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閑話 イブに来る者 前編

昨日投稿の予定が果たせませんでした。後編も今日中にアップします。


第三者視点にてお送りします。

 ここは某国にある、某組織の秘密研究所。その日、組織にとって重要な実験が行われようとしていた。


「補機は万全なのだな?」


「はい。現在も稼働しており、主機関への接続テストも無事に終了しています」


 円形の部屋に設置された卵型の機械。ガラス越しにそれを眺める白衣の男たちは緊張していた。


「では、実験を始めます。補機を主機関に接続・・・縮退、開始」


「縮退、開始!」


 女性オペレーターの指示が飛び、別の女性オペレーターが復唱する。同時に卵型の機械が仄かな光を発して起動した。


「臨界点まであとゼロ、二・・・臨界点突破!」


「縮退連鎖を確認!」


 卵型の機械は眩い閃光を発し、それを見学していた白衣の者たちから拍手と歓声が沸き起こる。


「これで動力問題も解決ですな。残りは試運転を残すのみ」


「機体は完成しています。これを組み込めば試運転の後実働試験となります。実働試験はどこでやりますか?」


 歓声が止まない中、地位が高いと思われる二人の会話が続く。


「愚問だな。魔法を使うのは、魔法の国でと相場が決まっている。稼働試験をするのは、現代の魔法の国・・・日本だ」


「心優しき民の住む、ファンタジーの国ですな。これ以上に相応しい国は無いでしょう。では、現地の協力員に対してバックアップを要請します」


 平和を謳歌する国日本に、謎の組織の手が迫る。しかし、それを知る者は日本には誰も居ないのであった。


 時は過ぎ、平和ボケの国日本の首都に近い某所では、花の女子高生二人がクリスマスの過ごし方について話し合っていた。


「じゃあ、友子もイブの夜は忙しいの?」


「ちょっと野暮用が出来たのよ。私も由紀ちゃんと集会に行きたかったのだけど・・・」


 麦チョコを摘まみながら嘆息する友子。質問をした遊は、集会に連行されずに済むと安堵していた。


「両親は出版社のパーティー。由紀は知り合いの集会で、私だけ予定が空いてしまったわ。仕事はあるけど、昼には収録終わるのよ」


「デートの相手とかは居ないの?遊はともかく、ユウリちゃんならば選び放題どころか掃いて捨てる程立候補されるでしょう。それとも、由紀ちゃんのパーティーに一緒に行く?」


「勘弁して。イブの夜をユウリで過ごしたくないし、そのユウリのファンのパーティーに行くなんて冗談ではないわ」


 ユウリのファンの集いに、変装したユウリが紛れ込む。一年近くバレなかったユウリの正体だが、万が一そこでバレたらと思うと怖すぎた。


 そしてクリスマスイブ。声優としての仕事を終わらせた遊は、電車を使い地元に帰ってきた。駅前から自宅へと変える途中、道端に赤い塊を遊は発見する。

 よく見るとそれは、サンタ服を着た中年のオジサンであった。時期が時期だけに、サンタのコスプレをしたオッサンが町中にいても不自然ではない。しかし、それが路上に倒れているとなると話は別である。


「大丈夫ですか?声が出せないなら、指を少しでも動かして下さい」


「あ、ああっ、大丈夫だ」


 サンタは意識がはっきりしており、遊の質問にハッキリと答える事が出来た。一先ず重篤な状態ではないだろうと見当を付けた遊は胸を撫で下ろす。


「外国の方ですか。救急を呼びますか?」


「ありがとう。知人が来るので大丈夫だ」


 つけ髭や帽子でわからなかったが、サンタは日本人ではなかった。抜けるような白い肌に蒼い瞳。金髪もカツラではなく地毛のようであった。


「あれ、遊じゃない!」


「えっ、友子?!」


「ミス友子、この方とお知り合いで?」


 サンタの言う知人とは、友子の事だったようだ。世間とは広いようで狭いものである。作者のご都合主義とは言ってはいけない。


「ミスターサンタ、こちらが私の親友の北本遊。彼女以上に信頼出来る人間はいないから安心して。遊、こちらはミスターサンタ。今日の用事は、彼に協力することなのよ」


 外国人ということもあり救急車は呼びたくないと言われ、一先ずサンタは友子の家にて介抱する事となった。遊が肩を貸し、友子はサンタの白い袋を持って歩きだす。


「試運転を兼ねて来たのは良かったが、日本機を撒くのに手間取った。F-4が現役なのには驚いたが、性能可笑しくないか?」


「改良は日本のお家芸だから。F-4Jは別物と考えないと」


 何気ない世間話のように話す友子とサンタだったが、遊には聞き捨てならない内容が含まれていた。


「ちょっ、航空機で不法侵入したの?私、違法行為には関与したくないわよ」


「それは問題ないわ、特殊な方法だけど入国処理はしてあるから。それよりもサンタ、今晩のお仕事はこなせそう?」


「少し、休めば何とか・・・」


 納得いかない遊であったが、公道で迂闊な発言も不味いと追及せずにいるのであった。

 そうこうしながらも友子の家にたどり着き、サンタは衣装を脱がして客間に寝かせる。


「両親は泊まりがけでパーティーに出るから帰ってこないわ、安心して頂戴。遊、今日予定なかったわよね。手伝ってくれない?」


 何やら面倒な事態に巻き込まれた遊ちゃん。得体の知れないコスプレ外国人の目的とは一体何か。続きはウェブで・・・はなく、後編にて!

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