表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/39

 

 私は人が怖いのです

 へらへら笑って近づいて来て

 さっき話した内容を

 裏で歪めて流すのです


 私は人が怖いのです

 喋った言葉に色は無い

 香りも形も無い筈なのに

 やけに悪意は透けるのです

 茨が妙に刺さるのです

 それでも傷ついた様など見せれば

 たちまちのうちにその様見咎め

 裏でくすくす

 影でくつくつ

 弱って膿んだ傷口にこそ

 群れは集るものでして

 傷口こそが美味でして 

 膿んで熟んで倦むのでして


 私は人が怖いのです

 言葉を操るのが人ですが

 言葉の凶器を知らぬ者

 言葉の狂気を知らぬ者

 あまりに多いのが恐ろしい

 日々吐かれている言葉達

 無数の無意味な言葉達

 共感感情示した言葉

 自分の吐いた言葉すら

 私はすぐに思い出せぬ

 そんな自分も恐ろしい

 それを不自然と疑わぬ

 時代と諦観する自分が恐ろしい

  

 私は人が怖いのです

 人とつながるのが怖いのです

 人とつながったのならば

 つながり切れるのが怖いのです

 だから相手に合わせます

 へらへらぱくぱく空気を読みます

 だけどどうにも生き苦しい

 あまりに息が苦しいので

 魚は空気から逃げ出します

 それでもやはり逃げ切れぬ

 1匹だけでは生きてけぬ

 はぐれは群れに狙わられるや?

 はぐれは1匹貫ける?

 だから私はおためごかし

 つながる未来を恐れるならば

 切れる未来を恐れるならば

 それならば初めから浅くいよう

 浅瀬を縫うように泳いでこう

 私はへらへら笑います

 つながらぬよう笑います

 切られぬよう笑います 

 はぐれにならぬよう笑います

 そうして私は眺めます

 

 浅瀬に映る雲の下

 浅瀬を流るる流木の

 流れの淀んだ暗がりの

 そのまた裏の影の元

 

 はぐれを囲む群れを見て

 私はぱくぱく笑うのです

 ひび割れた体と顔をして

 喘ぐように唇歪め

 へらへらへらへらと笑うのです


 私は人が怖いのです

 私の周囲が怖いのです

 私は人が怖いのです

 こんな自分が怖いのです








 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