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恋姫†異譚  作者: 桜惡夢
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88話 仰ぎ見る雲は違えど


技術が発展・進歩し、新しい技術も生まれる。

それは単純に素晴らしい事だ。


ただ、それを扱う人々の意識や能力が伴うのか?。

そう問うたなら、果たして全人類100%の肯定が得られるのだろうか。

先ず間違い無く、それは不可能だと断言出来る。

何故なら全世界規模で見たなら、確実に技術格差は存在しているのだから。

それを無視して肯定する者は只の無知。

或いは、本当に自分勝手なだけの者だと言える。

自分を基準に、自分の知識でしか考えていない。

そんな狭い範囲の中でしか、物事を考えない。

どうしようもなく、愚かで矮小で傲慢。

そう、ある意味では正しく人間だと言える。


極論を言えば、自分が生きているからこそ、世界に存在する意味が有るのであり。

自分が存在しなくなった世界には意味は無い。

ただ、自分が何かを遺せたなら。

それを誰かが受け取り、引き継いでくれるなら。

死は自己の消去ではなく、次代への受け渡し。

自分の死にも、確かな意味と価値が生まれる。

そう考える事も出来るのだろう。


技術と共に社会的に大きく変わったのが情報量。

曾ては人から人へ声と言葉を介して伝えていた。

それが文字という手段により、手紙という遠くまで情報を正確に伝える事が可能となった。

更には電気信号化、電子化といった技術が登場し、情報伝達の手段は拡大し、速度も上昇した。


同時に世界の情報量は一気に膨れ上がっていった。

その為、情報の真偽が定かではない可能性が高まり鵜呑みにして事件や大混乱となる事例も増えた。


皮肉な事に、情報社会と呼ばれるが、それは一方で人類は情報に気付かぬ内に依存し、支配されているという意味も含んでいると言える訳で。

その事実に気付かない理由は、情報を一手段としか捉えてはいない無意識の危うさから。

本当に自分が考えているのか。

或いは、情報に思考を誘導されているのか。

貴方は全てが自分の意思である、と。

それを確と証明(・・)出来ますか?。

殆んどの人が出来無い事でしょう。

何故なら、その思考の判断材料は情報。

その情報の全てが、本当に正しいのか。

それを立証する事は非常に困難な事なのだから。


そんな社会の中、誰かの助けになれば、と。

そういう思いから発信される情報も有ります。


学生や有名人、時には自爆テロに等しい事も。

自ら命を断つ、という事件が起きる。

その度に、報道番組などでは支援や相談をしている団体やホームページ等を紹介するのだが。

それは「私達は番組のネタに使いましたが、最後に悩んでいる方への配慮をしました」と。

言い訳の様に付け加えている様にしか見えない。


鬱病が深刻な社会問題となっている世の中。

あらゆる情報機関は常に、そういった情報が有ると積極的に示し、尽力するべきではないのか。


テレビやモニター、スマホ等の画面の端に。

番組中だろうと、CM中だろうと、生中継だろうと出し続け、示し続けなければ意味が無い。

何故なら、それは常に悩む人々の側に立ってこそ、始めて救いの手となるのだから。

必ずしも、そういう話題の時に見る訳ではない。

そういう物を見る気力さえ無いのだから。

だからこそ、何時、何処で、目にしようとも。

気付ける様に配慮してこそ、真の援助ではないか。


CMを出す企業の方々も、文句を言う訳が無い。

「いや、我が社は社会貢献はしない利益主義なので見知らぬ誰かを助ける気は無い」と。

そう宣言でもしない限りは。

企業は支持を得てこそ、利益を頂けるのだから。


役に立たない口先だけの政治家の様な事はせず。

きちんと視聴者に向き合い、届ける取り組み。

それを、情報提供に携わる全ての人々には意識して貰いたいと思う。

それだけでも、救われる人の数は増えるのだから。

人に優しい社会を目指すのならば。

先ずは優しく情報を届けられる社会にするべき。

弱い人の立場に立つ事が社会的に重要なのだから。



「ねぇねぇ~、()様~、シャオと二人っきりでね、い・い・こ・と、しよ~?」


「何を言っているのっ、まだ貴女には早いわよっ!

