〈04〉
「記録開始~」
気の抜けた男性の声から映像は始まる。景色は夜の海。懐中電灯で照らしている場所以外は一面闇に包まれている
ザザーという波の音が心地よく響く中、撮影者の欠伸が聞こえてくる
「今日は夜の海の撮影だけらしいんで、ちゃちゃっと終わらせまーす」
やる気の感じられない報告をした後、撮影者は砂浜を歩く
五分程歩くと、懐中電灯が少し先を照らす。向こうから三人の人影が歩いてくるのが見えた
「よぉ浜崎。こんな時間に散歩か?」
「春川達こそ、何やってんだよ」
どうやら知り合いらしく、談笑が始まる。約十分程、依頼とは無関係の雑談が続く
「そう言えば、何撮ってんだ?」
三人の内の一人が聞く
「仕事だよ仕事。ここで出るっていう幽霊の撮影。馬鹿げてるけど、めちゃくちゃウマイ仕事なんだよなぁ」
一分の沈黙
一人が満面の笑みで口を開く
「良かったな、撮れて」
その後、また雑談が始まる。三十分程続いた
「あ、カメラの充電やべぇからそろそろ戻るわ」
撮影者がハッとしたように三人に告げる
三人は笑顔を向ける
「そっか。じゃあな」
三人は明かりも持たずに闇に消えていった。撮影者は何かを言おうと振り返ったが、そこには足跡すら無かった
「足速い奴らだなぁ」
そう言った瞬間に充電が切れたのだろうか、映像が途切れる
記録はここで終わっている
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調査依頼
依頼者:市役所職員
場所:岩手県某所
内容:身投げ多発の原因調査
派遣人数:男性職員一名
総評
後で知ったが、この撮影者はここで身投げして亡くなったらしい。もし会えたなら、もう少しやる気を出して欲しいと言いたかった




