見守ります。当選していれば良いのですが、こればかりは私にはどうしようもありません。


 悪なりイベントのホームページを開き、結果を見てみました。しかし、その結果は由紀の期待に応える事は出来ないものでした。


「由紀、ダメだったわ」


 残念ながら当たりませんでした。イベントの主催が桶川プロならば桶川さんに頼んで席を確保する事もできたかもしれませんが、このイベントの主催はアニメの製作委員会なのです。


「こればかりは運だからね。またイベントはやるわよ」


「そうよね、諦めるしかないわね。でも悔しいのは、フリマサイトにチケットが高額で出品されてるのよ!」


 由紀が差し出した携帯の画面を見ると、確かに悪なりイベントのチケットが定価の三倍から七倍で出品されています。


「転売ヤーが買うから私がかえなかったのよ。転売ヤー、許すまじ!」


 某巨大掲示板のサイトを開いた由紀は、凄まじい勢いで書き込みをしていきます。巻き込まれては堪らないので、そっと自分の部屋に退却しました。


 翌日、平日ですが年末進行のお仕事をこなすため収録に出掛けました。収録の合間に共演者の皆さんと雑談しつつ仕事をこなします。特にトラブルもなく撮影は進み、収録は予定の時刻に終了したのでした。

この頃はまだ規制法が制定されていない為、チケットの転売は違法とはなっていないという設定です。

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