プロローグ
確か自分は不老になる薬を作って服用したはずなのだが、
一体どう言うことだろう、少女になってしまった。
自分の計算では九割の確率で成功するはずだったんだが…
視界良好、体力も多いに上がり身体能力や反射速度は人間離れしたものになってる。
まあとっくの昔に人間辞めたが、
「まあなってしまったものは仕方ない。副作用はなさそうだと思ったが…はあ、」
甲高く綺麗で透き通った少女の声になってる。
正直違和感しかないが適応能力には自負があるし多分慣れるだろう。
研究者なら失敗は栄養と同じ。
これも新たな経験なのだ。
痛覚遮断をし、自身の眼を取り除く。
錬金術と魔法で作ったヒスイの魔眼を代わりに埋め込んだ。
鑑定スキルは持っているが今回の敗因は鑑定スキルを過信していたことだ。
不老薬作る前に魔眼に入れ替えとけば良かった。
「おお!すごい!」
脳の伝達速度のタイムラグが解消され、判別能力や解析力、その他の機能もてんこ盛りだが今はそんなことどうでもいい。
だいぶ魔眼に慣れてきたところで第三者視点を発動する。
小柄で華奢な身体。
整った顔に翡翠色の瞳(魔眼)と緑がかった白銀色の髪。
精霊みたいな容姿になってるが、今の自分の種族はホムンクルスだ。まさか自分が作った身体がここまで変化するなんて思わなかった。
あの薬を鑑定しないのが悔やまれる。
酔った勢いで作った薬だから制作方法も覚えていない
「作業もひと段落したし寝るか。」
◆◇ーーー
目が覚める。
「ん?え、どして…何がどうなってる!?」
と、とりあえず【解析眼】
魔眼を通して情報を得る。
それにしても強烈な情報の量は一体何なんだ…
世界が違う、もちろん言語も違う。
生態系は似てるが、法則があまりにも違う…
「えぇ…」
困惑する。
そもそもどういう原理でこの世界に来てしまったのだろうか、
別世界ならば、言語を覚えなくちゃ現地の人に意思疎通しようと思っても不可能だ。
「まずは言語を覚えないといけないのか。」
辺りを見回す。
すごい建物の高さだ。ちょ、ちょっと人だかりで酔ってきた…
しかし、なぜだが多くの目線を感じる。
この身体は人をベースに作った不死者だ。
元の世界では禁忌で見つかれば一瞬で異端審問ものだが神の眼さえ欺いた実績だってある。
『あの娘なんでメイド服なんだ?』
『というか女神レベルで可愛くない!?』
『外国人かな…』
ヒソヒソと声が聞こえる。
まだ完全ではないが意味自体は分かるようになってる。
ーー言語解析98%ーー
よし、もう少しだ。
「ねえお嬢さん、モデルやらない?」
言語解析が100%になったところで、ちょうどよく人に話しかけられた。
モデルとはなんだろうか、
解析が完了したとはいえ、元の世界に無い概念の単語はそもそも意味が通じない。
「あ、もしかして日本語わからない…?」
目の前の男はたじろぐ。
「いや、言語自体は分かる。ただモデル?とはなんだ?」
「え!?モデルが分からないのか、どう説明したらいいのかな、」
それから三分ぐらいモデルについて説明してもらった。
「なるほど、つまり自分があなたのビジネスに使えるというわけだ。」
「まあ極端にいうとそういうことかな…これから時間あるかな?詳しい話はうちの事務所に来て欲しいな。」
魔眼を通して相手を見つめる。
詐欺か…
まあ、から嘘は見抜いていたが念には念を入れてみた。
「自分には用事がある、ここでお暇する。」
「え、ちょっと待ってよ。」
腕を掴まれる。
まあこれくらいなら簡単に振り払えるか。
そもそも体術Lv5だから竜王だろうと瞬殺できる腕があるがこの世界での法律で人殺しはダメらしい。
「ちょっと、その娘嫌がってるじゃない!」
振り払おうか考えていると女性が助け舟を出してきた。
「は?人が口出しすんなよ!」
「何ですって!?」
うーん、怪我しないように投げ飛ばすか。
「ガッ!?」