表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/71

お風呂であんなこと

 母に手伝えと言われたが、まずなにからしていいかわからない。

 キョドキョドしていたら、母から野菜を切れと怒られた。言われた通り野菜を切ろうとするが、手元がおぼつかない。

「遅い!なにしてるの!」

母が怒る。

「ちょ。ちょっと待ってよ……」

俺の言い訳も言い訳にならないうちに、また怒られる。

「そうじゃないでしょ!切り方おかしいわよ?!」

仕方ないじゃん、料理なんて調理実習以外にやったことないんだから……


 母が、

「今日はあんた朝からもおかしかったわよね?どうかあるの?」

「い、いや、別に……それよりこれ、どうやって切るの?」

とニンジンを差し出した。


 夕食時。

 妹が変な目で睨んでくる。俺は無視しておかわりを頼んだ。

「めずらしいのね、ユウがおかわりなんて」

母は言いながらご飯をついでくる。

「俺は基本ご飯党だからな」

思わず言った一言に、周りが止まった。

「俺……?」

「あ、ごめん、あたし」

言い直したけれど遅かった。母は

「俺なんていう子に育てた覚えはないけど?」

妹もこちらを凝視してくる。

「ごめん、ごめん、今、友達の間で『俺』って言うの流行ってて……」

 なんとかごまかしたけど、母の顔は笑っていなかった。


 部屋に戻ると退屈で、いつもなにして過ごしていたのかな、と思う。

 とりあえず勉強はしないとね……

 始めて20分で根をあげる。こんなに難しいのなんて一人じゃ無理だぁ。


「ただいま」

親父が帰って来たらしい。

 何か階下から揉めてる声がする。ドアを開けて聞き耳を立ててみると、どうやらビールが冷えてないことに親父がブーブー言っているらしい。

俺のせいか……


 妹が階下からのぼってくる。

「おねーちゃんが飲んだから、パパ怒ってるんだよ! 知らないからね!」

 そう言って部屋へ入っていった。


 知らないからね!って言われても俺も知らんがな!!


 俺は部屋に戻って何かないかな、と物色する。

 あ、漫画だ。少女漫画だけど、この際どーでもいいか、と思い読み始める。

 意外と面白い。それは、とある有名校に入った主人公がいじめにあい、やがていじめていた男の子と恋におちる話だ。なかなかどうして、息を飲む展開。夢中になって読んでいたら、10時をとっくに過ぎていた。

「早くお風呂に入りなさい!」

母が言う。

「はーい」

と返事して、俺は階下に降りた。

そして、母に

「お風呂場どこ?」

と聞いた。

 母は面食らったような顔をすると、

「そっちの左の方だけど」

と言う。

「あー、ありがと」

 俺はそういうと、パジャマと下着を持って風呂場へ入った。

 そして、改めて自分の身体をまじまじと見た。

 エロい……ものすごくエロいよ!

 ものは試しで、いつもしてみたかったことをしてみる。よくエロ本なんかで見る、あれだ、あれ。

 気持ちよくなるのかなーと期待したが、全くそんなこともなく、残念な結果に……

 まあ、そんなもんなのかな。やっぱりエロ本の世界なんて所詮は男子の妄想でしかないのさ。


 俺は風呂に入り、丁寧に身体を洗う。

 そして気づいたのだが、シャンプーが3つある。なぜシャンプーが三種類もあるの?

 とりあえず適当に使ってみる。

 髪が長いから、コンディショナーもしなきゃな。あ、トリートメントもある。やっとくか。


 女子の風呂が長い理由がわかった気がする。

 ま、最も、俺は女子の風呂の時間など実際に見たことはないけどね!


 ゆっくり湯船につかると、今日1日の疲れがとれていく感じがする。


 風呂からあがってパジャマを着ると髪を乾かす。

 乾かしている途中で妹がやってきた。

「私、入ろうっと」

 そしておもむろに服を脱ぎ出す。俺は鏡越しにその姿を見つめていた。

 いや、エロすぎるだろ、中学生相手でも、充分。


 妹はふと気づいたように俺の髪を匂うと、

「おねーちゃん、私のシャンプー使ったでしょ!」

と怒り出した。

 シャンプーなんてどれでも一緒だろ?と思う俺に天誅が下ったのはいうまでもなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