プロローグ
初執筆です
残酷な描写はありませんが、“死”は扱います
至らぬ点も多々あるかと思いますが、私なりにがんばろうと思ってます
俺は、なにかみてはいけないものをみてしまったかもしれない。
放課後に何気なく登った学校の屋上。そこにはたしか同じ学年の、名も知らぬ不登校女子がいた。
今日は珍しく朝のホームルームに出席したと思ったらその後の授業に顔を出さなかった彼女。身長は少し低めで、艶やかで鮮やかな黒髪ボブに白いカチューシャが良いアクセントになっている彼女。
だが、問題は彼女が屋上にいる事でも彼女の容姿が優れている事でもない。屋上の、柵の向こう側に立っていた事だ。
「おい!お前…何やってるんだよ!」
この状況が理解できていないながらも、心からの声を振り絞った。
「…っ!?」
やっとこちらの存在に気が付いた彼女は、どこか悔しそうな、悲しそうな顔をしながら、柵を乗り越えて俺の方へと歩み寄る。
「ど…し…」
皆が帰ったあと、もう校舎には誰もおらず聞こえるのはグラウンドにいる運動部の微かな掛け声と烏の鳴き声だけ。にもかかわらずまったく聞こえない声を聞き取るために、少し、彼女の口元へ近づく。
「どうして…?」
「ど、どうしてって?」
「どうして私なんかを…」
やっぱり、みてはいけないものだったのかもしれない。映画で飛び降りを止めるシーンを観てよくこんなこと言えるな、なんて思っていたが、本当にこうなったら冷静な判断などできない。咄嗟に出た言葉があれだった。別に止めるつもりのセリフですらなかった。それでも俺はそれっぽく答える。
「そりゃ…あんな所にいたら止めるしかないだろ…?見捨てるなんてできないよ」
「あっそう…どういたしまして」
彼女はため息混じりに階段を駆け下りていく。こんな事を考える人の気持ちはわからないが、止められたら嫌な気持ちになるものなのだろうか。そんなに死に急ぎたいのだろうか。俺にはさっぱりわからないし、知らない。
彼女の考えている事も、これからどうなるかも。