ブラの付け方
ミキちゃんに連れられて電車に乗り、そこから歩くこと10分程度でそこについた。
学校と言う名の牢獄へ。
俺は学生時代にあまりいい思い出はない。特別悪い思い出があるというわけでもないが、学校とは牢獄の様な場所だと認識している。
学生時代は、軽くみんなにハブられたりしたくらいで、友達なんていなかった。いわゆる、ぼっちというやつだ。でも、ぼっちで不自由したことは班作りや体育の授業や修学旅行や、美術の時間や、二人以上で活動するときくらいしかなかったし、え?充分多いって?だけど、俺は平気だった。クラスの連中がリア充に見えていらいらしたりなんて、ちょっとしかしなかったもんね。
そういう訳で、俺にとって学校とは牢獄でしかなかった。
ミキちゃんには朝から怪訝な顔をされてばかりだ。そりゃそうだろう。俺はこの身体で右も左もわからないわけだし、ミキちゃんという『友達』だって初めてで、なに話せばいいかなんてわかりもしなかった。クラスに着いてからも、自分の席がわからずにミキちゃんに尋ねる有り様だ。そりゃ怪訝な顔にもなるだろう。
授業が始まる。仮にも大学に通った俺だ、わからぬこともあるまい!!
……と思ったけどわかりませんでした……前世の俺、役立たず。
ここはどうやら進学校らしい。教科書のレベルが半端なく難しい。こんなのセンター試験でも出ないよ!という応用技まで使ってくる。
俺は勉強ぼっちになりそうだ……そう思う。
休み時間になり、ミキちゃんのところまで行く。
正直には話せないので、昨日頭を強くぶつけて記憶が混乱気味だと説明した。
ミキちゃんは、
「そうだったんだぁ!なんか朝からおかしいと思ってたんだよね!自分のこと『俺』なんて言うしー」
え、俺、俺っていってた?無意識だった……
「で、どのくらい記憶がないの?」
「今まで生きてきた分……かな」
とさらっと言ったら、ミキちゃんが、
「大丈夫じゃないじゃん!それ病院行かなきゃだよ!」
と大声をだしたので、周りの子たちも集まり始めた。
「ユウ、記憶喪失になったんだって」
噂はすぐに隣のクラスにまで広まった。
「親に言って病院いったほうがいいって!」
周りの子たちも口々に言う。
「うん、帰ったら話してみるから」
何度も同じセリフを繰り返した。
今日は体育の時間がある。
着替えはじめて、改めて自分の身体を実感する。今日は朝から時間がなくて、ブラもつけずに学校に来たのだ。まず、付け方がわかんないし。
でも、程よく発達した胸は、ブラなしではちょっと厳しいものがあった。
とりあえず体操着に着替えてミキちゃんのところへいく。
そして、
「ミキちゃん、ブラのつけかたってどうやってやるの?」
ミキちゃんの顔と来たら、鳩が豆鉄砲くらったように、目を丸丸くした。
「ちょっとユウ、そんなことも忘れたの?って言うことは、今日はどうしてるの?! まさか……」
「まさかのノーブラです……」
テヘッと可愛くやったつもりが全然通じなかった。
ミキちゃんのブラの付け方講座が始まる。
「ここで、こうして、後ろに手を回してとめる」
「えー、そんなんできないよ」
じゃあ、とミキちゃんは言う。
「前でこうしてホックをとめて、後ろに回す!」
「あ、それならできそう!」
「じゃあ明日からブラ忘れず付けてくること!」
「はいっ!」
しまったな、俺としたことが、ブラの付け方に熱中して、完全にミキちゃんの胸を見損なった。
まぁ、これからブラなんて嫌でも見せられるんだし、そもそも自分の胸だって……
自分の胸をたゆたゆさせてみる。
これが女の子のおっ○いってやつですか……ちょっと感動。
こうして1日は無事に終わった。