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恋姫†異譚  作者: 桜惡夢
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52話 そんなのが日常。


よく聞く“男女平等”とは何なのだろうか。


元々、政治や企業等が男社会なのは必然的な事。

男は妊娠せず、女性は妊娠する。

だから働き続ける事が出来る男が中心になる。


勿論、時代は移り変わる。

女性の社会的な地位の向上、進出は素晴らしい事で否定する理由など有りはしない。

寧ろ、凝り固まった男社会に風穴を空け、新時代へ続く路を切り開いて貰いたいと思う。


ただ、その一方で首を傾げたくなる事も有る。

「創作の中では女性の地位が低い事が多く、女性が性的な象徴として扱われている」といった批判する声が男女平等と共に投げ掛けられた事が有る。

創作の世界では過去を参考とする場合が多い以上、その時代を反映する為、それは仕方の無い事。

それを先ずは理解すべきではないだろうか。

逆に、ファンタジー等では地位の高い女性は多く、そういった部分には男女平等の思想は有る。

それは完全な創作(・・・・・)だから出来るだけの事。

その事実を見落としてはいないだろうか。


だが、女性が性的な象徴なのは必然だと言える。

仮に、白雪姫を男女逆にした場合、助けられるのは当然ながら男性となる訳だが。

さて、その男性は可愛らしい少年か、イケメンか。

イケメンが助けられる物語?。

「いや、自力で頑張れよ」「男なら女を守れ」等の批判の声が上がるとは思わないだろうか。

そうなると当然だが母性本能を擽る可愛らしい少年という事になる訳だが、それは助ける女性が大人の場合には犯罪臭がしないだろうか?。

結果、同じ年位の少女が助ける事になるのだろう。


だが、それでは成立しない物語も多々有る。

男は勇ましく、女性は美しく。

これは一つの文化であり、セオリーである。

一夫多妻の獣の群れは有っても、多夫一妻は無い。

生物として、そう出来ているのだから当然だ。

だから、無駄に理屈ばかりを口にして、生命の本質から遠ざかる愚者は人間だけだと言える。


その根底を間違った男女平等で脅かす愚かな真似を人々は何故批難しないのだろうか。

その理由は単純で、興味が無いから。

抑、「男女平等な社会を」と言いながら、誰一人、“男性は十八歳、女性は十六歳から”という結婚の法律に対し、「これこそが男女差別だ!」と指摘を向ける政治家やジャーナリストは居ないのだ。

