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第百九十二話 二人の尋問

「しかし、だ」


「期待には応えないといけませんな」


 最善手というものは、それを打つ時が過ぎてから思い付くというのがお約束です。今、私はそれを痛感しています。

 余計な事を言わずに帰っておくべきであった。あの時であれば普通に下校する事が可能でした。


 後悔するも、それだけでは人生を切り開く事は出来ません。今可能な事を全力で行い、ベストな結果を引き寄せる事が肝要です。

 と言う訳で、素早く立ち上がった私は校長室からの脱出を試みるのでした。


ゆう は にげだした

しかし まわりこまれてしまった


「北本さん、どちらに?」


「もう少しゆっくりしていきませんか?」


 逃げられませんでした。しかし、事件の話をする程度なら別に構いません。隠す事はあるにしろ、もう少し詳しく話す程度なら問題ありませんし今日には解決するであろう事件なのですから。


「ユウリさんは『オラクルワールド』のナビィ役ですよね」


「謎の主役、共演者なら聞いてますよね?」


「事件の事じゃなくてそっちなのー!」


 マスコミで大きく取り上げられ、巷で話題になっている事件。質問されるのは当然その事件だと思い込んでいました。しかし、その予測はあっけなく覆されてしまったのです。


「私達は教育者です。漏らしてはならない情報を漏らすような真似は決してしませんよ」


「ユウリさん、何れバレる情報です。ここで少々早く話した所で大差はありませんよ」


「いえ、私や朝霞さん、春日部さんにも知らされていないのです。声は聞いても会った事もありません!」


 そう答えても二人は諦める事をせず、その後二時間に渡り尋問を受けました。知らぬ存ぜぬで押し通しましたが、二人は疑っているようです。

 正直、マスコミへの警戒よりも一日受けた授業よりも疲れました。


 その後朝方よりは減ったマスコミを避けて壁を飛び越え、タクシーで帰宅しました。高校生がタクシーで帰るなんて贅沢だとは思いますが、校門前から離れて町に散ったマスコミを避ける為には必用だったのです。

 始めは最寄り駅から電車を使用しようと思いましたが、マスコミが駅にも張っていました。それで仕方なくタクシーを使ったのです。


「ただいま」


「お帰りなさい、災難だったわね」


 尋問から逃れた段階で電話は入れましたが、学校が終わる時間を過ぎても連絡しなかったので心配していたようです。

 事情を説明して納得してもらったものの、学校のツートップのオタクぶりに呆れた模様。そんな人達相手に商売をしているので、文句も言えないのですけどね。


 親娘揃って因果な商売についたものです。

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