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恋姫†異譚  作者: 桜惡夢
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    月隠れ


家族サービスは休日の父親の役目である。

そんな既成概念は何時・何処で・誰により、現在の世の中に広められたのだろうか。

その無責任な奴──出て来いやあっ!!。


──と言いたい、世の父親の皆さん。

きっと「俺は毎日の仕事で疲れてるんだから休日は休ませてくれ、頼むから」と思うのでしょう。

ですが、それを奥さんの立場で考えてみましょう。

確かに、家族を養う為、仕事は大事です。

しかし、その分、奥さんは家事をし、子育てをし、休み無く、家庭を、家族を支えています。

それを「いや、当然だろ?」と思いますか?。

もし、そう思うなら、こう私は言いましょう。

「なら、養う為の仕事も当然の事だろ?」と。

つまり、仕事を言い訳には出来無い訳です。

勿論、仕事の都合で休めない、といった場合には、奥さんや家族の理解が大事ですが。

「休日だから」「仕事で疲れてるんだ」は言い訳。

正当化する理由には当たりませんよ?。


もし、休日が欲しいのなら。

奥さんにも同じ様に休日を。

父親も、母親も、夫も、妻も、御休みして。

個人の時間、或いは恋人の時間を作る。

そういう取り組みをしてみませんか?。

そうすれば見えていなかった事が見える筈です。



「──という訳で、兄は家族団欒に勤しむのだ」


「…兄様?」


「ん?、どうした、流琉?」


「ぇ?…ぁ、いえ、別に」



思わず出た心の声(呟き)に反応した流琉。

だが、俺は無かった事(・・・・・)にして誤魔化す。

…すまん、赦せ、流琉…心弱き情けない兄を…。


──とか一人心芝居を遣ってると季衣が戻る。

両手で抱えているのは最近御気に入りの肉まん。

俺が主導して開発した、日本風コンビニ肉まん。

前世の単価には敵わないが、それは仕方が無い。

機械作業が不可能な分、人件費は上がるのだから。

だが、高くても売れる価値が有るから無問題。

それに、この肉まんをヒントに安価で美味い商品を開発する商魂・職人魂逞しい人々が出るだろう。

それが経済・商業・農業を発展させる。

そう!、料理とは社会の中心に有るのだっ!!。



「はい!、兄ちゃん、あーん!」


「あー…んっ………んっ、美味い、良い味だ」


「んぅ~…んむぅんんふむもぉむん、ふもぅむ~」


「本当、そうだな…こう遣って買い食いが出来る、そういう世の中にしていかないとな…」


「もむむ、ふむぁむんむむ、はむんふ、むふはふ」


「ああ、食べて働いて笑って遊んで眠って…

そんな当たり前の日常を未来に繋いで行こう

それが今を生きる俺達の責任でも有るからな」


「…えっと…兄様?、何で会話出来るんですか?」


「ん?、いや、普通に判らないか?」


「普通は無理ですよ!

──って言うか、季衣っ!

「食べながら話すのは行儀が悪いから止めなさい」って華琳姉様に言われてるでしょっ?!

