表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/71

バイト

 二学期に入ると、さすがに受験生モードに入ってくる。俺は平日のバイトを中止してもらい、土日だけバイトを続けることにした。それでも、土日も模試やなんやかんやでバイトに行ける日が少なくなった。

 宮崎さんは

「模試かぁ、懐かしいね! そんな時期があったなぁ」

 と言ってくれたが、バイトを楽しみに生きていた俺にとってはダメージが大きかった。


 それに、ユウスケとゆっくり話す時間もなくなった。いじめのこと、心配だったけど、俺がどうにかしてやれるはずもなく、いたずらに毎日が過ぎていく。


 坂井とは相変わらずだった。一緒に通学して、お昼ご飯を一緒に食べる。

 すると、坂井が言った。

「ユウ、最近元気なくね?」

 俺は全くそんな風に感じていなかったため、慌てて否定した。

「そんなことないよ!どうして?」

「いや、最近喋らねぇなと思って……」

「そうかな?」

「前はいつもバイトのこととか、ベラベラ喋ってたじゃん」

「あ……」

 そうか、そういえばバイトがなくなってから、喋る話題が減っていた。

 気がつかなかった……


 時間潰しに始めたバイトが、いつの間にか日常になっていた。

 バイトがあることが前提で、友達とのカラオケやショッピングも断ってきて、今は少しずつバイトがない日常に慣れつつあった。でも、それじゃなにか物足りない気がしていた。

 がむしゃらになにかを探していた。

 どうやらそれはバイトのことだったようだ。


「早く受験終わらないかな……」

 最近思うのはそんなことばかりだ。元気が出ない。

「はぁ……」

 ため息ばかり出る。


 バイト代はちまちま貯金していた。学校の費用や大学の費用は心配いらなかったから、ほとんど自分の小遣いだった。携帯代を払うくらいであとはバイトばかりだったので遊ぶ時間はなかったので、それなりに貯金も貯まった。

 卒業旅行にでも使おうかなぁ……



 ユウスケに会える時間も減った。

 ユウスケ元気にしてるかなぁ……



 土曜日になり、バイトに入る。

 久しぶりにユウスケに会う。

「学校はどう?」

「なんとかね……最近は味方してくれる子が出来て、だいぶマシになったよ」

「味方してくれる子?」

「うん、女子なんだけどね」

「女の子?」

「そう、だからトイレの中とかまではさすがに味方になってはくれないんだけど、ずいぶん楽になったよ」

 って、ちょwww

 あんたトイレの中でまでいじめられてるの?

「トイレの中でまでいじめられてるの?」

「うーん、最近はずいぶん減ったよ」

 のんびり答えるユウスケ。のんびりしてる場合じゃないっしょ!!

「僕は昔からからかわれることが多かったから……今もその延長って感じで……」

 それ自体が問題だって気づかないのか?


 俺は正確にはいじめられたことはない。いじめの対象にもならなかった、というのが正確なところだろう。ただ、周りにいた、若干友達みたいな子たちはいじめられていた。何が理由かもわからない。ちょっとした嫌みから、体育の時の仲間外れとか、そういう細かいところであっていた、いじめ。

 俺はそれと向き合うことも怖かったので、ほとんど、ホントに見て見ぬふりをしてきた。だけど、今世になって友達も出来て、今までの価値観は一掃された。

 やっぱり友達はいたほうがいい。

 そしていじめなんてものはなくなったほうがいい。

 俺は本当の意味でも生まれ変わった。


 そんなおれの考えを知ってか知らないでか、ユウスケは口笛を吹きながら自転車を漕ぐ。


 それが俺にはなんだか切ない姿に見えた。



 ユウスケ、親友なのになにもしてあげれなくてごめん。俺は心の中で、そう謝った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