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坂井

 ミキちゃんとラブラブお風呂。

 背中を流してあげる。すると、ミキちゃんが俺の背中を流してくれた。

ミキちゃんの背中はスベスベしていて色が白くて綺麗だ。

濡れた髪の毛も俺を充分興奮させてくれる。男の時だったら、絶対ギンギンのはずなんだけど、女だからか、身体は全く反応しなかった。


 そう、男だったら、と思うが、実際に男だったときは女性が苦手で、ヌクときも二次元に頼っていた。三次元の女性はやはり怖く、嫌われたらどうしようという思いばかりが先行した。


 生きてる時間=彼女いない歴だった俺は、女性に対して超臆病だった。


 小学三年生の頃だった。その当時、わずかにいた友達とかくれんぼをしていた。

そんなときだった。

「いやっ!!」

短い悲鳴をあげた少女が一人。

「今、スカートの中を覗こうとしたでしょ!」

「え……してないよ」

「絶対した!」

 結局かくれんぼしていた友達もやって来て、俺は罪を弁明したし、友達もそれに手助けをしてくれたが、後からきた女子の軍団に言い負かされ、濡れ衣を着せられたのだった。

 当時はお互いに性に敏感になり始めていた頃だったし、そのまま昇級してしまい、結局俺は濡れ衣を着せられたまま、一人傷ついた心を弄んだ。そうしてそのまま女子に接することなく今まで来てしまった。そりゃ、たまには気になる女の子もいない訳じゃなかったし、会社に入ってからは必然的に女子ともしゃべらなきゃいけなかったけど、それ以上の関係になることは全くなかった。

 あえて言うなら、あの日、Xデー……俺が事故にあった日にコーヒーガールをしていた子は可愛かった……その程度のものだった。


 そんな俺が、今こうして女子と風呂に入るなんて荒業をこなしているなんて、信じがたい事実だ。



 ミキちゃんよりも先にあがった俺は、髪の毛をポフポフと拭きながらミキちゃんがあがるのを待った。

 ミキちゃんがあがってからは、美容師ごっこと称して髪を乾かしあう。

それはとてつもなく幸せな時間だった。



 風呂をあがると、二階にあるミキちゃんの部屋へ行き、お菓子をあけた。

そして再びおしゃべりタイムへ。


 夜中まで話し込んで、ミキちゃんはもう寝てしまったようだ。

俺はこっそり起き上がると、ミキちゃんを見つめた。

そして唇にそっと唇を寄せた。



初めてのキスは柔らかく、お菓子の味がした。





 あれから一週間、ミキちゃんは何も知らずに過ごしている。俺は少々良心が痛んだが、今の関係に満足していた。

 ちょっと前まで不満だった関係も、ミキちゃんのファーストキスを奪ったことで安心していた。

 佐々木のことも、今なら許せそうな気がする。


 その佐々木だったが、女子高生に逃げられて痛い目をみたとかみないとか。ザマーミロ、と俺は少しだけ思っていたが、ミキちゃんのファーストキスを奪えた俺は寛大な心を持って、可哀想に、とも思った。

もう誰もミキちゃんに近付かせないぞ!





 ときに、坂井は未だにこっちを意味なく見つめていたりする。

俺が気づくと目をそらしてくるのだが、授業中でも時折ボーッとこちらを見ていることがある。

 もしかしたらミキちゃん狙いなのかも?

俺は最大限のアンテナを張り巡らせた。

坂井は特に目立った生徒でもなく、いわゆる草食系男子だと聞いている。

心配になって、ミキちゃんに坂井がいつもこちらを見ていることがあると言ったら、ミキちゃんはニヤリとして言った。

「それ、ユウのことが好きなんじゃない?」

俺はとんでもない、と頭を横に振る。

「だけど、人気投票のとき、五票も票がはいってたじゃない」

とミキちゃんは言う。

 それはそうだけど……俺は納得がいかず、坂井を睨みつけるだけだった。

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