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第百九十四話 事件の余韻

 精神的に疲れていた私は、食事を終えて入浴すると明日の仕事に備えて早寝しました。寝不足で仕事に行くなんて事はしたくありません。


 ぐっすりと寝て翌朝。リビングに降りると身支度を終えた由紀が朝御飯を食べていました。お父さんとお母さんは仕事場に籠っているようです。

 例の事件の対応をしてくれていた為締め切りがヤバイと担当さんに泣きつかれたそうで、私も手伝えれば良いのですが出来る事は無さそうです。


「お姉ちゃんおはよう、今日はゆっくりね。遅刻するわよ?」


「今日は早くから仕事だから休むのよ」


 早くからと言っても、昼前からなので余裕はあります。学校に行くとすぐに早退になって中途半端なので休みにしてもらいました。

 こういう時に便宜を(こちらの希望以上に)図ってくれるので助かっています。


「お姉ちゃん、いいなぁ」


「由紀もテニスの大会とかで学校に行かない時があるでしょう、それと一緒よ」


 由紀がテニスで活躍すれば母校の知名度も上がり、学校の利益となります。しかし、私は正体を隠して芸能活動をしているので幾らユウリが有名になろうとも学校に利益はないという違いはあります。

 それでも生徒の将来の為にと力を尽くしてくれる校長先生と教頭先生には、幾ら感謝しても足りません。


 ・・・と言いたい所なのですが、個人的な利益を絡めているので素直に感謝出来ないというのが現実です。


 そんな内心はおくびにも出さず、由紀を送り出して私も朝食をとります。トーストをかじりながらコーヒーを飲んでいると、土呂刑事が来訪しました。


「遊ちゃん、迎えに来たわよ!」


「土呂刑事、事件は解決したのに護衛についていて大丈夫なの?それに、収録に行くにはまだ早いわよ」


 例の事件に直接・間接問わずに関係した人達は、全員逮捕されました。中には強引な罪状での逮捕もあったらしいのですが、複数国の情報機関が連携して黙らせたという噂が真しやかに流れています。


 何故他国の情報機関が日本の女子高生の事件に絡んでいるのか。私には皆目見当も付きません。付かないという事にしてください。


「今日は脳力試験の収録があるでしょう?朝霞様に会える機会を逃せるものですか!」


 土呂刑事、隠す事なく直球で思いの丈を語ってますね。もう少し取り繕いましょうよ。


「土呂刑事の上司が納得しているのなら、私は別に構わないけど。時間が早い件は?」


「マスコミここの近辺に多いから、ユウリちゃんのままで外に出ない方が良いと思って早めに迎えに来たのよ」


 ユウリの姿で一つ目の仕事先に向かうつもりだった私は、そんな事も失念していた自分に呆然としたのでした。

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