表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋姫†異譚  作者: 桜惡夢
204/238

   根差す大地は皆同じ


右北平郡の統合は、はっきり言って超楽です。

元々、邪魔な存在は先に片付けて有りますからね。

残っているのは民を含めて真っ当な孫家支持者。

雪蓮達が俺の妻となり、その子供達が軈て治める。

それを俺の口から直に聞けば、納得もし易い。

勿論、口先だけでも、騙してもいない。

将来的に右北平郡を治めるのは雪蓮達との子供達。

それを支えるのも、星達との子供達だけどね。

其処までは一々言う必要も無いので言いません。


まあ、何にしても事が問題無く進むのは良い事。

こういう時、如何に手を入れる箇所が少ないのかで改めて前任の統治者の能力が判ります。

その意味では雪蓮達は間違い無く優秀ですよ。


──とは言うものの、人の欲は際限の無いもの。

どしても、無い物強請り(・・・・・・)を考えます。

問題が無い事が良いのは確かなんですが。

無さ過ぎる(・・・・・)事も意外と悩みなんです。

人材育成には苦境に放り込んだり、トラブルが起き追い込まれる位の方が成長にも良いんですから。

ずっと、そんな環境ではストレスで潰れますが。

そういう状況を用意したり、探すのも大変なので。

結局は、遣れる時に遣る。

これしかなく、これが重要になるんですよ。

その一つが後々に影響すると判っているなら。

ちゃんと、良い方向になる様にしないとね。


尤も、それに気付けるか否かが抑の分岐点。

それを見逃す様では、人の上には立てません。

鈍感さが有って良いのは、ストレスやネガティブに対する抵抗力としてです。

それ以外の事で鈍い人には俺は付いていけません。

だって、不安で仕方無いですからね。



「──ほい、脇が甘い」


「きゃあっ!?」



可愛らしい悲鳴を上げ、両腕で身体を抱く様に屈む蓮華は恥ずかしそうにしながら俺を睨む。

「脇が甘い」とは言ったが、脇腹を触ったという訳ではないし、本当に脇を触った脇でもない。

もっと敏感で、触れられると慌てる場所。

一部で“脇乳”と呼ばれる、外側の下乳。

寄せて上げてをする時に重要な部位、と言った方が判り易いかもしれない。

そして──垂れると女性には恥ずかしい場所です。

まだまだ蓮華には無縁な話ですけどね。


それでも、不意打ちで触れれば十分に恥ずかしい。

あと、序でに()にも優しく愛撫(ソフトタッチ)

ええ、蓮華でなくても恥ずかしいと思いますよ。

…え?、「セクハラだ!」ですと?。

婚約者──まあ、実質的な妻なんですけどね。

…ん?、「妻だろうとセクハラだし!」って?。

それは相手が()だったらです。

蓮華は恥ずかしがっているだけです。

決して、俺に触られる事を嫌がってはいません。

世の中のセクハラは一方的な事だから犯罪なので、双方合意の上でなら、それはコミュニケーション。

その一つの在り方でしか有りません。



「尤も、その指の動きは卑猥ですが」


「でも、それが良いんでしょう?」


「まあ、確かに…って、雪蓮っ!

