子供大人
ねぇ大人っていつからだと思う？
２０過ぎたら？独立したら？子供ができたら？
ねぇねぇいつからが大人で、いつからが子供だと思う？
私はどちらの立場で言ってると思う？
愛情が欲しかったけれど足りてなかったと自分で思う
客観的に見ては恵まれてる方だったとは思う
この客観的は衣食住を保証されてたからという注釈がつく
愛情の面だって、私が足りておらずもっとと欲しがっただけで
最低限生きていく分には保証されてたと思う
判っている 親だって人間だ
血がつながっただけの他人
DNAが似通っているだけで、親の育てられた環境と私が育てられた環境が違うのだから
親と私が同一となるはずもなく
ましてや例えば親がそのまた親の教育方針に反発して真逆に育てたのだったら、
親と同じように育つはずもない
それに時代からして違うしね
判っている 親はよく言っていた
自分は親に虐待されていたと
親はそうよく言っていた
思うに客観的に見れば親には親としては確かに子育てには足りていない部分が目立った
情報は言う
虐待を受けた子は虐待する子になりやすい
それは確かに納得できる
器が満たされていないのに、相手に注げる愛情はあるのか
与えられ方を知らないのに、相手に与えられるのか
私は分かるし理解できる
その程度の知性はあるし、その程度は学ばせてもらっていた
だが
だがだ
私はどうしても思ってしまうのだ
愛情が足りていなかったのだろうと
理解をするならば、私は納得せねばならぬのか、
私が耐えるべきなのだろうかと
自分は親に虐待されていた
親として不十分だった
そう言われてしまったら、何をどう言えばいい
何をどうすればいい
愛情が無いわけではない
分かりにくいが存在はする
私が汲めばいいのだろう
私が飲めばいいのだろう
それでもやはりつらいのだ
絶対量が足りなくて
欲しいと思えど与えられず
愛情を望む態度を取ったならば
相手は苦しみ、過剰に我が身を守ろうとし
私を傷付け、その様に親自身は自分の無力を嘆き自らを傷付け
そうして私もああ、やってしまったと傷付くのだ
求めればお互いに傷つき
されど足りてるフリすれば
そうすればせめて傷付くのは私だけと思い耐えれば
やはり足りないと何処かで心が嘆くのだ
そうして空虚に振る舞い続け
年月だけはただただ過ぎゆき
表層だけは波風穏やかなまま
いつの間にか言われてしまう
おめでとう
あなたはもう大人です
おめでとう
手を離された
それでばいばい
いつの間にか私は成人
そうか私は世間から見れば
既に大人の仲間なのか
離された手と押された背中
子育てをやりきったという顔と、
子離れの清々しさを感じる顔に、
真っ黒い思いが湧くのは仕方がないと思わないだろうか
いや、誰かに同意を求めたいわけではない
ただ、私はその様を見て恨めしいと思っただけなのだ
勿論、ここまで育ててもらった感謝ももろもろある
その他正の感情も多々あるのだ
ただその中に、染みの如く憎悪も混じっていただけという話である
初めに戻ろう
大人はいつからなのか
私は悩む
正直に告白しよう
私はこの年にもなって
恥ずかしながら未だに親の愛情に飢えているのだ
だが子供の頃ならいざ知らず
頭を撫でてなどと言える筈も無く
まぁものの例えでそれが愛情の示し方として私の飢えを満たすものかはさておくのだが
結局は見てくればかり育ってしまった
そんな子供大人なのである
そしてこの子供大人の嫌な点は
子供の時よりも相手の立場まで理解してしまう点であろう
親にとってはいつまで甘えるのだ
いつまでたかるつもりなのだと思うだろうと
そんなことまで読めてしまう
ああやんぬるかな
にっちもさっちもいかない癖に
表面上生きてだけはいけるのだから
ああほんと、大人ってこういうとこは笑える話で
年月を重ね、時を置き、そうして
多分相手に期待しなくなれば、
そうしたらこの胸の飢えも空虚も少しは減るのだろう
器自体を減らすのだから
ただその行為ですら、
勝手に期待して勝手に失望してるだけの話で
相手からしたらはた迷惑で勝手な話なんだろうなと
そんな子供からしたら、親の愛という当然の要求ですら
子供の時の様に純粋につきつけられなくなる
子供大人ってのはほとほと嫌なものだと思う
さてはて、私はどちらの立場で言ってるでしょうか
子供の味方？
親の味方？
子供大人ってのは嫌なものだよ
どちらにも片足突っ込んで
判ったフリして聞いている
見た目だけが大人の子供
傍から見たらそこらの大人
ねぇ、お前はまだ飢えているのかい？
ねぇ、お前はまだ求めているのかい？
