勝利条件と戦略。
今回、男には勝算があった。
料理をするにあたって何をもって勝利とするかは、人それぞれだ。美味いか?マズイか?相手が喜んでくれるか?
男にとっての最低勝利条件、それは完食出来るか、出来ないかだった。
食材を無駄にするのは嫌いだった。作るからには食べ切る。残さない。それが食材を生産してくれた人、採取してくれた人、運送してくれた人に対しての最低限の礼儀だと思うからだ。
幸いな事に男の味覚に対してのストライクゾーンは広い。
いや、それ微妙でしょ?と友人知人が言う料理、食材も美味しくいただける男だ。
メシマズ好きな訳でもないし、妻の料理もメシマズではない。
味覚のストライクゾーンは広い方が人生幸せだと常々思う。
今回、食材はカボチャとエナドリである。
カボチャ好き。
エナドリ好き。
それを煮込む。
豚のコーラ煮もあるし、案外イケるんじゃなかろうか。
煮込む…。
煮込む?
煮込むのかー。
エナドリの甘さは、カボチャで取り込めるだろう。
若干の酸味は強火でどうにか飛ばしてみるとして。
ここで課題はエナドリを煮込んだ際に出るであろう、薬くささにあると想定をかける。
対処はどうしようか?
香辛料を使うか、和食の知恵を借りるか?洋食の知恵を借りるか?
戦略はまだ練れる。
仕事をしながら、思考の中で男はトライ&エラーを繰り返す。
勝負は仕事が終了した22時以降だ。
さて、仕事してきます。