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なれそめ

 パソコンが立ち上がると、俺は坂井に

「中身見せてよね!」

と強引に迫った。

 坂井はさすがに抵抗した。デスクトップにはいくつかのフォルダが存在していた。

そして見つけた、

『賢者の石』

というフォルダ。


「それは絶対だめ!」

と抵抗する坂井から強引にマウスを奪い取り、クリックする。

すると……


 俺の写真がめちゃくちゃいっぱい入っていた。こんなのいつ撮ったの?という写真から、クラスでの写真まで、実に様々だった。


「…………」

俺は黙ってフォルダを閉じた。

これじゃストーカーじゃないか!


「ユウ……ごめん……」

「いや、いいよ……」


 そこに救世主が帰ってきた。

ミユキちゃんだ。


 バタバタ二階にあがってくると、坂井の部屋のドアを躊躇せずに開けた。


「ごめんね、待たせちゃって」

「ううん、今来たところだから」

「マサユキ、ユウに変なことしてないでしょうねっ!」

「「してないっ」」

二人同時にハモった。


 ミユキちゃんの部屋は女の子らしくピンクと白が基調になっていて、かわいかった。しかもやっぱり片付いている。

「ミユキちゃんの部屋もお母さんが掃除するの?」

俺の素朴な疑問にミユキちゃんがきょとんとなる。

「いや、さっき、マサユキくんの部屋はお母さんが掃除してるって聞いたから」

「あぁ、なるほどね。私の部屋は私が掃除してるよ。マサユキはすぐに散らかすから」

「ふうん、そういうものなのかな」

「それよりユウ、マサユキとどこまで進んじゃったの?」

その言葉に瞬間湯沸し器のように赤くなる俺。

「まだ、なにもしてないよ!」

「ふうん、その様子からすると確かにまだみたいね。マサユキが変なことしそうになったら、私、助けに行くからね!」

ファイティングポーズをとるミユキちゃん。

「あはは、じゃあもしものときはお願いしようかな」


 恋人なんだから、なにがあったっておかしくないんだけど、今はミユキちゃんの気持ちが嬉しかった。

坂井がさっきのお茶にプラスしてミユキちゃんのお茶を持って部屋に入ってきた。

「ちょっと、今日はユウと二人で勉強するんだから」

「俺だってテスト前なんだから、一緒に勉強したって構わないだろ!」

「机が狭い、無理」

と言うと、坂井は自分の部屋からミユキとお揃いの机を持ってきた。

 そこまでされるとさすがのミユキちゃんも断れないらしく、

「邪魔はしないでよね」

と言って勉強会はスタートした。


 チクタクチクタク、時計の音が進む。

「あ〜もうだめ、わかんない……」

 最初のギブアップは俺だった。

ミユキが横から見て、それを解いていく。

一発で正解だ。

「どうして解けるの〜」

「これ、こないだ塾でやった応用だよ。」

見ると坂井も解けているらしかった。

そのあとも、何度も俺はギブアップし続けた。

坂井もミユキちゃんも、すらすら解いていく。

 そりゃあそうだよね。塾でトップクラスに入ってる二人から見ると、俺は雑魚だ。

雑魚は雑魚らしく、大人しく勉強しよう……


 しばらく経って、休憩にしようということになった。

ミユキちゃんが淹れてくれた紅茶を飲みながらしばらく談笑。話は二人が付き合うことになった経緯に発展する。

「私、授業中もマサユキくんが気になって仕方がなかったんだ」

「俺は入学式から気になってた」

「ヒューヒュー、熱いね、二人とも!」

「言えって言ったのはミユキちゃんでしょー?」

「あはは、ごめんごめん」


 とりあえずざっと流れを話すと、坂井は入学式のときに俺に目をつけて、それ以来俺が写っている写真を買いまくり、こっそり携帯のカメラで撮影したりしていたらしい。

 そのことを松永に相談したら、松永がミキちゃんに告ってみて、うまくいったら、次に坂井が告白するという話になっていたらしい。確かに、坂井が積極的になったのはミキちゃんと松永が付き合いだしてからだったから……

 って、そんな大事なことをそんな賭け事みたいなことで決めちゃっていいの? と俺が思ったことは、秘密にしておこう。

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