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episode.6 勧誘






「貴方達は、見た目は山賊ですが、王族、元王国の戦士など、あまりにも不自然な集団に感じます。一体、皆さんは何者ですか?」


「俺達は、宰相ゲルアードルを倒し、このベスティアス王国を救う事を誓った革命軍だ」


既に、裏切り者が明らかになった現状でその名はあまりにも浅薄に感じる。正直、山賊が革命軍なんて目も当てられない。


「現在、陛下はゲルアードルの手により地下牢に囚われ、アシュレー殿下が王の代理を行なっています」


「ふん、あれが代理だと?あれでは、宰相の操り人形ではないですか」


フランネルが苛立ちを込めた言葉をガラルドにぶつける。


しかし、フランネルの言葉に答えたのはアヴェリーだった。


「その通りだ。私の弟、アシュレーは気が弱く、王の器としては未熟だ。それに、宰相が手を回し、自分に賛同しない者を消している。このままでは、ゲルアードルに国を乗っ取られるのも時間の問題だ」


うわぁ、召喚先の座標がずれてくれて本当に良かった。後は、上手く面倒事を避けて他国にでも逃亡するのが最前だな。


「ヨダカ様は、どうしますか?」


「は?」


考え込んでいて気付くのに遅れたが、この場にいる全員の視線が俺に集まっていた。ガラルドやアヴェリーでさえ、俺の発言を待っていた。


「殺そうとして言える事ではないが、お前の力があれば私達の祈願も叶う可能性が高まる」


「私らは、お前の部下みたいなもんだろ?」


「だよねー、命令断れないし」


なるほど、そういう事なら、答えは決まっている。


「断る」


「即答」


「予想は付くが、理由を聞かせてくれないか?」


「1つ、利益がない。2つ、命を危険に晒したくない。3つ、国を相手取るのなんて無謀過ぎる」


場が静まりかえる。


だが、ガラルドがその沈黙を破る。


「俺からも1つ質問したい」


「何だ?」


「お前は異世界人じゃないのか?」


「……何故、そう思う?」


どうして気付かれた。どこで、間違ったんだ。


「ゲルアードルが、異世界召喚魔法の魔法陣を使用する、とういう情報があった。それに、この世界に、死者を蘇生させる異能スキルは一度も発現されていない」


ぇ?そうなの?


「それは、歴史上一度も?」


ーーしまった。この質問は、俺が異世界人だと認めているような物じゃないか。


ま、バレて困る事はない……筈だ。正直、情報が少なすぎて何とも言えない。


「そうだ。それに、戦闘時にお前の放った桁外れの魔力、まともな魔力制御の鍛錬を受けたとは思えない。おそらく、戦闘経験もほぼ無いな」


たった一度の戦闘でどんだけ俺の事を言い当てるつもりだ。油断できないな。


「……」


「まぁ、お前が異世界人だと仮定して話す。異世界人を利用したいと望む国は多い。尚更、現在各国では多種族だけでなく、人間同士の戦争を目論んでいるのだからな」


「つまり、各国が実力者を血眼になって探している、という事ですか?」


「死者蘇生の異能スキルを持っていれば、各国の連中が喉から手が出る程に欲しいだろうな」


はぁ、溜め息しか出て来ないな。


「もしも、私達に協力してくれるならその後、お前の身を保護する事を王族の誇りにかけて誓う。勿論、出来る限りお前の身も護る」


「因みに、この中でゲルアードルを本気で倒せると思っている方は何人いますか?【手を上げて下さい】」


手が上がった光景を見て、俺だけじゃなく、冒険者とフランネルも含めて溜め息を吐いた。


「……ガラルドさんだけですか」


この結果に流石のガラルドも驚いて周りの仲間達を睨み付ける。


つまり、それだけ革命は難しく、現状が追い詰められている、という事だろうな。


しかし、このまま他国に逃げて戦争に巻き込まれるのも勘弁なんだよな。くそ、ガラルドから与えられた情報の所為で無闇に動けなくなった。


「すみませんが、即答は出来ません」


「勿論だ。お前なりの答えを見つけてくれ」


アヴェリーはそう言っているが、見て分かる程に落ち込んでいる。ガラルドもそう見える。


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