ちゃんと報告しておくからねっ?!」


「──んもおっ!?、ん゛む゛ぉ゛っ!?」


「ほらっ、だから止めなさいって言われてるの!」



そう言いながらも手持ちの飲み物を季衣に差し出し背中を軽く叩いてあげる流琉。

“喉に物を詰まらせた場合に背中を叩くと良い”は医学的には根拠が無いそうですが。

でも、大体の人が遣りますよね~。

自分だと、今の季衣みたいに胸を叩くし。

理屈じゃなくて、条件反射なんでしょうね。


──という微笑ましい様子を見て、ほっこり。

それは俺に限らず、隣に居る月も同じである。



「ふふっ、本当に賑やかで楽しいですね

私は末っ子ですから妹が居て羨ましいです」


「流琉も季衣も血の繋がりは無いが俺達は家族だ

だから俺の妻になる月にとっても妹で、月は姉だ

遠慮なんてせずに叱ったり、喧嘩したらいい」


「えっと…喧嘩も、ですか?」


「ああ、華琳達だって喧嘩はしてるからな」



「その理由は些細な事だけど…」と続く言葉を俺は飲み込みながら日常を振り返る。

いや、本当にね、喧嘩の原因の半分は食べ物だし、残りの四分の三は俺の事だからね。

正直、口に出す事は憚られる訳ですよ。

…ちょっと恥ずかしい内容だしなー…。


それは兎も角、それを聞いて月は二人を見詰める。

月自身は妹として亡き兄に可愛がられていた。

兄弟・姉妹という様に同性同士だから遠慮もせずに喧嘩したりし易い、という部分は有ると思う。

俺自身、華琳達とはマジな喧嘩はした事が無いし、何だかんだで信頼関係が確かだからの喧嘩だ。


そういう意味では月が気後れするのも理解出来る。

尤も、そんな壁は宅では役にも立たないけどな。

「遠慮?、何それ、美味しいの?」を地で行く娘が少なからず居ますからね。

だから実際に“喧嘩する程に仲が良い”んです。



「……私にも出来るでしょうか?」


「そうだな…なら、先ずは拳を握って、こうだ」


「えっと…こう、ですか?」



「むんっ」と気合いを入れる月。

ポーズ自体は確かにボクシング等のファイティングポーズなんだけど……うん、単純に可愛いわ。

月に喧嘩は無理な気がする。

だから、思わず頭を撫でてしまっていた。



「あ、あの…忍様?」


「うん、判ってる、俺は判ってるからな…

喧嘩なんて無理して遣る物じゃないんだ

だから、月は月のままで大丈夫だ」


「…へぅぅ~…」



言外に「月に喧嘩は向いていないな」と言いたいと伝わった様で月は少しだけ俯いてしまう。

ただ、落ち込んだ訳ではない。

──というか、「喧嘩に不向き」と言われたからと落ち込む女性は稀だと思うしな。

男だったら、ひ弱・軟弱といったイメージが付いて“情けない男”というレッテルを貼られてしまう為嫌がる可能性は高いんだけどね。


月が俯いたのは月自身も想像して可笑しかった為。

似合わない人には本当に似合わないからね。

──とは言え、怒らない訳ではない。

寧ろ、月みたいなタイプは静かに正しく怒る。

だから、怒らせたら、怒らせた者が確実に悪い。

逆ギレとか勘違いをする可能性が無いに等しい為、怒る機会自体が稀で、その分だけ増す(・・)からね。


ただまあ、俺としては「ぷんぷん月ちゃん」を見る事が出来たので十分だったと言っておこう。

いや~、癒されますな、本当に。



「…ぅぅ~……今のは忘れて下さい…」


「残念だが、それは非常に難しいな…

俺の心に強く刻まれてしまったからな

だが、安心しろ、誰にも言いはしない

これは俺と月、二人だけの秘密だ」


「二人だけの秘密……………はぅぅ~……」



…………いや、何故其処で真っ赤に為られます?。

可愛過ぎて更に惚れてまうやないけぇっ!。

…くっ!?、これが正統派の“囚われ系ヒロイン(助けて姫)”の実力だと言うのかっ?!。

これでは男は……そう、まるでゴキホイに誘われるゴッキーみたいではないかっ?!。

せめて…そう、せめてっ、砂糖に群がる蟻っ!。

ゴッキーよりはアンティーでっ!

