可愛すぎる切ない女の子
「私をあなたのパーティーに入れてください。」
「へっ!?」
俺は一旦ラーメルから距離を取った。
「ちょちょちょちょ!!!!!!!!!!
もう1回・・・・・・言ってくんなれないかな?」
「は、はい!!ではもう一度。
あなたのパーティー入れてください。」
「痛てっ・・・・・・夢じゃない?」
一瞬目、耳を疑った自分の頬を抓った。
しっかり痛かった。
「本当に入ってくれるの?」
「は、はい!!」
大きく可愛い返事が俺の耳の中に入った。
本気の声だ。
「分かった。
でも家のパーティーに入るのに
知って欲しい事がある。」
「わ、分かりました。」
薄々気づいていたが徐々に俺との会話に
慣れが生じていた。
・・・・・・でもまぁまだ敬語だ。
「まず・・・・・・俺は魔法を使えない。」
「え?」
「あとパーティーと言いつつ実質俺1人だけだ。
この間『ザナドゥ』っていう奴のパーティーから
追放された。」
「・・・・・・。」
ラーメルは黙々と話を聞いていた。
たまに頷きながら。
「そしてパーティーには実質俺だけと言ったが
これには訳がある。
俺の体の中には
フェニックスとライトニングドラゴンのハーフ
フェニゴンがいる。
ほらっ。」
右手に白紅色のドラゴン『フェニゴン』を
出してラーメルに見せてあげた。
「よろしくなラーメルとやら。」
「よ、よろしくお願いします。」
「・・・・・・撫でてくれても・・・・
構わんぞ。」
まさかのフェニゴンもタイプだったのか
少し照れながら撫でてほしがった。
「撫でてもいいんですか?」
「い、いいんよ。」
「では失礼します。」
ラーメルが撫でるとラーメルは幸せそうな
表情をした。
「撫でるの上手いね。」
「ありがとうございます。」
撫で終えて右腕からフェニゴンを体内に戻した。
「これを踏まえてもう一度聞く
本当に家のパーティーに入る?」
「入ります。」
即答だった。
「私・・・・・・剣が得意なんです。」
「へぇー剣か。俺も得意だ。
・・・・・・それがどうしたの?」
「えっ?いやでも魔法の方が
・・・・・・使えないんです。」
ラーメルの顔が明るい表情から少し落ち込んだ
表情になった。
「魔法が使えない!?ふんっ!!!!
それがどうした?
俺はそんなもんを気にする程腐った心は
持ち合わせていない。
だから安心しろ。お前は俺の大切な仲間だ。」
「ほっ!?・・・・・・うっうううう・・・・・・・・・・・・。」
ラーメルは涙を浮かばせ鼻水を垂らし
小さな体で俺に抱きついて泣いていた。
「ありがとう。ズズー、ありがとう、ありがとう
ありがとう。」
「俺が必ず守ってやるからな。安心して戦えよ。」
ラーメルが嬉し大泣きしている様子を見て
俺は察した。
過去に何かあったと。
「じゃあもう遅いから家に送っていくよ。」
「ではズズー、よろしくお願いします。」
涙を手で拭いたラーメルが俺にニコッと
笑顔を見せてくれた。
一瞬朝なのかと思わせるほどの明るい笑顔を。
そして歩き始めて10分・・・・・・
ラーメルが
「そろそろ私の家に着きます。」
「本当にここら辺であってる?」
「はい。」
人気が少ない通り。
立ち並んでいる似たような家。
あれ?なんか見た事のあるような風景。
「ここが私の家です。」
「え?」
ラーメルが指さした赤い屋根の家は
俺ん家の隣の家だった。
「ゴホンッ・・・・・・あの〜その隣の青い屋根の家
俺ん家。」
まさかのお隣さんだったとは思わなく
驚きを隠せなかった。
「お隣だったんですね。」
「うん、俺も今初めて知った。」
「では・・・・・・おやすみなさい。」
「おやすみ。」
『おやすみ』を言った時もまた明るい笑顔を
見せてくれた。
「ライルよ。あの笑顔癒されるな。」
「うん。俺もだ。」
家に入り服を脱ぎ早速風呂に入った。
「はっ!?」
俺の住んでいる家は木造で隣の部屋の人の音が
よく聞こえる。
しかもお風呂があるのは
右隣の家に住んでいるラーメル側だ。
もしかしたらラーメルのお風呂に入っている時の
音が聞こえるかもしれない!?
ポチャンッ。
「ふぅ〜いいお湯。」
((聞こえた!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!))
心の中でフェニゴンと俺は叫びまくっていた。
「やべぇライル。ワシすげぇ興奮してきた。」
「バカッやめろ火をだすな。」
フェニゴンが興奮して俺の体から
火が漏れでそうだった。
「もう耐えれん!!」
「バカーー!!」
ボッ。
フェニゴンの火が漏れ出てしまった。
その火が静かに燃え広がって行った。
(終わった。)
燃え広がったと言っても風呂場だけだ。
「「あっ。」」
「あっ。」
火はラーメル家の隅にまで燃え移った。
風呂に入っていたであろうラーメルが見えた。
そして俺もラーメルに見られ目が合った。
「キャッ!!」
「フェニゴン!?か、壁って作れるか?」
「ぁあ!?つ、作れるじょっ!!」
「龍火壁」
これで周りからは見られない。
俺はラーメルの家の風呂場と俺ん家の風呂場を
ドラゴンの真っ赤な火を個体にして繋げた。
そしてラーメルは腕では隠しきれないほどの
大きな胸を隠し、
座って股をもう片方の腕で隠していた。
これはもう脳内保存するしかないだろう。
「ジロジロ・・・・・・見ないでくださぃ。」
「ご、ごめんっ!!とにかく火を消さ・・・・・・。」
「その火ならこの壁作るのに利用した。」
ラーメルは頬を赤く染め恥ずかしがっていた。
何か申し訳ない事をしたなと俺は頭を下げた。
朝になり・・・・・・。
ガチャッ。
「お、おはようラーメル。」
「おはようございます。ライルさん。」
朝っぱらから気まずい空気が流れていた。
当然だろう。昨日あんな事があったのだからな。
「あ、あの・・・・・・昨日は本当にすまなかった。」
俺は深々と頭を下げラーメルに謝った。
決して許されると思ってはいない。
「そんなに深く謝らないでください。
私はあなた達に感謝しているんです。」
「え!?」
「私あなた、いいえ、
ライルさん達のパーティー勧誘のポスターを
見たんです。
そして書いてあったこの一言に感動したんです。
その一言とは『魔法使えない人でもOK』
という一言です。
私は少し前にとあるパーティーに誘われました。
そのパーティーとはライルさんが
追放されてしまった『ザナドゥ』の
パーティーです。」
「うそだろ、まさか?」
『ザナドゥ』という言葉を聞いて俺は目の色を変え少し怒りが
出てきた。
「我ながらパーティーの為に貢献したきたのに
私が魔法が使えないとわかるや否や
ザナドゥはパーティーから私を追い出し、
捨てました。
それだけでは留まらずに
私の魔法が使えない事を沢山のパーティーさん達に
ばらまいたんです。
そして私はパーティーに入る事が
出来なくなりました。」
「ザナドゥ・・・・・・あいつ改めてすげぇクズだな。
俺だけかと思ったらこんな可愛い女の子にまで
・・・・・・くっ!!!!!!!!!!」
「ライル。ワシも非常に許せん。・・・・・・・・・・・・。」
静かに俺とフェニゴンは燃えていた。
そしてラーメルによるとまだ続きがあるらしい。
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