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羽ばたけない天使  作者: 星海 あい
第1章 天界で暮らそう
3/3

03 天界とは

 

 前を優雅に歩くレシュカレティア様の後をついていく。

レシュカレティア様の歩みに合わせて、その背中の大きな羽がゆったりと揺れるのが目についた。


 通されたのは、アンティークな家具が置かれた応接室のような場所。ドアは無く、アーチ型の高い入り口があるだけだ。

あの広間のような部屋も同じ出入り口で、なんだか随分と開放的な造りの建物に思えた。

 促されて2人掛けのソファーに座ると、レシュカレティア様もテーブルを挟んで向かいのソファーに腰を掛ける。


「では、天界の事と、サトミの今後の事について説明します。」

「よろしくお願いします。」


 思わずピシィッと背筋を伸ばす。

なんだか、先生と面談してるかのような気分だ。


「天界とは、神により創られ地上の人々を見守る役目を負った天使と、天界に迎えるに相応しいと判断された人間のみが、死後に住まう世界です。サトミの場合、あなたの魂の持つ力の清らかさが、天界に迎えるに相応しいと判断されました。」

「はぁ。」

「こちらに迎えられたヒトの魂は、この世界の規則さえ守っていれば、自由に行動して良いという事になっています。たまに人の世に降りても構いませんし、こちらで気ままに暮らすも良し。この世界の規則とは、他人の迷惑行為をしない事はもちろん、人の世、ひいては人間に深く関わりすぎない事等があります。後で注意事項やこちらの暮らしについてを書いた冊子をお渡ししますので、詳しくはそちらで。」



 レシュカレティア様の言うことには、この天界で気ままに暮らしている人が約3万名、人間の守護霊として下界(人の世)に降りている人が約数十万名、転生して今はもう居ない方が数えきれないほどいるらしい。その内天界で暮らす人は、住まいを決めて近所の人と交流したり、こちらでも出来る生前の趣味をやったり、天使様のお手伝いをする等して暮らしているとか。


「住まう場所ですが、この世界に慣れるまでの間、一時的にこちらが用意した住居で暮らしてもらっています。もしサトミが気に入った住居を見つけ、その住居に誰も住まう者がいない場合は、引っ越すことも可能ですが。…とまあ、今言うべきはこんなものでしょうか。」


 ふう、とレシュカレティア様は息をついた。

話が切れるのは少しありがたい。あまり一遍に言われても覚えきれないだろうし。



「最後に。この世界では寿命などありません。ただ長い時が穏やかにあるだけです。もし、貴女が長い時に耐えられなくなるようでしたら、転生して人の世に生まれ直すという選択肢もあります。その場合、“貴女”の記憶は綺麗に無くなりますが。」

「転生…ですか」

「ええ。頭の隅にでも覚えておいてください。」


 天使様の真面目な声音に、私はただ黙って頷くしかなかった。

死んだと思ったらまだ“私”は存在していて、この世界で暮らすか転生するか。こちらの世界には来たばかりなので、すぐには転生しないとしても、天使様の言う“長い時”がどんなものなのかまったく想像もつかなかった。


「では、早速天界の一部を案内します。今日は私の管轄地区の中心街と、サトミが暮らす家とその周辺を案内します。」

「あ、はい。よろしくお願いします。」


 ふわりと天使様は微笑むと、立ち上がってまたゆったりと歩き出す。



 天使様に続いて建物を出ると、目の前には古いヨーロッパの街並みにありそうな建物が続いていた。

頭上には爽快な青空が広がっていて、降り注ぐ光が建物を美しく照らしている。石畳の道を歩いていく人や他の天使様がちらほら見えた。


「天使は、それぞれ管轄地区というものを持っています。ひとつの地区を数人の天使で管理しているのです。この街は、私の管轄地区の中心街セントポーリア。…では街を案内しますね。ついてくるように。」

「はい!」


 歩き出す天使様の後を追いかける。見知らぬ街が物珍しくて辺りに見とれつつ歩くため、傍目からみれば、私は神々しい天使様の後をちょこまかとついていくお(のぼ)りさんのように見えるんだろうな。少し居心地が悪いけれど、私は天界に来たばかりなのだから、仕方のないことだ。


「先程私達がいた建物は、我々天使が神々に祈りを捧げ、また神々が天使にその思し召しを示す、いわば礼拝堂のような場所です。特に用が無いならば、(いたずら)に立ち入ってはならない場所なので注意を。」

「わかりました。…あの、ところで、今はどこに向かっているんですか?」

「今向かっているのはこの街の図書館です。後で渡す冊子に書かれている事以外で知りたい事がある場合や、趣味として読書をしたい場合などで本を利用したいとき、何かと知っておいた方が良い建物ですから。」


 街の図書館。この街に早く慣れるためにも、知識を得られる場所は知っておきたかったから、天使様が案内してくださるのは嬉しい。


 天使様はずんずん広い石畳の道を進んでいき、やがて中央に立派な噴水のある広場に出た。そしてその奥に、赤い煉瓦(れんが)で出来た、大きな時計台のある建物が見えたのだった。



 読んでくださりありがとうごさいます。

 今回は、レシュカレティア様による天界の説明と、街の案内をほんの少し。

 もし誤字・脱字や言葉の誤用、ご意見等がありましたら、感想でくださると嬉しいです。


 次回は図書館の案内です。


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