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ミキちゃん

 リビングに入るとぎょっとした。

 ユキノが誰か男の子といちゃついていたからである。俺が入ってくると同時にいちゃいちゃはやめたが、空気と状況から見て間違いはないだろう。


「お姉ちゃん、入るときはノックくらいはしてよ」

はあっ?! ここはリビングだぞ? そんなところでいちゃついているほうが間違いだろ?

「じゃ、俺はこの辺で失礼しようかな……」

「いいのよ、瞬くん、気にしないで。私の部屋に行こっ!」

「いや、俺はホントにこの辺で……」

瞬くんなる人物を見送りに出るユキノ。


 俺はまだリビングで固まっていた。


「もう!お姉ちゃんのせいで瞬くん帰っちゃったじゃない!」

「俺のせい……?」

「あ、また俺って言った」

「私が悪いとでも言いたいのか?」

俺は私、と言い直した。

「そうだよ!せっかくいい雰囲気になったのに」

「そういうことは部屋でしろよ、リア充 !」

「お姉ちゃん言葉遣い荒い!」

「って、ホントにそういうことは部屋でしてくれ」

「わーかーりーましたっ!」

 言い争いはここまでだった。

部屋に戻ってしばらくは放心していた。中学生でいい雰囲気だと……?ユキノのやつ、まさか処女じゃないとか?まさか!俺だって今まで彼女いたことないのに?

 この疑問点は後々まで結構引きずった。





 学校の行き帰りにもずいぶん慣れてきた。

と同時に、ミキちゃんという存在が気になり始めた。ミキちゃんは何気に美人で、おっ○いも大きい。俺が妄想ではぁはぁしてもおかしくないくらいだ。

 でも、ちょっと待てよ?

 今は俺は女の子なんだから、同性愛になっちゃうの?それはそれできゅんきゅんきちゃうけど、実際にやったら――

 ミキちゃんに嫌われる?

それはそれで何か嫌だ。でも、目覚めてしまった気持ちに拍車をかけることはできても、ストップすることはできない。


 ミキちゃんの一挙一動が気になって仕方がない。

ミキちゃんは俺より少し背が低く、ちんまりとして可愛い。

華奢な手足。中学生と言っても通じそうなあどけない美少女だ。普段はメガネで隠されていて、誰も気づかないだけだ。

 いや、気づいてるやつはいても、告白までは至らないのだろう。もし告白するやつがいたら、俺は顔面パンチを喰らわせてそいつを生け贄にすることだろう。


 ミキちゃんが言う。

「こないだのユウ、いつもと違って別人みたいだったけど、なんかかっこよかったよ」

 ズキューンと胸を打たれたような衝撃が走る。ね、ね、ミキちゃん、今、俺のことかっこいいって言ったよね?言ったよね?!

俺はその一言でご飯三杯は軽くいける、と思った。



 百合子の一件は、ずるっ子なしの勝負ということになったので、表面上争い事もなく、クラスは順調にいっていた。



 俺は相変わらずミキちゃんを見ていた。

ミキちゃんは面倒見がよく、クラスメイトに一目置かれているようだ。

みんなの相談に親身になり受け答えしている。俺はミキちゃんのそんなところも好きになった。


 そう、ミキちゃんを好きになったのだ。


 同性愛はよくない、と自分自身に言い聞かせていたが、ネットで調べれば調べるほど、同性愛だろうと愛があれば大丈夫、という認識になっていく。

あとはミキちゃんがどう思うか次第だ……


 電車に乗る前に、つい、我慢できなくて、後ろから豊満なミキちゃんの胸を揉みしだいた。

ほんの出来心だ。

 ミキちゃんは、口では怒っているものの、本気で怒ってはいない様子。

俺はミキちゃんにキスしたい衝動をぐっとこらえて我慢した。


 女の子同士ならふざけあいということで片付いてしまう。

その範疇に納めることにした。


 キスなんて、今までの俺にはない衝動だった。今までぼっちで生きてきたし、いつも自分の足元だけを見て歩いてきたから、当然のことだろう。


 妹のいちゃつく姿もだぶって、押さえきれなくなりそうだった。

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