それ自体が、既に矛盾している証拠である。


つまり、男女平等や男女差別を口にする多くの者は自分達の支持者を集めたいだけの偽善者。

真の男女平等や、男女差別の根絶を望みはしない。

何故なら、その社会構造にこそ、偽善者にとっての“甘い汁”が溢れているのだから。


男女平等は実現せず、男女差別は生命の必然。

それでも、人間が出来る落とし所(・・・・)が有るとすれば、その差を理解した上での男女の相互尊重の社会。

その辺りではないのだろうか。



「あ~…今日も空は青いなぁ~…」



“青き春”と書いて青春だが。

この青き空は、未来永劫変わらぬ永遠とも言える。

…まあ、その永遠も人類次第では有るが。

何故、天国や神界が天空に有ると考えられるのか。

それこそが、天空の持つ永遠性が故ならば。

天空こそが永遠の象徴的な存在だと言えるだろう。

──なんて、柄にも無く、センチメンタル忍。

──じゃあねーよ、いや、少しは有るけど。


老師と過ごした山小屋を旅立ってから一年が来る。

死ぬつもりは無かったし、生きる自信も有った。

だがしかし、果たして今の自分を想像出来たか。

否、少なくとも華琳と愛紗…梨芹も入れてだけど、酒池肉林(ハーレム)状態は想像していなかった。

勿論、華琳と愛紗の事は幸せにするし、責任も取る覚悟は有ったんですけどね。

……うん、何で俺、ハーレム物のエロゲの主人公に為っちゃってるんでしょうね。

……いやまあ、原作(ゲーム)は、そうなんですけど。

何処で選択肢、選び間違えたのかなぁ…。



「………?………っ……兄ぃっ…」


「──っと、どうした、恋?」



唐突に抱き付いてきた恋を抱き止めながら倒れない様に力を往なし、堪える。


今日は“家族サービスをするお父さん”的な感じで夜を共にしない面々を主体にして御出掛け中。

華琳達は「なら、私が母親よね?」と静かに火花を散らしていますから、放置しておきます。

貰い火での炎上は御遠慮致します。


そんな訳で、皆で朝から彼方此方と見て回ったり、買い食いしたり、買い物をしたりしています。

その光景を見たからか、老師の事や、旅立った頃の自分達を思い出していた訳なんですよね。

幸せって、こういう何気無い日常ですから。


──で、買い食いする次の店を探していた筈の恋が何故だか、抱き付いてきた訳で。

泣きそうな顔で俺を見上げてくる。

「どうした?、誰が御前を悲しませた?、大丈夫、直ぐに其奴を探し出して、殺ってやるからな?」と笑顔でマジで殺る気な愛妹兄(オレ)が居る。



「………兄ぃ、一緒に居たくない?」


「……はぁ…そんな訳無いって

もし、俺が皆と一緒に居たくないなら、ずっと前に皆の前から消えてるって…

でも、俺は此処に居るだろ?

それが答えだし、全てだ

だから、そんな心配はしなくても大丈夫だ」


「………ん、兄ぃ、ずっと一緒…」



こしこしと、マーキングするかの様に顔を擦り付け屈託の無い笑顔を見せる恋。

「男が若気るなっ!」と言う馬鹿は無視無視。

そんなの無理ですって。

恋だよ?、宅の可愛いマスコットの恋ですよ?。

食事姿を見ているだけで心ほっこり、の可愛過ぎな我が家の愛妹の恋なんですよ?。

愛しさ爆発、可愛さ余って鼻血ブーです。


そんな恋ですが………まあ、そうですよね~。

当然ですが、恋も成長していますからね、ええ。

………そ、想像以上に育ってやがるじゃねぇか。

流石に、同じ歳の時の愛紗には敵わないにしても、華琳よりかは──はっ!?、殺気っ!!。



「御兄様?、恋ばかり構っていては駄目ですよ?」


「ウン、ソウダネ、ソウ思ウヨ」



振り向けば笑顔で近付いて来る華琳。

先程までは一緒に居た筈の白蓮達は姿が無かった。

華琳の瘴気(オーラ)を察して逃げたらしい。

そして、全く笑っている気配のしない華琳。

しかし、恋には気付かせないのだから、無駄に凄い技術だと言わざるを得ない。

いや、本当は凄いんですよ、これって。

俺は出来ますし、俺が教えた訳ですけど。

こんな所で成果を発揮しなくても…ねぇ…。


そんな華琳に思わず後退りしそうになります。

だがしかし、兄は踏み止まりました!。

愛妹兄(紳士)諸君、私は退かなかったぞっ!。



「恋、彼処の御店が新商品を出していたわよ?