何を言わせるんですかっ!」


「えー…愛紗が勝手に言っただけじゃない」



見学中──正確には順番待ちしている愛紗と雪蓮が他愛無い会話をしながら軽い口喧嘩。

実際には口喧嘩と呼ぶ程でもない。

尚、口論というには程遠い薄い内容ですからね。

止めもしませんよ。

アレもコミュニケーションの一つですから。


──と言うか、数日で本当に馴染むのが早いな。

愛紗達は経験豊富だから早いのも判るけど…いや、雪蓮だしな、うん、雪蓮だもんな。

遠慮なんてしないよね。


まあ、愛紗と雪蓮は放って置くとして。

不意打ちによって集中が途切れた事で一気に感じる疲労感から屈んだままでは居られず踞ってしまった蓮華に手を差し伸べ──ても無駄なので抱き上げ、椅子まで運ぶ事にする。


驚いて小さく悲鳴を漏らすが、俺に聞こえる程度。

恥ずかしくて抑えて、ではない。

本人は無意識なんだろうけど。

これも立派なアピールサインだったりします。

だから、俺が蓮華を可愛らしく思うのも必然。

抱き上げた際に左の掌が、しっかりと蓮華の左胸をホールドしてしまったのも偶然。

指が勝手に動いてしまうのも不可抗力なんです。

「嘘よっ!、絶対に態とでしょっ?!」と言いたげに睨む蓮華さん──御見事で御座います。

こんなにも魅力的な物を貴女が持っているから。

だから私は魅了されてしまうんです。

「……っ!?、ご、誤魔化されないわよっ!」と睨む蓮華の唇を奪い、「こんな風にです」と笑顔を見せ余計な事を考えずに押し切ります。

こういった時は思考する間を与えては駄目です。

そう、私は経験で学びましたからね。

──って誰だよ、そのモテ貴族的な俺は。

初顔だな、何処から沸いて出て来た。


──という脳内コントは置いといて。

蓮華を椅子に座らせて、軽くマッサージ。

本格的に遣ると寝落ちしますからね。

何事も程々が大事です。



「蓮華自身判ってはいるんだろ?

