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恋姫†異譚  作者: 桜惡夢
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   息吐く暮らし


我が子を取り上げた時より、落ち着いてから改めて自分の腕に抱いた時の方が実感した事が懐かしい。

あの時から、今では八人の父親です。


まあ、最初が揃っての出産だったので、いきなり四人の子供の父親になったんですけどね。

それも良いサプライズだったと今は言えます。

最初は吃驚しましたし、内心は緊張しましたが。

そんな事に暢気に動揺している様な暇は有りませんでしたからね。

いや~、我が子ってだけで緊張感が違いましたよ。

慣れてはいる、と言っててもね。


──で、もう少しすれば春蘭も出産の予定です。

ええ、九人目です。

七男一女から、一体何方等が増えるのか。

まあ、当分、栄が可愛がられるのは確定ですが。

だって、息子達にとっては最初の妹ですからね。

それに加えて皆の初子の男子率が物凄く高いので、女子が二人目以降となると…ねぇ…。

いや、別に不満は有りませんよ?。

月との話では有りませんが、皆とは一人十人ずつは欲しいなと話していますからね。

五分五分ではないにしても何方等も出来る筈です。

ゲーム(原作)の呉ルートの娘ばっかりはネタですし。

雪蓮達との子供も偏りはしない筈ですから。

だって、孫家が女系って訳でも有りませんから。


それよりも俺達にとっては大問題なのが、子供達の結婚相手に関してです。

それはまあ?、俺達は諸事情こそ有れ、恋愛結婚と言っても間違いでは有りませんからね。

子供達の選択権(自由)を奪いたくは有りません。

──が、その立場上、選択肢は限られます。

妾──側室に関しては本当に自由なんですが。

勿論、それでも色々と考えなくてはいけませんが。

それは子供達の生まれながらの立場上、仕方が無い制限や条件なので理解して貰うしかない。

「継承権を放棄してでも一緒に成りたい」と言えば叶えて遣れない訳では有りませんけどね。

要は、全てを思うが侭に、とはいかないという事。

それを理解出来る様に導くのも親の責任でしょう。



「変な男に引っ掛からない様にしないとな」


「変な女には引っ掛かってもいい訳?」


「男だからな、少し痛い目に遇っても大丈夫だ

自分が妊娠したりする訳じゃないからな」


「それはそうね」



そう、有っても落胤(・・)問題だろうしな。

それに関しては自業自得だから頑張るしかない。

──とは言え、宅の場合は無縁ですけどね。

だって、氣を使えば簡易的なDNA鑑定擬きをして血筋を確かめる事は出来ますから。

その辺りは問題無く潰せます。


…え?、「随分と自信が有る口振りだな」と?。

いやまあ、こういう問題って他人事じゃないんで。

実際にね、色々と有ったんですよ。

まあ、愛紗達の──軍将の直属部隊の女性兵士達は理解していますし、文官達や侍女達も大丈夫。

俺が手を出す事も無いし、彼女達も恋愛対象として俺にアプローチしたりはしませんから。

…一応、「手を出して頂ければ、全身全霊で」等と男としては光栄な事を言われたりはしていますが。

そういう可能性は無いと判っていますからね。


だから、そういう事を遣ってくる相手は極一部。

それも本人よりも、父親や祖父、或いは兄が自分の出世や利益を求めて近付けさせてくる訳で。

