太陽の化身スカラベダイス!!
「大丈夫。あなたはもう『そんな事』をする必要はないんだ。私が全身全霊、命を対価としてもって、いやらしい教会の魔の手から守ってみせる!」
あーるぅえー?
なにこれ。特殊魅了が発動している?
試しにおかーさんのかおりだーとか言って煌蝙蝠の皮膜を編み込んだっぽいバトルスカートの中に顔を突っ込んでみたが、そのままマタニティスタイルで抱き締められた。くそう。ヘソを猫耳でくすぐってやろうか?
慈母の如き抱擁である。駄目だ。これは特殊魅了ですわ。脱出。
妙齢の女性には普通の魅了効果が出るはずなんだけど。
「ああ、シスター。小さき可憐な稚児百合よ。あなたはどこか弟に似て」
・・・弟?似ていたか?公式では最近病気で亡くなった。という設定しかなくて、顔グラとかなかっ
「なるほど。これも思し召しでしょうか」
「ああ、そうだとも!運命さ」
なんかエーデルヴォルフさんのテンションがおかしいが俺も内心かなりハッチャケラッチャッチャ。アクアリウスの外面は微笑んだままだが。
そうだ。公式設定に顔グラはなかった。公式設定には。
では、俺の脳内設定には?ない。脳内設定にもなかった。
『うあ~んっ。またフラれました~。弟にしか見れないって』
『おーよしよし。あれは仕様がないさ』
『うにゃ~ん。お兄さんはいつもやさしいです。でも手つきはやらし~、です』
『おや、いやだったかな』
『ももっ。男のひとにこ~んなことするの、お兄さんだけなんですからね』
うにゃん。にゃにゃ。にゃんにゃんにゃん。
うん。あった。脳内妄想で。似てるって設定にしたことがあった。
恋愛対象外だったり良いところで事件に巻き込まれたりで尽くフラれまくる恋多きエミリオきゅんと、その度に慰める俺の、友達以上恋人未満な関係を妄想した一話完結ものの脳内妄想。その中にエーデルヴォルフさんの話しもあった。
たまには趣向を凝らしてみようと一回だけこの俺心友型妄想を楽しんだのだ。
いや、良く覚えてたな俺。そして良く一回だけの妄想を採用したな世界。
いや、この状況ヤバくね?脳内設定にすら非公式扱いされた妄想が機能しているって。俺が覚えて無いトンデモ内容が今後出て来るんじゃ?
てっきりゲームの内部データのモンスターだと思っていた涅炭鼠は、もしかしたら俺由来の可能性もあるのだ。覚えてないだけで。
大丈夫か。触手モンスターとか生み出してないよな?
というかヴォルフさんそろそろ撫でまわすの止めてくれ。触手モンスターもかくやと言うほどやらしー手つきだ。
え?これ本当に特殊魅了発動してるんだよな?それでこれ?突っつき方を変えたらイケるんじゃね?
「ちゅっ」
やらしー指先に口付けした。さすがアクアリウス。セミオートでエロい仕草をやってくれるぜ!
はあうっ。とか言ってヴォルフさん固まる。イケる!イケるでぇこれは!
「ちゅっ ちゅっ ちゅっ ちゅぱちゅ~」
「あゅっ はゃっ かょっ まゃゅわ~」
畳み掛ける!
「ちゅっ ちゅっ ちゅっ ちゅっ」
「ちゅちゅらりら~」
どごすっ!
鈍い音と共にヴォルフさんが横回転しながら吹っ飛ばされて行く。
入れ替わりに黒いぼた餅体型がつぶらな瞳でこちらを見上げていた。
【鑑定】
涅炭鼠
アイテム
ぼた山
炭ノ腑(黒)
カーボンネズミの毛繊維
胆石炭
大橙ダイヤモンド
地剣・鼠々として化錬
カーボンネズミカード
おおいっ鼠!リポップはえぇよ!いや、そうか・・・くそっ、これが特殊魅了の力か。何がなんでも良い雰囲気にさせない気だ!
・・・まてよ。
「まあ。領主様、直ぐに治療いたしますね」
「ちゅ!ちゅ~・・・ちゅちゅらりら~」
水魔法でぼた餅を溺死させつつヴォルフさんに駆け寄る。
「ははは、なぁにこの程度。唾でもつければ治りますよ」
「そうですか。ではそのように。ちゅっ」
「ああっシスター!なんと破廉恥」
「ちゅちゅ~!」
【槍水葬・玖】九条
「ちゅちゅらりら~」
「ちゅっ ちゅっ ちゅっ ちゅっ」
「ひゃわー」
「ちゅちゅ~!」
【槍水葬・玖】九条
「ちゅちゅらりら~」
「ちゅっ ちゅっ ちゅっ」
「ひゃわー」
いやぁ。美少女の指とレアドロップ。二重の意味で美味いな。
〝 ゜ 。ゝ 〝 ゜ 。 ゝ 〝 ゜ 。 ゝ 〝 ゜ 。 ゝ
「いやぁ、エミリオのおかげで早く着いたな。流石私の弟。おっと、まだ気が早かったかな」
「よしなに」
「そうか・・・そうか!うん。エミリオを買い上げる為の資金調達をどうするか。手始めに領内の教会の鐘を鋳潰すか!」
うわあ。駄目だ。ヴォルフさん駄目。すまないエミリオきゅん。有能なハーレム要員を永遠に失ってしまった。代わりに、ちょっと強請れば国家転覆くらいやってくれそうな便利な奴隷がゲットできたから、勘弁してくれな。
「さて、でてくるぞ」
「たかたか たっ」
【鑑定】
「太陽の化身」スカラベダイス
スキル
火耐性
物理耐性
運命之賽子
オーケストラ
エチュード
最深部のボスの巨大フンコロガシは特に人気の高いボスだった。
フンの代わりのサイコロを後ろ足で支えつつ、残りの4本はパーカッションを担当、
「たったかたったかたったかたったか」
「ぱらぱらぱらっぱーぱーぱー」
腹の気孔が発生させる音は体色も相まって金管楽器の様。
「ぱーぱーぱーぱっぱん」
「たったかったかたったったん」
「ぱーぱーぱーぱっぱん」
「たったかったかたったったん」
震える後翅と溝の彫られた鞘翅が複雑な音を奏でる。
「「「ぱぱらぱぱぱぱー」」」
特殊な体構造とスキルをあわせるこどで、スカラベダイスは一匹にして熱いオーケストラを聴かせてくれる、ナイスガイなのだ。てかすげえ。生で聴いたら自分の胸の中まで楽器になったみたいにガツンとくる。
大きなダイスを転がしながらスカラベダイスが迫る。
【槍水葬・玖】九条
「ぱばらっ、ぱっぱっぱぱらぱら」
迎え撃って横転させたがすぐに復帰。衝撃で変化した音を基点に即興で曲を変えてきた。
ゲームでのスカラベダイスが人気だった理由は、このダメージへのリアクションだ。敵のはずなのに一緒に演奏しているような楽しい感覚で戦闘できるのだ。
ヴォルフさんが剣を構えエミリオきゅんの前に出る。
「ふんす!姉弟の初めての共同作業である!」
「まあ、お盛んですね」
頼もしい肉壁である。