いやまあ、そういう問題じゃないんですけどね。


そんな俺達の事に気付かない季衣。

気付いているから耳が赤い流琉は気付かない振り。

それだけでも、二人の違いが微笑ましい。

…まあ、流琉の期待が籠ったチラ見は流しますが。

いや、本当にね、まだ早いですから。


そんな流琉の頭を撫でて誤魔化し、歩き出す。

家族サービスを兼ねた月とのデートで親睦会。

何だかんだで複数の意義を内包しています。

その為、俺の舵取りの責任は重大な訳です。



「おや?、太守様に御嬢様じゃないの

今日は二人きりで逢い引きかい?、羨ましいね~」


「へぅっ!?……ぁ、逢い引きだなんて、そんな…」


「ええまあ、そんな感じです」


「……ぁぅぅ~~~っ……」



顔馴染みの御茶屋の女将さんに声を掛けられ、月は持ち直し掛けた顔が再び茹で上がる。

間違いではないから俺は否定はしない。

俺は空気が読めるし、その手(・・・)の選択肢の先も前世の教材(ゲーム)で学習しているからな。

「いや、違いますよ」や「家族団欒です」みたいな好感度が下がる言動は遣りません。

…まあ、その経験値が発揮される状況(ケース)は限られるし選択肢も絶対に正しい訳じゃないですが。

決して無駄では有りません。


失敗した後の事は、その時に考えましょう。

遣ってみなければ判らない事なんて多々有ります。

人生は常に選択肢で構成され、その正否が判るのが直ぐだとも限りませんからね。

遣り直せるなら、遣り直す事も選択肢の一つ。

死なない限りは、誰しもが選択し続ける訳ですから他者を参考にする事も、経験値に繋がります。




──という一日を過ごし、夜が訪れる。

日が沈めば、月が上り、月の時間となる。

寝台の端に座った俺の正面には夜着姿の月。

照れてはいるが、その瞳に迷いは一切無い。


「どうした、月?」だなんて訊くだけ野暮。

祝言を挙げるのは、まだ暫く先になるのだが。

婚前交渉が駄目という訳ではない。

勿論、遊んでいる男や女は結婚相手として考えると嫌煙されてしまうのは時代や国や世界を問わず。

そういう風評(イメージ)を気にする人は多い。

そんな中、互いに惹かれ合い、共に歩むのなら。

別に祝言前でも気にしない場合は珍しくない。

──と言うかね、前世でも婚前交渉は一切無しで、男女共に未経験の純潔を守る、なんて事は無い。

仮に、互いが初めての相手で、結婚したとしても。

結婚する前から関係は持っている訳だからね。

だから、これも可笑しな状況ではない。

董家公認だし、俺の妻達も公認。

抑、その妻達──華琳達とは祝言を挙げる前からの関係な訳ですからね。

その事に異論を挟む者は居ない、という訳です。


……ええ、まあ…月より俺が緊張してますよ。

だから彼是考えて気を紛らわせているんです。


──と、月が夜着の帯を解き、肌を晒す。

この世界って文明レベルは低い癖に、どうしてだか原作(ゲーム)と同じ様に縫製技術だけは高い。

そして、下着の概念も上下揃って有るんですよ。

うん、ただ、今の月には関係無い話ですね。

着物や浴衣等を着る際には下着を着けない、という昔ながらの伝統が有った様に。

どうやら董家の女性は夜着の下には下着を着けない風習が有るみたいですよ、ええ。

まあ、結局は脱ぎますし、手間を省くと考えれば…そんなに可笑しな事でもないですが。



「……あの、忍様?…可笑しいですか?」


「いや、とても綺麗で見惚れてたんだ…」


「…本当ですか?」


「ああ、その証拠に……ほら、もう我慢出来無い」


「ひぅっ!?……ぁぅぅ~~~~っ…」



流石に臨戦態勢に入っている姿は刺激が強いらしく月が悲鳴に近い声を上げた。

──が、月よ、それは今は逆効果でしかない。

男というのは少なからず征服欲・支配欲を有する。

その為、相手を従えるという行為は高揚する訳で。

其処に性的欲求が絡むと更に効果がドンッ!。

つまり、昂り、猛り、餓狼と化す訳です。


息を飲みながらも、視線は逸らさない月。

その眼差しには羞恥心よりも期待と歓喜が浮かぶ。



「…その…私……小柄ですから…あの……んっ…」



スタイルを気にするのは男よりも女性。

美意識の違いや魅力のズレも有るのだが。

バスト・ウエスト・ヒップは気になるらしい。

…まあ、俺の妻達(宅の面子)を見ると気にもなるか。

