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ヴァンジャンス  作者: 佐藤 弘
1/1

開幕

世界は不条理だ。

今日もいつもと変わらない朝が来る。窓から射す太陽の光。僕の周りには色々な事ができる人がたくさんいる。でも、僕には特技もなければ趣味もない。毎日がとても退屈だ。僕は今、少しだけ非日常を望んでいるのかもしれない。例えばいきなり超能力が目覚めたり、突然怪獣が現れたり・・・なんて起こることもない事をいつも考えてしまう。そんなことを考えてると、下から聞きなれた声がした。

「直哉?早く起きてきなさい。もうご飯できてるわよ。」と、そういわれ下に降りる。

朝食はパン一個だった。父さんはとても忙しそうにしながらも、僕を見ると「直哉、おはよう。」そういって微笑んでいた。僕も「うん、おはよう。」と返した。

朝から父さんが忙しそうなのは、遅刻をしそうという事ではない。日本は五年前に起きた第四次世界大戦で敗北したのだ。敗因は米軍が独自に開発した人型兵器ドールによるものだった。ドールとは人の体を改造して運動機能や皮膚の強度を向上させた人型の兵器だった。このドールのせいで敗北した日本は無法地帯になっていた。アメリカはこの機会をいいことに日本を植民地にした。そのせいで、成人男性は労働させられている。だから父さんは忙しそうなのだ。僕は特別なにかしようとは思わない。きっと誰かがやってくれるだろうと思っているからだ。

僕は学校に遅刻しそうなので、パンをくわえ家を出た。

学校に着くと人だかりができていた。「何が起きているんだ?」と、親友の泰地に聞いてみた。すると泰地は、「あぁ、なんかよ王とかいう科学者がドールに似たなにかを作ってるっていう根も葉もねぇ噂だよ。」

「ふーん、少し面白そうだな。」お前大丈夫かよ・・・と泰地に心配された。

その日の授業も退屈でいつもどおりで、とても長いような気がした。

下校時、泰地とゲーセンに行く予定だったのだが、泰地が急用があるとかで先に帰ってしまった。暇になったので、適当に商店街をブラブラしていると男の人とぶつかってしまった。

「あぁ、すいません。」そういってどこうとしたところ、その男は僕の口にハンカチを当ててきた。なんなんだと思っていたら、意識が遠のきそうになる。これはきっと催眠薬か何かだろうか。いったい誰が何の目的でなのか、僕には創造できなかった。意識が遠のく前に「ターゲット確保。」という声が聞こえた。

目が覚めるとそこはもの寂しい場所だった。天井には電球が1つあるだけだった。周りには何もなく、ひともいなかった。何が起きているのか僕の頭では理解ができなかった。そこに突然、扉が開いた。ガスマスクをつけたような性別もわからない人が道具のようなものを持っていた。

「お前らは誰だ?何が目的なんだ?」いつのまにかそう言っていた。機械音のようなくぐもった声で「うーん、そうだなぁ。まぁ裏の世界では王ってよばれているよ。」僕は朝泰地が言っていたことを思い出した。

「まさか、俺をドールに!?」ふっと鼻で笑ったような声が響く。「正解だよー。」いたずらをした子供のような言い方だった。僕が怒ろうとしたその瞬間、扉がもう一度開いた。なんだ?と思い扉のほうを見るともう一人ガスマスクをつけた性別不明の人が立っていた。その人は両手に何か持っている。その持っているものをみると、それは僕の両親だった。突如、胸に来る虚無感。僕の中で何かが切れる音がしたような気がした。

「な・・なんで!?」僕はそう叫んだ。「なんでってそれはね、人がいるんだよ。生きてても死んでても関係ない。人の血と人の骨がいるんだよ。」次の瞬間、僕の腹はナイフで貫かれた。さらに中の臓物を抉られた。そして次に、手足を切断された。親を突然亡くした感情と、体を弄くられる痛みとで頭がおかしくなりそうだった。そして最後に目を抉り取られたところで、僕の意識はなくなった。

起きたらそこは僕のよく知っている場所だった。

いつも寝ているベッド。いつもみんなでいたリビング。いつもみんなで食べていた食卓。いつもはそこで母さんが料理をしていたキッチン。でももうそこに母さんはいない。パソコンと本しか置いてない父さんの部屋。でももうそこに父さんはいない。非日常を望んでいたはずの僕だったのに、今はのどから手が出る程に元の生活に戻りたいと思っている。いつのまにか僕の眼からは涙が溢れていた。

「父さん、母さん・・・」この日、僕は生まれたばかりの赤ちゃんのように泣き喚いていた。外を見るともう朝でみんなが笑いあって登校している。僕だけがこんな目にあっていると思うと、惨めな気持ちになった。

世界は不条理だ。



面白くないかもしれませんが、頑張ります。

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