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恋姫†異譚  作者: 桜惡夢
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   繋がりの福音


結局、どんなに悩んでも物事や問題は解決しない。

結局、何かしらの行動をしなければ事態は動かず、自分の置かれた状況も変わらない。

他者によって解決・変化する場合も確かに有るが、それで自分の何かが変わるという訳ではない。

寧ろ、成長する糧を、機会を手離したも同然。

そして、同じ様な事態に陥った時。

或いは、身近な誰かが似た状況に置かれた時。

結局、自分は何も出来無いんだという事を。

何も変わってはいないんだという事を。

その時に為って、漸く理解する事になる。


その結果、得る物は有るのだろうか?。

その結果、何れだけの物を失うのだろうか?。


──とまあ、そういう訳でして。

彼是悩みながらも恋と二人きりという状況を作り、自分自身を追い込んで覚悟を決めたというのに。

まさかまさかの、御姉様方による梃子入れがっ!。

いやまあ、その御陰で気持ちは一気に楽になって、無事に恋との初夜を成し遂げられた訳ですけど。



「──で、どうだったの?」


「何がだ?」


「何がって…その…恋に、ちゃんと教えられたかを訊いてるのよっ、ばかっ…」



そう言って顔を赤くする咲夜。

「いや、訊いたのは御前だからな?」とは思っても流石に口に出したりはしません。

ええ、その位の配慮は出来ますとも。


まあ、そんな咲夜の反応も仕方無いんだと思う。

自分や他の面子の事なら、もう少し気にしないでも話が出来るんだろうけどな。

恋の、しかも性教育に関しての話題だからね。

既に事後(・・)だろうと言い難さは有る訳ですよ。



「…まあ、大丈夫……だとは思う……多分…」


「…何よ、随分と曖昧な返事ね」


「いやまあ、その…何だ……夫婦の営みや子作りに関しては先ず問題は無い

そう言い切れる

──と言うか、恋の場合、本能的過ぎて凄い」


「…………本能的過ぎてって…どういう事?」


「あー…ほら、御互いに「気持ちが良いから」って部分は少なからず有るだろ?」


「それは……まあ、そうよね、当然だけど…」


「うん、でもな、恋の場合は…純粋なんだわ…」


「……………?」


「だからな、純粋に妊娠する為の行為(・・・・・・・・)なんだよ」


「え~と………それって、つまり?」


「要するに、本人の意識に関係無く、搾り取る

物理的なだけじゃなくて、言動や表情とかも含めて男を──雄を誘い、貪るって感じでな

はっきり言って、俺じゃなかったら一発必中だな」


「………大丈夫、なのよね?」


「流石に今は氣も使えるし、経験も有るからな

…まあ、それでも「…あ、これはヤバい…」って、直ぐに冷や汗が出そうになったのは事実だ」


「…………恋、恐ろしい娘…」



うん、マジでね、恋の場合はヤバい。

咲夜が華琳達同い年四人組で談笑している恋を見て御約束的な台詞を言ってますが。

冗談抜きで、昨夜はヤバかった。

多分、白蓮達が妊娠──いや、出産する前だったら初夜で持って行かれてたかもしれない。