一番近い御手本が雪蓮(アレ)だから仕方無いが…

自分の頭の中の動き方と、実際の身体の動き方とで大きな誤差が生じているという実感は有る筈だ」


「………はい…」


「途中で諦めるというのは負けた気がする」


「ぅっ………はぃ…」



あまり認めたくはない事実を言われ。

更には、その理由として、図星を突かれる。

基本的に真面目な蓮華にすれば、視線を逸らしても逃げ切れない。

そういう所が良さであり、不器用さでもある。

まあ、ああいう姉と妹に挟まれてるとなぁ…。

余程振り切って割り切れないと、こうなるか。


──と言うか、思わず、「もう少し妹の事を考えて遣りなさい」とか言いたくなるな。

誰にとは言わないけど。



「それはそれで良い事ではある

ただ、それに拘り過ぎて自分の可能性を潰しているという事は否めないからな

その辺りを上手く割り切れないと損するだけだ

何より、自分が自分を信じないとな

憧憬や尊敬、理想や目標を持つのは良い事だ

だが、自分らしく在る事を忘れたら意味が無い

蓮華、御前は誰だ?」


「……私は、孫仲謀です」


「そうだ、他の誰かには成れない

だが、他の誰も自分には成れない

自分だけが自分であり、自分しか自分に成れない

まあ、こんな言い方をすると、ややこしいだろうが自信というのは文字通り、自らを信じるという事だ

他者から自分、或いは自分から他者に対する信じる気持ちというのは信頼であり、信用だ

そういう理由から自信を持つという事も有るが…

最後は大体が自分自身の意志に帰結するものだ」


「…そうですね、そうかもしれません」


「其処で直ぐに割り切れないのも自分らしさだ」


「むぅ…それは嫌味ですか?」


「そう聞こえるなら、それは蓮華自身が自分の事で気にしているという証拠だ

其処に何も思わなければ気にもしないからな」


「………意地悪です」


「蓮華が可愛いからだな」


「……姉様には直ぐに手を出したのに…」



「そう思うのなら私も…」と不満そうな蓮華。

聞こえない振りも出来ますが、遣りません。

それは蓮華を躍起にさせますからね。

額に軽く口付けし、明確な発言は避けます。

安い慰めや愛を囁く事は簡単なんですけどね。

それでは納得してくれないでしょうし、俺も自分で納得出来ませんからね。

──と言うか、似合わないと思います。

後、教祖の耳に入ると面倒なので。

ええ、何処に信者が居るか、もう判りません。

はっきり言って間者の方が遥かに見付け易いです。

別に密教や裏組織でもないのにね。

…俺の知らない所で、公認化されていますからね。

俺が公認してないのに何故?。

今更文句を言っても意味無いんですけどね!。


因みに、雪蓮に直ぐに手を出したのは立場的な事も理由ですが、放置すると華琳みたいに襲ってくると思ったからです。

そうなる可能性が高かったので、という事と。

まあ、純粋に俺も雪蓮が欲しかったからです。

うん、蓮華も可愛いけど、雪蓮はエロいので。

我慢出来る自信が無いなら、我慢はしません。

俺と雪蓮の場合、犯罪でも無いですからね。

相思相愛の何が悪いと言うんですか。

まあ、一応、表向きな理由としては早めに第一子を産んで貰う必要が有るから、なんですけどね。

建前は建前です。

勿論、其方に関しては心配はしていません。

ええ、避妊をしない場合の実績は十分ですから。


ああ、それから歳は雪蓮は三つ上、蓮華は同い年。

星・朱里・猪々子は一つ下です。

星と猪々子は違和感が無いんですが、朱里がね…。

「私達三人は同い年なんです」と。

笑顔で言われた時、リアクションに困った。

いや、情報としても事実としても判っていますよ。

それも歴とした個人差なんですから。

ただね、どうしても違和感が…拭えません。

──と言うかね、一つ下の雛里と身長は変わらない朱里なんですが…実りは負けています。

いやまあ、俺が頑張っていますからね。

そういう意味では当然と言えば当然ですが。

クックックッ…我が手に掛かれば、こんなものよ。

──いえ、済みません、調子に乗りました。

無理なものは無理、という事も有ります。

月に「もう少し身長が…」と御願いされましたが…我が力、及ばず…無念、でしたので。

まあ、実りに関しては実績が有りますけどね。


──とは言え、それは夫婦となってからの話です。

入籍制度は有りませんから「夫婦になる」と言えば婚礼の儀式を行う、という事になりますが。

まあ、宅の場合は俺と事実上の夫婦になる事です。

だから、雪蓮は俺の妻を名乗れます。

基本的に妻達は必要以上に出しませんけどね。



「結果が判っていれば最短で至る事は出来る

けど、本当の高み(・・)に近道は無い

「無駄だったかも…」と思うだろうが、その考えははっきり言って間違いだからな

遠回りな道程に思えても決して無駄ではない

ちゃんと蓮華の成長の糧になっている」


「………貴男は何でも御見通しなのね」


「蓮華の事だからな」


「──っ!?、~~~~っ…そんなの狡いわよっ…」



「だったら、焦らさないでよっ!」と言いたげだが蓮華自身の成長の為にも今は我慢すべき。

真面目だが、依存気質でもあるからな。

俺に依存する事自体は悪くはないんだけど。

依存すると、人は成長し難くなるもの。

まだまだ蓮華には伸び代が有りますからね。

その可能性は潰せません。

勿体無い。


…雪蓮?、雪蓮も根っこは依存気質ですが、立場が自立を促してましたからね。

その辺りは心配要りません。

…まあ、自律心は鍛えないといけませんが。

今は、一人で背負って頑張っていた分、思う存分、甘えさせてあげます。



「むーーーっ、御姉ちゃん達ばっかり狡いーっ!」


「いや、まだシャオ様には早いだろ?」


「猪々子なんてシャオより無いじゃないっ!」


「なあっ!?、そんな事無いってのっ!

………そうだよなっ、朱里っ?!」


「はわわっ、わわわ私でしゅかっ?!」



小蓮に一撃(・・)貰った猪々子が自分の胸を触って確認し朱里に話を振った。

側に居る星ではない辺り、冷静ではあるのか。

──と言うかね、小蓮よりは全然有りますから。

まあ、年下の焔耶や蒲公英・人和の方が有るけど。

それはほら、個人差だからね。

あんまり気にしない方が良いと思うよ。


少なくとも、今の猪々子は可愛いと思うので。

原作の文醜は個人的に残念なキャラ設定だったし。

ある意味、彼処までぶっ飛んではいないので。

普通にボーイッシュで純粋な元気っ娘ですから。



「大人気ですね、忍様」


「妬いてるのか?」


「さあ、どうでしょうか」


「そうか…残念だな、妬いてくれているんだったら俺も少しは親しくなる為に頑張る所なんだがな」


「~~~~~っ」



嫉妬から揶揄ってくる蓮華。

それに敢えて乗り、「知らないわよ」と外方を向き気を引こうとする蓮華に仕返し。

「私を構って!」と言う様に見上げながら睨む姿は微塵も恐くは有りません。

寧ろ、ブレーキを自主的に破棄しそうな小蓮の方が遥かに身の危険を感じますからね。

少なくとも自制心の有る蓮華の方が安心。

そういう蓮華が相手だから出来る事ですから。














         とある義妹の

         義兄観察日記(えいゆうたん)