御兄様も食べたいでしょうから、買ってきたら?」


「…ん、行ってくる」


「ええ、行ってらっしゃい」



華琳に容易く唆され、代金を渡されると疑う事無く短いものの行列の出来ている店へと向かう恋。

その純粋な姿に「良心は痛まないのか?!」と華琳に言いたくなるのかもしれない。

客観的に見ていたなら。


だが、家族である俺達は知っている。

宅の恋は基本的に原作とは違い、今は大食い腹ペコ天然美少女キャラからは脱却している。

…いや、天然美少女は健在ですが。

食事の量は一般人よりは多いものの、TVに出てるフードファイターには程遠いです。

そして、欲しがる物を何でも買い与える様な類いの甘やかし方は我が家では厳禁としています。

なので、自分の御小遣い(・・・・・・・)ではない御金(・・・・・・)で買い食いが出来るのなら、恋に断る選択肢は存在しない。

勿論、知らない人からは貰いませんよ?。


つまりだ、そんな恋の思考までも考慮した上での、華琳の然り気無い排除(・・)な訳です。



「御兄様?」


「ん?、どうした、華琳?」


「最近、此処が痛くて、苦しくて、切ないです…

ですから、御兄様に手当てをして頂きたくて…」



そう言いながら、俺の左手を自分の胸元に案内し、往来で有りながらも、周囲からは全く見えない様に巧みな位置取りをする華琳。

………前言撤回、恋より立派に育っていますね。

ええ、触れる機会が多いだけに計り違えていた兄を赦してくれるか、愛しき愛妹胸(マイ・シスター)よ。

今直ぐにでも食べてしまいたい位に魅力的だ。

嗚呼、本当に俺は馬鹿だな、大馬鹿だ。

こんなにも素敵な君を、誰かと比べるだなんて。

どうか、愚かな私を裁いてくれ給え。


そんな俺の心からの謝罪が伝わったのだろうか。

華琳の瘴気(オーラ)が綺麗に霧散した。

…………と言うか、我が愛しき妹よ。

何故に左手の位置が下げられているのかな?。

確かに、「今直ぐにでも食べてしまいたい」なんて心の中で思いはしたけど……此処、往来だよ?。

周りには行き交う人々の群れが沢山ですよ?。

そんな状況で貴女は────え?、「御兄様…私…もう我慢出来ません…」っですと?。

判った、この兄に任せない。

恋を待たす事無く、お前に愛を注ごうではないか。

全力全開最速で行くぞ、トオーーーッ!!。




──という感じで、華琳と愛を確かめ合えば、当然他の愛しき嫁達も拗ねたり、強請る訳で。

何だかんだで、彼方此方と街中で、人には話せない夫婦だけの秘密が出来上がっていく訳ですね。

………うん、主体は君達じゃなかったよね?。



「そんな事言ぅてても、結局は一人残らず愛すんが師匠やからなぁ~…」


「返す言葉も無いな…

──と言うか、真桜、その格好は何だ?

お前、何時から露出狂に目覚めたんだ?」


「露出狂ちゃうしっ!

……これには深~~~い訳が有ったんよ…」


「そうか、強く生きろ……手を離せ、真桜」


「せやけど、断んで!

──ちゅうか、其処で冷静に“手を”って一言前に付けられるんは流石は師匠やなぁ…」


「伊達に致命的な失敗を経験してはいないからな」


「いや、自慢する所とちゃうやろ…」



“離せ”と“話せ”、字にすれば違うのだが。

音だけだと、同じである。

故に、「離せ、真桜」が「話せ、真桜」と受け取り話を聞かされて巻き込まれた場合。

それは迂闊な発言をした側の落ち度であり、それを聞き逃さず上手く利用した側の勝ちである。

だからこそ、会話の流れによっては、感情や相手に影響されずに居る事が重要になってくる。

まあ、真桜の様なトラブルメーカーを相手にすれば最初から油断など有り得ない事だけどな。


その真桜だが、何故か原作みたいな上半身ビキニ姿となっています。

あ、下半身は襦袴ですよ?、流石に。


真桜に限らず、皆原作の衣装とは違います。

まあ、中には近い物は有りますけどね。

それでも、衣服は色々です。

その中で真桜は「作業し易いだろうしな」と思って俺が作った“ツナギ”が御気に入りで、色や装飾の違う物を二十着程持っている。

尚、ジッパー部分は紐式で代用しています。

その為、緩んでいると……かなり、エロいです。

特に、すくすく育った豊丘が生み出す絶景がね。



「まあ、それはそれとして…そろそろ、手を離せ」


「いやや!、こうなったら師匠も道連れや!」


「おまっ!?、俺は常識人で露出趣味は無いっ!」


「さっきまで彼方此方でヤってたん誰やっ?!」


「俺だよ、俺っ!、徐子瓏師匠だよっ!」


「自分で師匠って言うんかいっ!?」


「──隙有りだっ!」


「──しもたっ!、ついツッコんでもうたっ…」



俺を捕まえていた両手を離しツッコミをいれた為、その隙を突いて真桜から離れる。

慣れた遣り取りが故に、反射的にツッコミを入れた自分の習慣を悔やむ真桜。

………その落ち込む姿が妙にエロい件について。


…いやいや、ヤバイヤバイ、これは罠だな。

恐らくは、真桜が上半身ビキニなのはハプニングを装った“黒幕”の意図的な仕掛け…。

そして、真桜に選択肢を与えない内に流れに紛れて上手く着せてしまったのだろう。

……もしかしたら、本来は下もだったのかもな。

寧ろ、其方の方が普通にビキニとして認識出来る分卑猥さは感じなかったかもしれないな。

……となると、これも狙いの内かもな。


だが、まだまだ甘いな。

これ位では俺は誘惑されはしないぞ?。

精進する事だ。




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