そう遣って()様に迷惑を掛けないの!」


「早くなんてないもんっ!

大体、御姉ちゃんと違ってシャオは忍様にだったら何されても嬉しいし何でもしてあげられるもん!」


「わっ、私だって何でもしてあげられるわよ!」


「えー…本当に~?」


「本当よっ!」



──と、口喧嘩?、をしているの小蓮(・・)蓮華(・・)

小蓮は正面から俺の腰に抱き付く格好で俺の左腕を確保している蓮華を見上げながら。

蓮華は手を繋ぎつつ左腕も使い抱き締める様にして密着しながら小蓮と睨み合う。

歩いてはいないが、小蓮の位置取り(ポジショニング)には困った。

小蓮には反応しなくても蓮華には反応してしまう。

そして、それは蓮華には気付かれなくても小蓮にはしっかりと気付かれてしまう。

「ほらほら~、忍様も遣る気満々だよ!」とか。

そんな事を言われようものなら、蓮華が怒る。

「いや、これは蓮華の所為だから」とは小蓮の前で言えないですからね。

言ったら絶対に面倒な事に為ります。

「だったら、ちゃんと確かめようよっ!」とかね。

なし崩し的に二人を相手にする流れになる筈です。

蓮華は兎も角、まだ小蓮は早い。

いや、出来ますよ?、小蓮も可愛いしね。

出来ますけど、それはそれで色々と有るんです。

まあ、宅の家庭内事情という事なんですけどね。


それはそうと、蓮華さん?。

今の発言は撤回させませんからね?。

覚悟して置いて下さい。



「も~…二人共仲良くしないと駄目じゃない」



そう呆れた様に言いながら、しっかりと俺の右腕を抱き締めて自身の武器を押し合ててくる雪蓮(・・)