何気に超ド級が多数いるしな。


だがな、月よ、お前は気付いていないのだ。

確かに背丈で言えば華琳よりも小さいが。

その小柄さの割りには、しっかりとした実り。

まるで俺の掌に合わせて育ったかの様だ。

…ある意味、そう育った華琳は例外中の例外だが。



「ぁ、んっ…ぅんっ、ぁぁっ、んんっ、んぅっ…」


「月、声は我慢しなくていいからな?」


「で、でも、外に…」


「俺の部屋は特別仕様だから大丈夫だ

誰かに聞かれはしないから、安心しろ」


「は、はいっ、あっ、ぁアアッ、んクッ、アッ!?」



声を抑える必要が無いと判ると月が素直に唄う。

その美しく艶やかな音色に心を癒されながらも。

「もっと聞きたい」という欲求から演奏を続ける。

二人きりの愛の音楽祭。

それはまだまだ始まったばかりで。

夜は更けながら、月は高く上りゆく。





 董卓side──


御母様や御祖母様、華琳ちゃん達にも。

「頑張って来なさい」と送り出されて。

忍様の寝室に来ました。

嬉しいと言えば、確かに嬉しいのですが。

同時に物凄く恥ずかしくも有ります。

…ただ、自分に素直に為るのであれば。

忍様に抱いて頂ける事が嬉しくて仕方有りません。


きっと、これが他の誰かで有ったなら。

私は自刃を選んだかもしれません。

…仮に、家の為に承諾したのだとしても。

私自身は、心は、死んでしまった事でしょう。

それ程に私は忍様しか愛せなくなっています。

全ては、あの日の出逢いで決まったと言えます。


緊張しながらも忍様の前で自ら夜着を脱ぎます。

御母様達の御話では、自分の手で脱がす方が好きな男性も居るのだそうですが。

初めての時には、女性側からも積極的に行った方が男性側も行い易いらしいです。

尤も、忍様は経験豊富でしょうから。

それは当て填まらないかもしれませんけれど。

私自身の意志表示でも有りますから。

其処は覚悟を持って望みました。


結果としては……成功、だったのでしょうか?。

ええ、それはもう、沢山愛して頂きましたし。

少なくとも駄目だったとは思えません。



「そう言えばさ、月、一つ訊いてもいいか?」


「何でしょうか?」



まだ夜が開ける前に目が覚めてしまい、布団の中で忍様の匂いと温もりに包まれながら微睡んでいると不意に忍様に訊ねられました。

…ぁっ……華琳ちゃん達に聞いてはいましたけど…忍様って本当に凄いんですね。

昨夜、あんなに激しく、長く、何度もしたのに。

「まだまだ元気だ」って意志表示していますから。


それに胸を高鳴らせながら、平静を装います。

…あんまりにも貪欲過ぎて、淫乱だと思われるのは……………あれ?、別に困りはしませんね。

寧ろ、積極的に行ける様に為りますしね。



「ちょっと気になったんだけどな…

董家の伝統なのか?、その…下着を着けないのは」


「…………………………………………………ぇ?」


「いや、普通──まあ、華琳は除くとして白蓮達は普通に夜着の下には下着を着けてたからさ

それが一般的なんだろうとは思ってたんだけどな」


「………………………~~~~~~~~~っっ!!」



忍様の質問に頭が真っ白になって──続いた言葉で一気に現実に引き戻されて羞恥心に襲われます。

華琳ちゃんっ!?、あれ嘘だったのっ?!。

「ああ、そうそう、月、御兄様は夜着の下に下着を着けないのを好むから覚えて置くといいわよ」って言ってたのにーっ!。

恥ずかし過ぎて、忍様の顔を見られません。


だから、思わず忍様の胸に顔を押し付けていたら、忍様の右手が頭を撫でてくれて。

でも、左手は背中を撫でながら下りて行き。

「月が可愛過ぎるから、責任取ってくれ」と耳許に囁きながら、その猛りを私の中へと注ぐ。

三年以内?、来年には産める確信が有ります。

だけど、もっと確実にする為に。

もっと、もっと、もっと…御願いしますね?。



──side out



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― 新着の感想 ―
[良い点] 月はロリ巨乳的な良さがあるのだ( ˘꒳˘ ) [一言] 7ヶ月も読んでなくて、感想書けなかった…… 更新続いててとても嬉しい(´;ω;`)
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