2話【雇用契約書】
11月給与
山田健斗様 48,800円
「う、嘘だろ?」
天引きの内容を考えているため↑は少し未来の話です。
「それではこの車に乗って、荷物は後ろに入れとくから」
「わかりました」
本日入社したのは3名。僕は今年で29歳で残りの2人とも同世代のようだった。僕たちは各々の荷物をトランクに乗せて車に乗り込む。
「それでは頑張ってくださいね。」
深山という男はそういって会社の中にもどっていった。
「おはようございます。現場監督兼ドライバーの坂崎です。よろしくな。これから君たちを現場近くの寮に連れていく。山道を通り時間は約2時間前後かかるが酔い止めは持っているか?」
「いえ、僕は車に酔いにくいので大丈夫かと思います」
「そうか、だがこれは社用車だ。汚してしまわないように念のため酔い止めを飲んでおいてくれ」
「そうですね。わかりました。いただきます」
「はいよ。じゃあ大人用は2粒ね」
こうして僕たち3人は坂崎という男とともに現場近くの寮まで行くのだった……
◆◆◆
「圏外……」
「ここはアンテナもまだ普及していないからな。携帯なんて連絡手段としてつかえない」
「すごい山奥なんですね」
「まあ土木だからな。こういった慣れていない道をちゃんと使えるようにするのが我々の仕事だ」
◆◆◆
「よし、ついたぞ。事務所に案内するからついてこいよ」
「わかりました」
「あ、荷物を下ろしたいんですけど……」
「あはは。わるいわるい忘れていたよ。ちょっとまってな……」
そういって坂崎は車のトランクルームを開けて荷物を丁寧に持ち上げ僕たちの目の前においてくれた。
「ありがとうございます」
「さあ、ここが事務所だ」
「す、すごくきれいな事務所ですね」
「当たり前だろ? 国にちゃんとやってますとアピールしないと仕事が中止になるかもしれないだろ? 安全第一の現場はまずは事務所の環境からだな」
僕たちは事務所に入りテーブルの前の椅子に着座する。
「じゃあこれ書いておいて。俺はドライブで疲れたから休憩してる。仕事は明日から実地で行うからゆっくり休んどけよ」
そういって坂崎は事務所から出て行った。
それと同時のタイミングで高田という男が入ってきた。
「みなさま。ご入社おめでとうございます。およびこのような現場に来ていただいてお疲れさまでした。私は高田と申します。それではまず雇用契約書から書いていただきましょう」
「条件を必ず確認してください。もし仮におかしな点や人事から聞いていた話と違っていた場合は手を挙げてください」
【雇用契約書】
総支給400,000円/月
月20日、8:00〜17:00
※400,000円を月に手渡しにてお渡しします。
つまり年金とか雇用保険、社会保険などで引かれる事はありません。
名前 印
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「おかしなところはなさそうだな……」
「質問いいっすか?」
「はい、どうぞ……山田君」
「ここ山奥なんですが街とかには行けるんですか? 日用品とかあるし現金を持っているなんてなんか怖いからさ」
「あーそうですね。もちろんお休みの日には自由にしていただいて構いませんよ。ただしここは本当に山奥なので車を出す日程は決まっているんだ。だから町に出るときは事前に伝えるからそれまで待ってくれるかな? 元より購買もあるから安心してくれ」
「じゃあここで働いている人の買い物は基本購買ってことっすかね?」
「そういうことですね」
「あざっす」
「さあ、ほかに気になる方はいませんね? じゃあこちらを提出していただきます」
「ありがとうございました。それでは続いて……」
こうして入社手続きは持ち物検査含め2時間ほど続いた。
そして長すぎる会社規定を読み続けた僕たちは疲れ切っていた。
「じゃ、次は購買と個人ロッカーを案内するね」
問題です
この話での天引きになりそうな箇所はどこでしょうか!?
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