From the bottom of my heart
ぼくは彼女を愛している!
もう心の底から愛しているんだ!
彼女もそう言ってくれる。心の底から愛してるわ、って。
ああ、彼女がどれだけぼくを愛しているか、それをこの身で知ってみたい。彼女の心の底へ行ってみたい!
そのために薬を買った。これを飲めば愛する人の心の底へ行けるのだ。どんなに深い心の底でも到達することができるという魔法の薬だ。深夜テレビの通販番組で取り寄せた。値段は送料込みでたったの19800円さ。それで彼女がどれだけぼくを愛しているのか知ることができるのなら安いものだ。それに、もし心の底に到達できなかったら、御代は返金されるのだ。
さあ、薬を飲むぞ。
くそっ、ちくしょう! だましやがったな、あのアマ!
あいつめ、ウソを言っていた!
あいつの心はからっぽだった。
愛もなければ、憎しみもない。金目当ての打算すら存在しない。
そもそも心が存在しなかった!
だから、ぼくの意識は、あのからっぽ女のありもしない心の底目指して、永遠に落っこち続けなければいけない。
ちくしょう、もし、目が覚めたら!
19800円を返金させるのに!