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第百四十一話 パスワード

 気を取り直して作業を再開すること数分、プロデューサーのパソコンに侵入することが出来ました。


「これがプロデューサーのパソコンですね」


 目についたフォルダを適当に開いたら、目当ての物がすぐに見つかりました。裏帳簿やら約定書など、脅しに使ったと思われるネタの数々が発見できたのです。


「これ・・・プリントアウト出来るのか?」


「もちろんです。すぐに出来ますよ。」


 適当なプリンターを選択して印刷をかけます。次々と吐き出される脅しのネタに、刑事さんたちはやる気を漲らせていました。

 それはプロデューサーだけでなく脅されていた相手にとっても致命傷となるもので、表に出れば逮捕者が続出するような物までありました。


 でも、これらは探していたものとは少し違います。プロデューサーを刑務所に送る証拠としては充分ですが、私が探しているのは芸能人が脅迫されていた材料です。


「あっ、これね」


「こら、男性陣は回れ右!」


 探し当てたフォルダの内容は酷い物でした。これを晒されると脅されれば、殆どの人は逆らえずにプロデューサーの意のままとなるでしょう。そして、現実にそうなっていたのでしょう。


「これは・・・すぐに消したいけど、証拠保全のためには消せないわね。もどかしいわ」


 悔しそうに唇を噛む土呂刑事。他の女性警官の人達も想像以上に酷い画像に怒りを露にしています。


「それならば、開けないようにロックを掛けましょうか」


 写真や動画の入ったフォルダを開けないように、パスワードを設定しました。長い物にしたので、偶然開けられるという事はまずないでしょう。


「終わりました。パスワードを入れないと開けないようにしたので、早く差し押さえて下さい」


「わかったわ。女の敵、完膚なきまでに叩き潰してあげるわ!」


背後に炎を燃え上がらせる土呂刑事と女性警官の皆さん。やる気があるというのは良いことです。


「令状申請して押さえまくるわよ!」


「「「おうっ!」」」


 室内にいた刑事さんたちが気炎をあげます。私がプリントアウトした物を手に、皆走って部屋を出て行きました。


「北本さん、ご協力ありがとうございます。これで女の敵を潰せるわ」


「それは私も望む所です。頑張ってくださいね」


 がっちりと握手をかわす私と土呂刑事。女性を食い物にするような輩は、完膚無きまでに潰してしまって下さい。


「あと、あのフォルダのパスワードを教えておいてもらえますか?」


「ちょっと長いんですけど、般若心経全部入力して下さい」


「「長すぎるわっ!」」


 土呂刑事と桶川さんからツッコミもらいました。でも、すぐに解読されては意味がありませんし、これくらいが妥当だと思うのです。


「これ見ながら入れれば大丈夫ですよね」


 般若心経の経文を手渡す。何故経文を持っていたのかを突っ込むのは禁止です。乙女には謎が付き物なのですよ。


「ちなみに、入れ間違いがあると、パスワードが変わります」


「変わる?何に変わるの?」


 不安そうな表情で桶川さんが聞いてきました。入力するのは桶川さんではないのですから、そんなに不安がることはないと思います。


「ちょっと難しいのですが、寿限無をフルで」


「「鬼か!」」


 またもや揃ってツッコミいただきました。長年コンビを組んでいる芸人さんのように息が合っています。


「一体、どんな基準でそれ選んだのよ?」


「般若心経にするか寿限無にするか、悩んだんですよ。で、悩むのなら両方採用すれば良いかと思いました。反省も後悔もしていません」


「「お願いだから別の奴にして!」」


 この二人、本当に息がピッタリと合っています。コンビを組むべきではないでしょうか。


「パスワードは頑張ってもらうとして、そろそろおいとましたいのですが」


「お疲れ様でした。北本さん、高校出たら警察に入らない?」


「既に予約済みですから」


 土呂刑事から隠すように私を抱き締める桶川さん。予約というか、既に就職済みなのでそれは無理です。


「そういう訳で、お誘いはありがたいのですがお断りします。それでは失礼します」


 ペコリとお辞儀して警察署を出ました。警官の皆さんが忙しそうにしていたので、証拠固めは早くに終わるでしょう。

 桶川さんに送ってもらい家に帰り、夕食の席で警察での事を両親に報告しました。


 その後プロデューサーと暴力団の人達は一網打尽に捕まり、刑務所送りになりました。絡んできた警部はプロデューサーのお零れにあずかり罪が発覚しないよう協力していたそうです。

 それに慌てた警察が捜査を強化したところ、他にも結構な数の協力者がいた事が発覚し予想外の大事件となりした。


 カラオケの達人は放送が中止となり、そのまま終了となりました。テレビ局にも非難が集まり、局全体の視聴率が低迷して離れるスポンサーが続出。一時期は倒産の危機とまでなったそうです。


「これで解決ね」


「一応、ね」


 昼休み、階段の陰に隠れて友子とひそひそ話をしています。あの日以来、一緒にカラオケに行こうというお誘いが後を絶たないのです。


 私の平穏な高校生活は、いつになったら帰ってくるのでしょうか。

プロデューサーは再登場する予定です。

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