宛ら、銃口を突き付けられ「判ってるわよね?」と笑顔で脅迫されている様な感じだろうか。

…うん、全然違うよね。

いや、かなり状況は限定されるけど、似ていないと言う訳ではないんですが。


……蓮華も凄いけど、雪蓮のは反則だよな~。

それはまあ?、宅のサイズの頂点は咲夜なんですが身長とのバランスや、弾力性・柔軟性・感度。

更には肌の色の感じや艶や肌触り等々。

細かく言えば比較して選ぶ事なんて烏滸がましい。

あまりの奥深さに宇宙の神秘を重ねる程です。

──というのは流石に大袈裟かもしれませんが。

雪蓮の誘惑は俺には効果抜群です。

蓮華のは誘惑とまでは到っていません。

「私、貴男の事が気になるの…」とアピールして、アプローチしている感じですかね。

此方が我慢出来無い訳ではないので。


でも、雪蓮の場合は無理です。

いや、我慢は出来ますよ?。

ただ、此方が我慢しようとも、「えー、そんなの私知~らない」と襲ってくる訳で。

はっきり言って我慢しても無駄なんですよ。

だって、どういう経緯だろうと結果は同じです。

そして、始めれば彼是考えたりしませんからね。

結局は俺も雪蓮を求める事に為る訳です。

だから、我慢しようとする事自体が無意味。


一応、「我慢しようとはした」と言い訳をする為の見せ掛けだけの言動としては有りですかね。

…浮気のアリバイ工作みたいですけどね。

俺の場合、妻達の公認なので浮気には為りません。

──と言うか、雪蓮達も妻になる訳ですから。

そういう意味だと、小蓮も問題無いんですが。

それはそれ、これはこれなんです。

………多少、“三姉妹一緒の初夜”という魅力的なフレーズに心が屈し掛けた事は否めませんが。

因みに、それを言ったのは咲夜です。

余計な事を言って焚き付けてくれたので我が昂りは責任を持って咲夜に鎮めて貰いました。

ええ、昨夜、報告に行った時の話ですが、何か?。


──という話は置いといて。

昨日、孫家との決戦が終わったばかり。

それなのに三姉妹が俺に積極的なのも。

それを見て、孫家の臣兵が笑ったり、苦笑したり、微笑ましそうにしているのは、俺が示したが故。

全てに置いて上回り、完勝して見せたからこそ。

誰もが納得している。

“たられば”の話をする余地の無い程に。

そして、新しい主君の下での生活への期待から。

終わった事を引き摺っても意味が無いのだと。

しっかりと理解している為。


手間を惜しむと、こうは為らないんですよ。

だから動くべき時には動く必要が有ります。

非効率的でも、リスクが有ろうとも、非人道的でも確と未来に繋がるのであれば。

勿論、その責任を背負って、です。

無責任に遣ってはいけません。



「はわわわっ、どどどどうしましょう~…」


「ふむ、交ぜて貰えば良いのではないか?」


「交ぜっ!?、ぇええっ!?、ソそそそそそんなっ!?、いイいいいいきなりですかっ!?」


「だが、段階を踏んで交ざるのも可笑しくないか?

それならいっその事、いきなりだろう?」


「…………た、確かに…」



──納得するんかーいっ!。

いや、そこで納得するんじゃ有りません、朱里(・・)

どう考えても理屈が欠如しているでしょうが。


そして、()、変な事を吹き込まない。

…え?、何?、「どうせ生娘ですからな」だと?。

それは貴女もでしょうが。

今朝、挑発的に揶揄ってきたから揶揄い返したら、首まで真っ赤にして黙り込んだのは誰ですか?。

あまりにも可愛かったから、ついつい勢いで貴女のファーストキスを貰ってしまったじゃないの。

大変美味しゅう御座いました。

──とか言う脳内漫才をしながら見詰めていたら、此方を見た星と視線が重なった。

──が、即座に外された。

然り気無い様に見えるが、貴女、耳が赤いですよ。

何ですか、そのギャップは。



「…むっ…もう星にも手を出したの?」


「そういう訳じゃない──事もないか…」


「まあ、無理矢理じゃないんでしょうけど…

どの道、そうは成るんだしね」


「まあ…それはな」



蓮華達には気付かれない様に耳許で囁く雪蓮。

息が擽ったいが、反応したら悪戯されるだろうから平気な振りをします。

普段、俺が遣る事は有っても遣られはしませんので免疫や耐性は実は滅茶苦茶低いです。

唯一、咲夜だけは遣ってきますけどね。

それも戯れ合う程度。

或いは、本番前の盛り上げ(・・・・)としてです。

本気で、それだけを遣ろうとはしません。


ですが、彼女は違う。

雪蓮なら、本気で遣ろうとしますからね。

事、閨での主導権だけは譲れません。

いえ、正確には男としての意地、プライドです。



「…なぁ、星、アタイも交ぜて貰えるかな?」


「マ、ゴホンッ…交ざりたいのか?」


「出来る事なら交ざりたい」


「はわわわっ、猪々子ちゃん大胆ですっ!」


「…して、その心は?」


「シャオ様が行けるなら、アタイも行けるだろ」


「「……………」」



そう言いながら自分の胸を揉む猪々子(・・・)