          Vol.24

















 曹操side──




▽月▽日。


──────我、勝利せり。






「──御兄様っ、御兄様ァッ、御兄様ぁアッ!!」



御兄様の上に跨がり、激しく攻め立てられる。

反動で身体が離れる事を嫌い両腕を御兄様の首へと回して抱き付けば、動く度に胸が潰れ、擦れて。

御兄様が複数人居いるかの様に錯覚する。

──なんて考えられる様は今は無い。

ただただ、御兄様を求める。



「──っ、御兄様っ、わ、私っ、もうっ!」


「ああ、一緒にな」


「はいっ、下さいっ、御兄様の熱いのを私にっ!

~~~っ、んンンッ──ぁアァあアアーーーッ!!」



荒々しく激しい脈動。

けれど、それが堪らなく愛しく、嬉しいと感じる。

それは私自身が御兄様を求め、望んでいるから。

欲した未来が実現しているから。

だから、この瞬間を幸福だと感じる事が出来る。

「私自身の喜びよ」と断言する事が出来る。


世の中には、望まぬ事に心を壊す女性も居るのに。

こうして幸福を享受出来る私は恵まれている。

そう、御兄様を感じる程に私は強く思う。

御兄様に出逢えて本当に良かったと。


そして、待ち望んでいた日が私にも訪れた。

御兄様から「華琳、俺の子を産んでくれるか?」と言われた時の私の歓喜は言葉では表せない。

孰れ、その時は来るのだと理解してはいても。

御兄様を信じてはいても。

やっぱり、私は一人の女なのだと改めて判った。

私が御兄様の子を産める。

その事実が心身の深淵から猛る炎を噴き上げる。


もう何度目になるのだろう。

普段なら、私自身も気を失って眠っている所。

それなのに一向に眠気は感じない。

寧ろ、御兄様を感じれば感じる程に意識は醒める。

「もっと、もっとっ、もっとっ!」と。

際限無く御兄様を求め、欲し、貪り合いたい。

自分でも抑え切れない程に。

信じられない程に飢えに餓えた渇望。


けれど、その一方で納得も出来る。

「そうよね、私の御兄様への愛に果てはないわ」と開き直るかの様に胸を張っている私が居て。

それに反対したり、否定したりする私は皆無。

全私一致で、「それじゃあ、もっと御兄様に!」と意志は可決される。



「大丈夫か、華琳?」


「…は、はぃ…御兄様…」



──とは言え、肉体的に限界は有る。

氣を使えば、まだまだ出来るのだけれど。

御兄様との子作りでは一切の氣の使用は禁止。

どんな影響が子供に出るか判らない以上、子供達の生命と安全の為にも決して破っては為らない事。

だから、もどかしくも有る。



「まだ始めたばかりなんだ

そんなに焦る必要は無いんだからな」


「…はい、御兄様…ですが…んっ…」


「判ってる、落ちるまで続けるから覚悟しておけ」


「はいっ、ぁんっ、御兄様ぁっ、ぁぁあっ…」



そう仰有って力の入らない私を抱え体勢を入れ替え覆い被さる格好で動いて下さいます。


そう、これから数日は夜は私が最優先で独占出来る事が決まっている。

雪蓮は、ここ数日独占していたし、日中も有る。

他の皆も理解し、融通してくれている。

それは事前に私も融通していたから。

私達は妻同士、御互いに譲歩し合えている。

それに加えて御兄様が上手く調整もして下さる。

こんなにも夫婦円満な統治者の家庭は滅多に無い。

それもこれも全ては御兄様が居てこそ。

後宮建設の計画も進めなァあアアッ!?

お、御兄様っ!?、ち、違っァアアッ!、そんなっ、あぁアァアアッ!!、御兄様ぁアァ────



──side out



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