今は少なからず親に成る事の覚悟や実感が有る。

だからこそ、意志を以て自制出来たんですが。

…要するに、避妊出来ずに恋が妊娠してた可能性が高かっただろうなって事です。


恋の場合、身体の反応が凄いのは確かです。

ただ、それ以上に他の要素が恋の場合は危険。

先ず、普段はクールな秋蘭ですら、俺と過ごす時は乱れ舞い、とても艶やかに唄ってくれます。

時には男を魅了し、本能を昂らせる為には、それが演技だろうと必要な訳でして。

そういう教育をする場合も有るんだとか。

いや、宅の妻達は違いますけどね。

それで、恋の場合、元々口数が少ない娘ですから、其処まで激しい反応は予想してはいません。

実際、そういう事は有りませんでしたしね。

ただですね、恋の喘ぎ声って口数と同様に吐息的、或いは我慢しているみたいな感じでしてね。

何と言うか…背徳感が物凄い湧いて来まして。

ええ、滅茶苦茶興奮したんです。

──あ、犯罪的な趣味は有りませんよ?。

飽く迄も、そういう感じがしただけですからね。


それから、強請り方も恋はストレートなんです。

別に祭達みたいな「子種を~」だとか言ったりする訳ではないんですが、火照ってる身体を見せながら言葉少なく「…兄ぃ…もっと、して?」と。

そんな強請られ方をしてみなさい。

男としては猛らずには居られませんって。

…まあ、其処で「兄としては?」と訊かれたなら、俺は「勿論、兄として妹の意志を尊重する!」と。

そう答える事でしょう。

尤も、「いや、それで良いのか?」と言われては、何も言い返せませんけどね。


更に、時々切なそうに俺を見る眼差しや呼ぶ声は…男としての本能を否応無しに刺激します。

ええ、其処までされて奮い起たないなら、男として終わっていると言えるのでは有りませんかっ?!。

…まあ、人各々、理由は有るでしょうけどね。


兎に角、そんな宅の恋は──可愛いんですっ!!。



「……要するに、理性飛ばされ掛けた訳ね…」


「そうとも言うな!」


「華琳が知ったら──んむっ…」


「……解っているよな、咲夜?、んん?」



「其方こそ、解っているわよね?」と言う眼差しで俺を言外に脅迫してくる咲夜。

ああ、解っている、解っているさ。

口止め料(代価)は必要だからな。

貴様の要望、俺に出来る範囲で飲もうじゃないか。

そう、口封じをしている時点で共犯になる。

関われば、知れば、人は誰しもが共犯者である。


──というのは置いといて。

まあ、恋への性教育──子供の作り方は指導済み。

ただ、今直ぐには妊娠出来無いという事も説明し、恋からも理解と同意を得ている。

……その際、「…兄ぃの敵、全部排除する」なんて真顔で言い出したから、兄は頑張りましたとも。

頑張って恋に愛を伝え、明後日の方向に突き抜けて行ってしまいそうなのを掴まえましたとも。

いや本当にマジでね、殺り(・・)兼ねないから。

華琳とは違う意味で、恋もブラコンですから。

「何処で育て間違えたかなぁ…」って思いますが、可愛い妹であり、愛する妻、大切な家族である事に変わりは有りませんからね。

ええ、其処ぉっ!、「人、それを諦念と云ふ」とか言うんじゃ有りませんっ!。

こち虎──いや、此方は大真面目なんですから。



「それはそうと…雛里との子供は五年以内よね?

