表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/71

疑惑

 修学旅行最後の夜は、やはり恋バナで賑わった。

 この旅行中カップルになった子も多くて大いに華やいだ。

そんな中で俺もみんなに付き合う宣言をする。飯田グループが別の部屋でよかった……


「やっぱり坂井はユウだったんだー」

「いつも見てたもんね」

「ユウももっと早く告ればよかったのにー」


「でも、私、修学旅行ほとんど一緒に回れたから、よかったんだけどね」

と言うと、みんながうんうん、と頷いてくれた。

「でも、これって飯田が知ったら……」

「そういうことのために騎士(ナイト)がいるんじゃない」

「そっかぁ、それもそうだよねー」

「ってか、飯田はこれで白黒ついてよかったんじゃない?」

みんな言いたい放題だ。

 確かに飯田が何かしてくるんじゃ、と思うとまた怖くなる。

けれど、もう白黒はっきりしたんだし、これからは坂井に守ってもらえる。そう思うとどこか安心できた。

これも坂井のおかげかな……


 そして恋バナはとどまるところを知らず、エッチな方向へと。


 耳どしまな俺は、コンビニで一番エロいエロ本を見抜く技を持っていた。

役に立たないですと?


 エロ本は人生のスパイス!スパイスなしの料理なんて味気ない、そんなものは俺の世界にはありえない。


 そして一番エロい本を見つけ出す、それこそ秘技!シーク・ザ・エロス!!


 そもそもなんで一番エロい本を見分けたなんてわかるかというと、一番から順に一巡り購入したからだ。

俺の見る目に狂いはない。

エロ本とスロットだけがお友達のあの頃……

 ハッ。いかん、涙が……


 しかし、女子同士のエロ話って、結構えげつないのね。

誰が黄金の指だの、なめるのがうまいだの、俺が想像してた女子像からはほど遠い発言が……

 そんな中で、坂井は上手いという話が。


 誰が言い出したかしらないけれど、それって、誰かが坂井とヤったってこと……


 俺は少なからずショックを受けた。

 そりゃ、高校一年にもなれば、ケーケンしちゃってる子もそこそこいるはずで、そこに坂井の名前が挙がったっておかしくないんだけど、俺にはショックだった。

「ほらー、調子に乗ってしゃべってるから、ユウ傷ついちゃったよ?」

すかさずフォローを入れてくれるミキちゃん。

ごめんね、今それどころじゃない状態。

言うなれば酸欠状態の金魚のようなものだった。


 坂井が初めてじゃない……


 決して悪いことではない。寧ろ自分とヤるときに、リードしてもらえてよいかもしれない。

 無理矢理そう思い込もうとしていた。



 ミキちゃんは松永との話をみんなに聞かせる。あいつ、そんなとこあったんだぁ、とか、そういう性癖か、とか思ったりしながら聞いていたが、上の空に近い感じで言葉が中まで染みてこなかった。


 坂井が上手い……その一言だけで一喜一憂できるほど、俺は坂井のことを好きになっていたのだ。

 改めて痛感した。



 遅くまではしゃいで疲れたのか、3時を過ぎる頃にはもうシンとしていた。俺はどうしても寝付けなくてこっそり部屋を抜け出した。

自販機でジュースを購入してゆっくり飲む。

 さっきのみんなの話題をまた思い出す。

誰と付き合ってたんだろう……上手いなんて話にあがるくらいだから、同じ学校の生徒かもしれない。もしかして、飯田?

付き合う手前までいったと確か言っていた。まさか、飯田か?


 眠れぬ夜は更けていった。



 翌日、帰りの新幹線の中で、俺はいびきをかいて寝ていたらしい。

自分の記憶にはないが、「坂井がー」「坂井はー」と寝言で言っていたらしい。恥ずかしい。


 一方、坂井の方はクラスメイトとじゃれあっていた。

坂井のあの色気は、経験からきているものなんだろうか?疑う自分が醜く見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