当然、俺が手を出す訳も無く。

その打開策として、“出来ちゃった偽装”を遣って強引に突破しようとした訳です。

勿論、妊娠してないからバレバレですけどね。


そうしたら、今度は本当に妊娠して来る訳です。

当然、俺の子供じゃ有りません。

だから、俺との既成事実が出来さえすれば、流産や生後間も無く暗殺(始末)するつもりでね。

本当にね…救い様の無い馬鹿だと思いますよ。

だから、相応しい末路を与えて遣りました。


尚、その母子は被害者として宅で保護しましたし、幸いだったのが子供の父親は母親とは相思相愛。

ただ、身分違いだった為、利用されただけです。

ですから、今は親子揃って暮らしています。

確か、最近三人目が出来たそうですからね。

幸せそうで何よりです。


──とまあ、そういった事が有った訳ですよ。

それなりに俺達も苦労はしていますからね。

その手の対応策も有るという訳です。



「極端な話だが、その手の事に関しては女性の方が警戒心を強く持っている方が良いからな

宅の子供達の場合に限って言えば、氣という手段が有るから自衛も問題無い

それでも精神的な苦痛というのは回避し難い

だからこそ、警戒心を持たせる事は必要だ」


「それで行き遅れたら?」


「御前なぁ…鏡を見てから物を言え

そんな事、有る訳無いだろうが」


「…はぁ~~~…妊娠している事が恨めしいわ…」


「任せない、私が引き受けてあげるわ」


「貴女が引き受けても私は満たされないわよ

──と言うか、自分がしたいだけでしょう、雪蓮」


「そうとも言うわね」


「そうとしか言わないわよ」



──と、両側で俺の腕を各々に取り自慢の双兵器を押し付けながら言い合う咲夜と雪蓮。

何が言いたいのか、要求は判りました。

判りましたから、今は止めなさい。

俺は栄を抱っこしているんですから。

──という心配は必要無いんですけどね。

二人共、それは判っていますから。

飽く迄も、俺の腕を抱き締め押し付けるだけです。


…いやまあ、それはね。

二人からしたら、それこそが目的な訳ですから。

そういう意味では目的は達成されています。

だって、俺の中では遣る気MAXなんですもん。

ええ、誘った以上、責任は取って貰いますとも。



「それにしても赤ん坊でも男女の違いは有るのね

何方でも可愛い事には変わらないんだけど…

やっぱり、女の子って可愛いって思うもの」


「八子で一人っていうのも有るんでしょうけど…

確かに、女の子って可愛いわよね」


「まあ、単純に可愛いっていうのは女性寄りの感覚だろうしな」


「えー…そうかしら…

男だって可愛いって思うわよね?」


「それは勿論な」


「だったら、女性だからって訳じゃないでしょ?」


「でもな、男が可愛いって思うと性的な意味合いを多少なりとも感じるだろ?」


「それは……あー…まあ、そうかもしれないわね」


「勿論、本当に純粋に可愛いだけなんだけどな

それでも客観的に見て、男が可愛いって言ってると多少なりとも穿った見方や偏見が混ざる

そういう犯罪を起こすのが男が圧倒的大多数だから仕方が無い事でも有るんだけどな」


「男性全体の社会的モラルの問題だものね」


「ああ…そうではない普通の人達には大迷惑な話だ

ただ、性的な趣味嗜好が全く無いとは言えないから全くの他人事という訳でもない

その辺りも改善し難い理由でもあるからな」


「でも、飽く迄も個人の趣味嗜好でしょ?

