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二百十七話 とりあえず会見

 出掛ける準備が出来たので、気配を殺してリビングに入ります。二人は全く気付いていないようです。


「桶川さん、お待たせしました」


「「キャアッ!」」


 私が入ってきた事に全く気づいていなかった二人は、揃って可愛い悲鳴をあげました。由紀は涙目になって見上げています。


「お姉ちゃん、ビックリさせないでよ」


「ユウリちゃん、全然気付かなかったわよ。一応気にしてたのに」


 気を制御して察知されないようにするのは、気功使いの基本です。使い勝手が良さそうなので、頑張って習得しました。


「そんなに驚かなくても、普通に入ってきただけよ。桶川さん、時間がないから行きましょう」


 まだ言いたい事がありそうな二人でしたが、会見の時間があるので出発を促します。


「ユウリちゃん、あんな芸当が出来るなら、普段から使えばよくない?」


「そうですね、覚えた甲斐がありました。最近使えるようになったんですよ」


 妹から借りたハウトゥー本を見て独学で覚えたのです。あの子が漫画やアニメに関係ない実用書を持ってる事には驚いたものです。


「結構凄い技とか載っていて、頑張って練習しているのです。でも、凄い本なのに聞かない出版社名なのが不思議で・・・」


「何て言う出版社?」


「民○書房っていうんですけど」


 出版社名を告げた途端、桶川さんは呆れたような顔をして絶句しました。私、何か変な事を言ったでしょうか?


「あれの技を習得出来るものなの?いえ、それ以前にあれを本気で信じてる人を初めて見たわ」


 小さい声でブツブツ呟く桶川さん。ハウトゥー本なので、習得する事を前提としている筈です。どういう事なのでしょう。


 そうこうしているうちに会見場につきました。報道陣が待ち受けていましたが、この後会見があるためか質問してくる事はありませんでした。

 控え室に入り小休止をとります。自販機で買ったレモンティーを飲み喉を潤しました。


「ユウリちゃん、準備はいい?」


「はい、面倒事は早く終わらせましょう」


 気合いを入れて会見場に入ります。向けられたカメラの砲列か、一斉にフラッシュが焚かれました。

 軽い挨拶のあと私がクラウン役であること、制作側の意向で秘密としたことを話します。その後は質問攻めでした。収録で正体を隠した方法の質問に始まり、色々な質問が飛びました。


 中には全く関係のない質問もあったので、それには答えません。KUKI君との関係など、今回の記者会見の主旨とは無関係だからです。


「それでは、これで会見を終わります」


「もう一つ、もう一つだけ!」


 桶川さんが終了を宣言しても、しつこく質問しようとする報道陣。当然無視して退室しました。構っていたらキリがありません。


 面倒な仕事が終わり再び控え室に入った私と桶川さんは机に突っ伏しました。しかし、暫くはお祭り状態が続きそうで先が思いやられます。



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