第二陣(今回)に入れなくて良かったの?」


「あー…まあ、約束だから、守るつもりだし、まだ期間的には余裕が有るからな

俺が相手で、御前達となら、何時でも妊娠するのは難しくない──と言うか、大楽勝だからな~…

一年前(・・・)でも十分だろうとは思ってる」


「…けど?」


「愛紗が六ヶ月を越えたら、御前と雛里には俺との子供を妊娠して貰うつもりだ」


「──っ!!……そういう事、いきなり言う?」


「まあ、そういう話の流れだったからな」


「……恋と穏は日が浅いから一年以上経ってから、というのは理解出来るけど…華琳は?」


「…悩み所だが、華琳の代役は居ないからな…」


「それは……ええ、そうね、確かに現状では華琳が抜けた場合の影響が大きい事は否めないわね」


「最低でも幽州の半分は獲ってからだな」


「それ、恋に言ったら頑張って(・・・・)くれそうね」


「それ、冗談でもマジで笑えないからな?」


「解ってるわよ」



そんな会話をしながらも、御互いに理解している。

こういう事を言い合える関係が意外と重要だと。

以前の白蓮達ではないが、一人で抱え込んでしまうという状況に陥る事は誰にでも有り得る事だ。

勿論、だからと言って普段から周りに任せっ放しな輩には人の上に立つ資格は無い。

責任を負う、というのは覚悟する事だけではなく、実際に行動と結果を求められるのだから。

その重責の中、冗談っぽく愚痴を吐ける事。

とても些細で、一見簡単な事の様だが。

これが中々に難しく、得難いのも事実。


俺の場合、華琳達という長い時間を一緒にしている気心の知れた家族が妻であり、他の面々も刺激され似た様な感じだから助かっているが。

普通は、そういう相手が一人居るかも難しい。

その中でも、咲夜は特別だと言える。

ある意味では、共に背負う(・・・・・)身だからな。



「──で?、産んでくれるのか?」


「…全くもぅっ…今の私に断る理由なんか無いって知ってるでしょっ…ばかっ…」



そんな感じで拗ねる様な態度で照れながらも咲夜は明確な言葉の代わりに身体を預けてくる。

御互いに面と向かって、改めて言うのは…ね?。

どうしても気恥ずかしさが勝るんですよ。

勿論、真剣な時には別ですが。

まあ、これは再確認(・・・)でしか有りませんから。

嘘から始まった関係。

それでも、御互いに懐いていた想いは本物で。

だからこそ、こうして共に在ると誓った時から。

俺にしても、咲夜にしても、望む意志は同じ。

ただ、一応は言葉にして伝え合わないとね。

「解ってるんだろ?」では駄目なんですよ。

こういった大事な想いは言葉にしないとね。






「──っていう真面目な空気は何処に行ったの?」


「…それを今更言うか?」


「今更なのは判ってるわよ…

でもね、この状況だと流石に言いたくもなるわ…」


「あー……まあ、そうかもなぁ…」



そう愚痴る咲夜は一糸纏わぬ姿で俺の前に居る。

汗ばみ上気した肢体は男を誘い酔わす極上の美酒。

ただ眺めているだけでも本能が猛り滾ってくる。

ネタ元(オリジナル)よりも豊巨な双峯。

その魅力()を知っていればこそ、更に高まる。

想像力は最高の刺激(スパイス)なのだから。


そんな俺達の周囲には寝息を立てている一糸纏わぬ華琳・恋・凪・真桜・白蓮・穏・春蘭・秋蘭・紫苑

・祭・雛里が居たりする。

妊娠したばかりの愛紗、兆候の有る月・冥琳以外は既に関係を持つ全員が此処に居る。

そして、綺麗な姿で、という訳ではない。

慣れてしまっているとは言え、現状は真っ最中。

事後処理は何一つしてはいないままだ。

だから、寝室内に籠る熱気と、男女の淫香(・・)

