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下着

 もう11月。

 時の経つのは早いものである。

 あと1ヶ月とちょいで受験だ。


 俺は最後の追い込みとして猛勉強していた。習う教科は全て最後まで習っていたので、ホントのホントに復習ばかりの猛勉強だ。

 塾のコースもアドバンスクラスになり、休んでいる時間がなくなった。

 バイトも全てお休みにしてもらい、万全の体制になった。


 ユウスケとは電話でやり取りはしていたが、会うことはまず、なかった。

 坂井とは相変わらず一緒に通学して、お昼ご飯を一緒に食べた。

 ただ、最近二人きりになる場所もなく、キスもおざなりになっていた。


 私ってもしかして女性としての魅力に欠けている? と不安になった。

 坂井に聞いてもそんなことはないよ、とただ返してくる。

 でも、不安になる。

 付き合って一年経つがいまだに男性経験がない。最近はみんな受験の話題で話題がそれているが、少し前まではやれだれがヤっただの、キスが上手いのという話は定番ネタだった。

 俺は坂井としかキスしたことがないので、上手い下手がわからない。そして、キス以上に発展したことは一回しかなかった。

 それはデートの場所が二人きりになれない場所ばかりだったせいもあるが……坂井から求められないのに自分からホテルに行こうなんて言い出せなかったせいも大きかったりした。


 要は勇気がないのだ。

 佐藤小百合が妊娠したときのことを思い出すし、ヤっちゃったらこの関係がこれで終わりになってしまう気もする。

 終わりになんかしたくない。

 でもこれ以上何も発展がなければやはり自分に問題があるとしか思えない。


 以前坂井が言っていた「受験が終わるまで何もしない」それをそのまま受け取っていいのかすらわからない。


 家に連れ込むという手もあるが、最近は坂井は課外などでほとんど放課後は埋まっている。課外→塾→帰宅、がワンセットになっていて他のものが入る余地がない。

 土日ならなんとか時間は取れるが、土日は母が休みで家にいるため、家にあげても意味がない。

 やはり、これは自分からホテルに誘うしかない。


 そう思ったら緊張してきた。今度の日曜日、午後から約束をしている。お金は貯めたバイト代があるから問題ないとして、いつ、どのタイミングでそれを言うか、だ。


 家で練習してみる。

「マサユキ、ホテル……行こう?」

 いや、

「マサユキ、ちょっと休憩がしたいな」

 これじゃ意味が通じない。

「マサユキ、エッチしよ?」

 あけっぴろげ過ぎか。

「マサユキ……したくない?」

 うん、これで行こう。

 上目遣いで……

 鏡を見ながら練習してみる。

「マサユキ……ッチしたくない?」

 よしよし、いいぞ!

 副はブーツにニーソ、ミニスカで決まり、だな。

 俺はいつもより入念なファッションチェックをした。

 それと勝負下着!今いいのがないから明日にでも買いに行っておかねば。うーんとエロいやつをね、ふんふん。


 ただ、自分を振り返って思うに、男ってそういうとき、下着まで見る余裕なくねぇ?と思った。

 少なくとも俺は下着姿には興奮したが、下着自体をよくよく見てシた覚えはない。いや、上級者はやっぱり下着まで見るかな?俺は途中から二次元ばかりだったので記憶も曖昧だ。


 ともかく新しい下着をゲットしなければ。

 明日ミキちゃんが空いていたら付き合ってもらおう。


 そう考えながら眠りについた。



 翌日、放課後。

 ミキちゃんが今日は塾を休んでも影響ないとのことで、課外が終わったら俺に付き合ってもらえることになった。

 課外が終わるまで俺はおとなしく教室で勉強をしながら待った。


 課外が終わって街に繰り出す。今日の狙いは黒いエロい下着だった。

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