第一話
第1話
どれくらい経っただろうか?目を開けたら私は瓦礫の上に座り込んでいた。
どこ?ここ?
「おい!大丈夫か!怪我はないか!?」
強面の外國人が私の顔を覗き込んで聞いてくる。日本語上手だなぁ。
「やたら身綺麗だが、何かの罠って事はねぇのか?」
強面の後ろに物々しい銃を携えた金髪イケメンが怪しげに私を見る。
「運良くどこかのシェルターに入れていたんじゃないの?レディに失礼よ?ケニー」
黒髪美人だ。
でも、皆顔立ちが日本人じゃない…なんの人達だろう?視界に入ってくるこの人たち装備が物騒なんだけど。
銃?本物じゃないよね?撮影か何か?サバゲー?
「??」
疑問符だらけの頭で答えられない。
「突然御免なさいね?私たちは今生きている「人」達を一人でも救うために各地を旅して回っているの。…貴女は一人かしら?他にも無事な人はいる?」
黒髪美女が優しく語りかけてくる。
「…いえ…私一人です。多分。」何とか答えた。
「随分曖昧だなぁ?もう感染してんじゃねぇの?」
金髪イケメンに睨まれる。
「感染…?」
「ケニー!その辺にしておけ!…ジェシー、悪いが彼女が感染してないかどうか確認してもらえるか?」
「分かったわ。エディ。…貴女、ちょっとこっちに来てくれる?」
「あ、はい。」言われるがまま女性に着いて行く。
瓦礫の裏に移動した所で女性は振り返った。
「初対面で悪いけれど、貴女が感染してないかどうか確認させてもらうわ。」
「…はぁ、それは、どのように?」
「とりあえず、服を脱いで頂戴。奴らの噛み傷や他に傷がないか確認するわ。」
「えぇっ!?」
「女同士だもの。男どもに確認させられるよりマシでしょう?」
「そ、れはそうですが…」流石に初対面で身体検査はは恥ずかしい。
「感染していなければまだ貴女を救えるの。」真剣な顔で言われる。
「……………分かりました。」どうやら命にかかわるようだ。渋々承諾した。
「確認して来たわよ。」
「どうだった?」
「感染もしていないし、痣一つなかったわ。」
「それは良かった。この絶望的世界でよく生き残ってくれた。」
「ちっ、いつまでもマヌケ面しやがって…運よく俺たちに助けられたんだからちったぁ喜べや!」
「あ、すいません。」
「俺はエドワード。エディと呼ばれてる。そっちの金髪はケニー、黒髪の女性がジェシカ、ジェシーと呼んでいる。…君の名前は?」
「え、と。宮本、昌子です…」
「?変わった名前だな?何て呼んだらいいだろうか?」
和風な名前は馴染みないのか…じゃあ、短大時代に呼ばれていたもので良いだろうか?
「あ、じゃあ…ハリスとお呼びください。昔、友人からはそう呼ばれておりました。」
学生時代にハリスという人の物真似をしていたら、いつも間にか友人達にそう呼ばれていた。
「ふーん、で?お前銃はどれくらい使えるんだ?見た所何も武装していないようだが?」
当たり前みたいに物騒な事を聞いてくるなぁ。怖いんですけど。
「え…いえ、すみません。銃は触った事が無くて。」
日本で一般人として過ごしていたら、お目にかかる事すらまずはない。
「まじかよ!?これじゃあ、ただのお荷物じゃねぇか…」
「護身術とかは身に付けてないか?」
私の無能が言葉になって突き刺さってくる。私は自分をそれなりに常識人だと持っていた分心に刺さる。やめてください。
「…申し訳ありません。運動は苦手でして…」
「女性だもの。暴力的な事は嫌がるものよ?…武器になるようなものも持ち合わせは無いかしら?」
武術もしてこなかった私は唯一のフォローにも答えられない。
「…申し訳ありません」俯いて答える。
「謝るしかできねぇのかよ?ブス」
グサリッと心にまた刺さる。凄い直球この人。
「ケニー!言葉が過ぎるぞ!」
「レディへの口のきき方も知らないのかしら?」
ジェシーという女性がケニーという男性に近づいていき、胸倉を掴み上げた。どこにそんな力が…
「今ここで叩き込んであげましょうか?」
声は明るいがどこか怖い物言いだ。怖い。
「わ、悪かったよ!気を付ける!」慌てて謝罪する。
「分かればいいのよ?」
「…やれやれ、すまんな。銃の扱いや簡単な護身術はこれから覚えてくれればいい。大丈夫だ。ハリスは運が良い。俺たちが付いている。」
「…覚えないといけないのですね?」
「ったく。戦わなきゃ生きていけねぇんだよ!そんなこともわかんねぇのかよ?」
「大丈夫。私が教えてあげるわ。実践も交えて覚えていきましょ?」
「とりあえず、何か一つ武器を持った方が良いな。…銃とナイフどっちがいい?銃は最初ならハンドガンが良いと思うが?」
「こんなマヌケ面に渡してもドブに捨てるようなもんだぞ?」
この人は毒を吐かないと話せないんだろうか?密かにちょっとずつ傷つくんだけど?
悪態をついたケニーさんはまたジェシーさんに詰め寄られている。
それよりも武器か…銃弾は限りがあるし…
「…ナイフをお願いします。」
接近戦でうまくできるとは思えないが、少しでも銃弾を無駄にしたくはなかった。この人達の資源だもの。
というかそもそも何に対して武装するのか分かっていない。いつ聞いたらいいだろう?
「あらっナイフならこの中で私が一番得意だわ。一緒に頑張りましょうね?」
「よし、とりあえず場所を移動しよう。ここは少々目立つ。移動しながら話を進めるとしよう。」
エディさんの力強い腕にひかれて私は飛ぶように立ち上がる。
ここから先、ラストストシーン以外は全くできてないです。
これからゆるりと書いていきますので、皆様もごゆっくり!