表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/71

メイク

 昼休みになり、百合子が化粧をしてくれることに。

って言うか、そんな大きなポーチいつも持ち歩いてるんだ?!

ポーチを開けると様々な化粧品が溢れ出してくる。

「化粧水とかはしてきてるんでしょ?」

百合子が聞く。

「いや、してない……」

「マジで?! じゃあトラベル用のこれを使おうかぁ」

小さくて薄いパッケージを取り出す。

「ユウ、どのくらいメイク覚えてないのぉ?」

「いや、全く……」

百合子はえぇっ! とのけぞると、じゃあ、といいながらメイクを始めた。

「まずは化粧水、たっぷりつけてあげてね。次に乳液……これは薄く伸ばすような感じで」

手際よくこなしていく。

下地を塗って、ファンデーションを乗せる。

それからアイライン。

「つけまどっちつける?」

 ポーチから出して百合子が聞く。

比較的大人し目の方を選ぶ。百合子は鼻歌まじりに、説明をしてくれる。

「こーやってー、ノリを伸ばしてから、こう、つける」

なんだかわからないがわかった気分になる。

「はい、チークは可愛くねー」

 そして完成した俺の顔。先程までとは天と地の差だ。

つけまなるものの影響が大きい。

っていうか、毎朝これしなきゃだめなの?


 俺の素朴な疑問はそのまま解決されることもなく、その場は過ぎた。


 帰り道、ミキちゃんがなにか言いたげにしているので聞いてみる。すると話をはぐらかすように、クレープ屋に寄ろうと言ってきた。

 俺はクレープという未知の存在を味わってみたいと思っていたので、2つ返事で応じる。


 クレープを頼んで、しばらくしてミキちゃんは話始めた。


「ユウ、百合子のことだけど……」

ん?と俺が目で聞く。

「ユウと百合子って、そんなに仲良くなかったんだよ……今日みたいにメイクしたりとか、あり得ないくらいの付き合いしかなかったんだよ」

クレープを受け取りながら俺は聞く。

「じゃあなんで、私に近づこうとしてるの?」

「そ、それはわからないよ。けど、元々仲良くなかったんだよって教えたかったから……」

「――わかったよ。ミキちゃんには心配かけてばっかりだね」

「それに、メイクだって、今まで一度もしたことなかったんだよ。リップグロスくらいはしても」

 ありがとうと言いながら俺はクレープをほおばった。



 百合子の狙いはなんなのか、それはわからなかったけど、とりあえず今は百合子とは距離を保とうと思った。



 夕方、家に戻ってから化粧品を探したが、化粧水と乳液、それにリップグロス以外の化粧品は持っていないようだ。やはりミキちゃんのいう通りだ。


 でも、毎晩毎朝、化粧水と乳液はしないといけないんだよね……女子は大変だ。そりゃ、おれだって髭そりをしないといけなかったし、でもそれは朝一回だけの話だ。

 化粧水は毎晩毎朝しないといけない。わずらわしい。

髭そりで思い出したけど、女子はワキ毛とかも剃るんだよな。どのくらいのタイミングですればいいんだろう。そういや、足も毛がそってあった。これもどのくらいのタイミングですればいいんだろう?

とりあえず母に相談することにする。

 母は微妙な顔をしながら、

「チクチクしだしたら、でいいんじゃない?」

と言ってきた。

「カミソリはどれを使うの?」

「これがユウのカミソリ、こっちはユキノのね」

と、洗面所で説明をしてもらった。


 チクチクしだしたら……か……もうチクチクしてるから剃らなきゃだな。

シェービングクリームはどこだろう?と思い母に尋ねたが、いつもは石鹸を使っていたよ、と言われた。



 夜になってお風呂の時間。

 俺はシェービングクリーム並みに泡立てた石鹸を足と脇に塗りたくり、カミソリをあてた。


 なんか気持ちよかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