犯罪者じゃないなら、個人の自由じゃないの?」


「そうなんだけどな、その線引きが難しいんだよ」



雪蓮には中々理解出来無いとは思うが、咲夜の方は俺の言いたい事を理解している。

盗撮等は当然、犯罪なのだが。

ゲームや漫画、小説やアニメ等。

創作品を問題視するのは御門違いだと思ってたし、御金を貰って生身の女性が作品に出演する事だって一つの仕事として成立している。

そういった所まで一括りにしてしまうのは浅慮だと思ってしまうのは俺も咲夜も同じ。


世界中に女性が身体を売る文化が存在しており。

権力者に取り入る為に女性が身体を使う。

そんな話は珍しくもないのだから。

それも女性の処世術の一つ。


ただ、女性が虐げられる事が問題なのだから。

その点に重きを置かなくてはならない。

少なくとも、女性側が利益享受している場合なら、それは一方的な被害者とは言えないと思います。

まあ、売春の場合、若年層だから問題なんですが。

昔の遊廓とかの事を考えれば、若くもない訳で。

大袈裟と言えば大袈裟なんですよね。

だって、物の分別が付かない訳じゃないんで。


御金が欲しくて、そういう手段を選んだだけ。

真面目に働くより、手っ取り早くて高額だから。


これって賊徒の考えと同じなんだって判ります?。

未成年に対し売春行為をした男性にも社会的な責任というのは有りますし、問題なんですけど。

それを遣ってる女性側も厳しく罰しないと無意味。

何故なら、それは単純な犯罪ではなく商売(・・)だから。

需要と供給が成立している以上、無くならない。

男性は需要、女性は供給。

つまり、供給する女性側も大きな問題なんです。


供給が無ければ、需要を満たす方法は犯罪のみ。

そうなって初めて、男性側が絶対的な悪になる。

その辺りを社会的に認識を改めないと問題の解決は未来永劫出来無いでしょうね。


まあ、今の俺達には他人事なんですけど。

だって、俺は娼館の運営は許可してますから。

その分、衛生管理や健康診断、賃金や勤務内容等。

物凄く厳しく監査していますし、担当者は女性。

だから、違和感や異変には敏感に気付きます。

女同士だから判る事って有りますからね。


その為、合意が無ければ犯罪。

無許可の売春行為に関しては発覚すれば(・・・・・)両成敗。

だって、金銭を受け取って問題にするのは女性側。

男の方から態々自首する事は有りませんからね。

そうなる理由は女性側の不満か、言い逃れ(・・・・)