その言動に二人は言葉を無くす。

──が、我に返った朱里が自分の胸を触る。

朱里からしたら他人事では有りませんからね。

気にしてしまうのは仕方が有りません。


ただね、猪々子にしても無い訳ではない。

ちゃんと膨らんでます。

ただまあ、雪蓮や蓮華、星が平均以上だからね。

其処と比較したら、大抵の者は劣りますって。

──と言うか、今のは小蓮に聞こえてますから。

俺の腰に抱き付いている小蓮が羞恥心に俯いたまま小刻みに身体を震わせていますからね。

言い争っていた蓮華が揶揄いもせず黙りましたし、もう間も無く怒り大爆発でしょう。



「────猪ぃー々ぃー子えぇーーーっっっ!!!!」


「──へっ?、ちょっ!?、シャオ様っ!?」



顔を真っ赤にして猪々子に飛び掛かった小蓮。

あんまりな辱しめに涙目になっていますね。

今は、下手に慰めたりはしませんけど。



「猪々子も馬鹿な娘ね~」


「全く…落ち着きの無い……っ!?…」



苦笑する雪蓮と、呆れる蓮華。

二人が腕を解放したので、今度は俺が抱き寄せる。

不意に腰に手を回されたので蓮華は驚きましたが、抵抗したり嫌がったりせずに身体を預けてきます。


雪蓮は言うまでもなく。

己が武器を密着させられる様に身体を傾けてます。

然り気無く上手いです。





 孫策side──


私自身を侵食し、飲み込んでしまいそうな猛り。

「熱い」としか表現のしようの無い昂り。

一度火が点いた様に燃え上がれば鎮まるまでには、かなりの時間を要する。

その間、自分自身でも危険だと感じる程に苛立つし攻撃的で血を見たくなり死を撒き散らしたくなる。

だから、誰も近寄らせないのが一番。


…随分と前は賊徒討伐を理由に殺しまくって、熱を鎮めていた時期も有った。

ただ、如何に何処にでも沸いて出る賊徒でも次第に数は減ってしまうもの。

其処で打開策を模索した。


莉乃に相談したら「夫を迎えては?」と言われた。

莉乃の話では性欲に近いのではないのか、と。

未婚で、未経験の私に判る訳も無く。

立場上、軽々しく試す訳にもいかない。


──と言うか、変な子種で子が出来れば、その子が可哀想になる。

だって、望まない、要らない子なんだから。

如何に自分が御腹を痛めて産もうとも。

愛情を懐けないなら、子を産む意味が無い。

欲しくもない子を産む事は、私自身も不幸になる。


だから、夫を迎えて、という事だったんだけどね。

結局、そういう相手は見付からなかった。


──忍に出逢うまではね。



「──ァアッ!、ンッ、あンッ、アァッ、ンンッ、やっ、ぃァあっ、ゃアッ、忍っ、忍ンッ!」



仰向けの私に覆い被さる忍に両手首を掴まれたまま押さえ付けられる様な格好で攻め立てられて。

離れている身体が温もりを求めて切ない。

唇を塞ぎ、舌を貪り、匂いを嗅ぎ合いたい。

御腹の中も、絡み合う半身も狂いそうな程に熱くて自身でしている時とは比べ物にならないのに。

私達の間に邪魔な空間が有る。

その事が堪らなく嫌で、もどかしい。


皮肉が融けてしまう程に抱き付いて感じたい。

潰れ壊れてしまう位に抱き締めて欲しい。


そう思って見詰めていると、両手が解放される。

迷う事無く忍の首に両手を回して抱き付く。

自分から唇を重ね、忍の唇から空気を貰う様に。

或いは奪う様に吸い付くし、自分から分け与え。

冷静な時には出来無い程に鼻息を荒く乱す。


忍の掌が頭を、髪を、頬を撫でる。

お尻や胸を強く鷲掴みにされる度に身体の奥の方で痺れる様に迸る刺激が狂う程に気持ち良くて。

再び、遣ってくる快楽の波を感じ取る。


あの、どうしようもなかった熱。

漸く、その答えを得た。

アレは私の“生欲(・・)”だ。

生きたい、という欲ではない。

命を生み(・・)、繋ぎたい。

性欲だけではなく。

子を産むだけではなく。

心身を尽くし、命を育み、繋いでいきたい。

私自身が、その一つの果てであり。

しかし、まだ途中でもある様に。


命の熱を忍に注ぎ込まれながら。

まだまだ収まらない欲求を今は嬉しく思う。



──side out



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