それは、ある種の媚薬に近いとも言える。

…まあ、鎮静化(賢者タイム)に入れば別ですけどね。


取り敢えず、華琳達の姿は………エロいです。

ええ、そう一言でしか言い表せない惨状です。

ええまあ…うん、客観的に見れば酒池肉林だよね。

勿論、ノーアルコール、ノードランクですけど。


まあ、要するにです、一夫多妻の夫婦円満の為には必要不可欠な、「皆纏めて掛かって来いやーっ!!」な時間だった訳なんですよ。

人数が増えれば、一人一人との時間は減ります。

その中でも、先に関係を持ったり、妊娠・出産した面々は新妻に時間を優遇してあげる事も重要。

──とは言え、建前と本音は別ですからね。

こう遣って早めに就寝する──という名目で時間を作っては一緒に過ごしてる訳なんです。


ただまあ、今回は…ちょっとね。

普段だと最後に残ってる華琳が既にダウンしているという状況が物語る様に…激しかった訳で。

その原因が──新妻さんの恋だったりします。



「…貴男が言ってた意味、よ~~…っく解ったわ

側に居るだけでも本能が疼いて仕方が無いもの…」



そう言いながら、俺に抱き付いてくる咲夜。

既に何度かはしているが…その火照りは冷めず。

…寧ろ、咲夜の俺を見詰める双眸には淫魔の刻印(ハートマーク)が浮かんでいる様にさえ思える。

──と言うか、華琳達ですら抗えなかった状況下で距離を取って自制心を働かせていたのは凄いな。

その精神力は伊達に“元・女神”ではない訳だ。

…尤も、今は独占したいから、我慢していた、って言うのが本音かもしれないが…言わぬが花。

態々刺激する必要は有りません。



「…んっ……ちゅっ…ヂュッ……チぢゅ…んぅ…」



今にも襲い掛かられそうな餓えを感じさせながらも実際には、じっくり、ねっとり、たっぷりと。

焦らし味わう様にキスから入る咲夜。

それだけで言いたい事は伝わってくる。

「今だけは二人きりなんだから…ね?」と。

普段は抑えている独占欲を曝け出す様に。

甘え、求める咲夜を強く抱き締める。














         とある義妹の

         義兄観察日記(えいゆうたん)

          Vol.22




















▽月□△日。

白蓮達が無事に出産し終え、御兄様に跡継ぎとなる子供──息子達が出来た。

御兄様に私も居るのだから無事なのは当然だけれど世の中には先天的な疾患を持って生まれる子供達は決して少なくはないとされている。

そういう意味でも、無事に、という事。


…まあ、それ自体は、とても喜ばしいのだけれど。

やはり、一人の女としては複雑な気持ちは有る。

そんな私の気持ちを察して、御兄様は激しくて。

私に「産むか?」と訊いて下さいました。

勿論、「はいっ!」と答えたいのが本音ね。

けれど、今は子供を産むよりも御兄様を支える事が私にとっては優先順位が上だと言えるわ。


まだ幽州を獲り切れてはいない事。

私自身には背負う家や家臣が居ない事。

それらを考慮すれば、専念すべきは幽州獲り。


特に、冥琳と月が動ける内に、ある程度までは事を進めて置きたいのが私の正直な考え。

尤も、その辺りは御兄様も、冥琳達も同じ。

そういう意味では、意思統一は順調だと言える。


それから、穏と恋も漸く御兄様の妻に。

穏は予想の範疇だったけれど…恋は凄いわね。

同性の私達でさえも当てられてしまう色香。

それが意識的な物ではないから、余計に効果的。

──とは言え、それでも平気な御兄様は流石です。

この調子ならば、“万妻”楽園計画も現実に。

フフフッ…頑張って下さいね、御兄様。




そんな変化が有っても、私達の日常が劇的に変化し置かれた状況が変わるという事は無い。

──とは言え、その小さな変化の中にも幸せは有り私達の心に優しさと潤いを与えてくれる。



「誠は母親に似ず、堂々としたものね」


「ぅぐっ…まだ昔の事を言うのかよ…」


「こういうのは一生言われるものよ

少なくとも、その昔の事を知っている者が居る限り言われない可能性の方が低いと言い切れるわね

抑、その貴女だって璃々達が大きく成って同じ様に御兄様との子供を産んだら…どうかしら?」


「………はぁ~…そうだな、多分言うだろうな…」


「ええ、だから、そういう事なのよ

それにしても……久は妙に胸が好きね…

…御兄様に似て?…いえ、男性は大概は胸が好きだという話だから可笑しくはない?…だけど…」


「……それ、真面目に悩む様な問題か?

単純に触れてて面白いだけなんじゃないか?」


「それなら構わないけれど…三~四歳に成った位で侍女の胸を触って遊んでる久の姿を想像したら?」


「………………笑えないな…」



頭を抱えて項垂れる白蓮に「ほら、見なさい」と。

そう口にしたくは為るけれど──堪える。

困り顔の紫苑が居るしね。

因みに、祭と梨芹は本格的な復帰に向けて仕事中。

いきなりは難しいもの。


それにしても…維と義は手が掛からないわね。

何故かしら。


──side out



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