被害者の振りをする、という事です。

勿論、本当の被害者も居るでしょう。

だから、その手の調査と判断は厳格に行います。



「因みに、栄に近寄る男に対しては?」


「それは本人次第だな

勿論、明らかに利己的な理由で娘達に近付いてくる様な奴なら、容赦はしない

手厚く(・・・)、御持て成()してあげよう」



ええ、そんな輩を見逃してやる気は有りません。

そして、似た様な事を考える馬鹿が二度と出て来る事が無い様に吊し上げ(・・・・)ます。

「御前等も、こう為りたいなら遣れば?」と。

一点の曇りも無い笑顔で語り掛けてあげますよ。



「はぁ~…本当、親馬鹿よね…」


「あははっ、忍らしいわね~」


「勿論、御前達に対してもだ」


「────なァっ!?」


「…ったく…そういう所が心配なのよ、馬鹿っ…」



思わぬ不意打ち顔を真っ赤にする初な雪蓮。

免疫はあれど、効くものは効く、という感じで頭を俺の腕に預けてくる咲夜。

経験の差が反応に出ています。


尚、咲夜の言う心配が何の事かは訊きません。

この間、言われたばかりですからね。

そんな心配は無いとは思うんですけど。

まあ、飽く迄も個人的には、ですからねぇ…。

それに娘達の感覚には妻達の方が近い訳ですから。

そう皆が心配するなら、任せる事にします。

俺は俺らしく、接するだけです。

──と言うかね、目の前で母親達とイチャついてる父親を見て異性として意識しますか?。

俺なら無理です。

俺は男なんで、実際の所は判りませんけど。


──という遣り取りをしていたら。

流石に騒がしくて起きたのか俺の腕の中に居る栄が目を開けて眠そうな感じで「もぅ、うるさぁい」と言うかの様に俺を見てくる。

飽く迄も俺の主観であり、解釈で、なんだけどね。

「んー、何でもないよ~」と言う様に笑ってやると納得したのか、安心したのか。

再び目蓋を閉じて寝息を立て始める。

こういった時代を生き抜く両親から生まれてれば、肝っ玉も大きいかもしれません。

まあ、そんな訳ないんだけどね。


栄に限らず、赤ん坊が安心するのは抱いている側が不安や心配を抱いてはいない為。

つまり、此方等が堂々としている事が大切。

そして、無暗矢鱈に構おうとはしない事。

可愛いからと構い過ぎれば嫌がります。

赤ん坊に限らず誰でもです。

構わな過ぎるのも駄目ですけどね。

その辺りは試行錯誤して探って見極めるのみ。

絶対の正解は無く、人各々、千差万別ですから。

関係を築くっていうのは本当に大変なんですよ。


でも、それが社会の中に在り、生きるという事。

面倒臭くて、無視・放棄したいと思う事だろうと。

繋がる事で在るのだから。



「──御楽しみの所、失礼致します、御兄様」


「否定も肯定も出来無い一言は止めなさい

──で?、何か有ったのか?」


「はい、袁硅が重い腰を上げました」






 厳顔side──


自分で言うのも何ではあるが。

これでも身体に自信は有る。

体力や健康さ、身体能力という意味ではなく。

女としての魅力として、という意味でだ。

…まあ、孰れ子を産む事を考えれば体力や健康さも女としては必要な事には違いなのだが。

それが必ずしも必要という訳ではない。

身体が弱く、体力が無いとしても。

愛する男の子を産みたいと思うのは。

女としての本懐であり、一番の特権とも言える。


そう言える自分が恵まれている事は判っている。

世の中には、望まぬ子を孕まされる女達も居るし、道具の様に扱われ、結婚させられる女達も居る。

そんな者達を思えば、自分は恵まれている。

心から惚れ、望む相手と結ばれ、愛し合えるのだ。

これで不満や文句を言おうものなら大顰蹙を買う。

…まあ、言わないだけで、無い訳ではないが。

それは口に出しさえしなければ誰にも判らぬ事。

つまり、有って無い様なものだと言えるからな。



「…話には聞いてはいたが…その…凄いのだな…」


「ああ…まあ、それは一応は妻の人数が人数だし、場数も場数だからな」



そう言うのは息も絶え絶えの力尽き掛けている私を上に乗せ、一切苦しさを感じさせない逞しい忍様。

自分で言う事は躊躇われるが、決して軽くはない。

一般的な成人女性と比べても身長は高く、肉付き(・・・)も良い事も要因ではあるから仕方が無いが。

それだけに自分でも軽いとは思っていない。


そんな私を幼子を抱き上げる様に軽々と抱き上げ、力強く突き上げ、攻め立てられる。

こんな男は滅多に居ないだろう。

力自慢の男ならば出来るかもしれないが。

忍様は決して乱暴ではなく、雑でもない。

…激しく、優しく、意地悪で、真っ直ぐ。

その二面性と、両面の差が魅力的でも有る。


そして当然の様に、まだ繋がったままだが。

……何故なのだろうな。

全く萎える事を知らない様に猛々しい。

今も私を貪らんと爪牙を突き立てている獣の様で。

……~~っ、蹂躙される自分を想像し、身震い。

恐怖ではなく、期待(・・)だから困る。

それを誤魔化す様に話しを続ける。



「まあ、そう言われれば、そうなのだろうが…

それでも普通(・・)ではないだろう

聞いて想像していたものとは大分違うからな…

やはり、氣を使っている為か?」


「ん?、いや、氣は一切使ってないぞ」


「……………………何、だと……」


「因みに、氣を使えば数日は続けられるな」


「………いや、だが……まあ、そうなりもするか」


「不眠不休で、だけどな」


「………………」



事も無く言う忍様に絶句し──想像してしまった。

先程の想像も有り、人によっては屈辱的な事だろう容赦無い蹂躙に胸が高鳴ってしまう。

そして、目の前の獣は鈍くはない。

「試してみるか?」と。

視線で語り掛けながら、腰を軽く跳ねさせる。

此処で冷静に「いや、流石に身体が…」と言えれば止めてしまえたのだろう。

しかし、私自身には待望の初夜である。

未経験が故に、目先の欲求と好奇心に負ける。

後悔とは後でするものなのだから。



──side out



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