デスゲーム
掲載日:2016/12/11
パチ、パチとリズムよく四角い盤面上に白と黒の丸い駒が置かれていく。限られた世界で無限の道すじを以て挑む狭義、そう囲碁だ。しかも、ただの囲碁ではない。負けたら私は消されてしまう。デスゲームなのだ。
思考が寄り道してる間にも盤面は進み、額に滲む汗の量は増えるばかりだ。
押されている、数多の同胞を打ち破り生き延びてきた私が負けようとしている。焦りを帯びつつも、その時の最善手を指すが、もはや趨勢は決まっていた。それでも少しでも長く生きたい、そんな意地で打ち続ける。
「ありません」
粘りに粘ったが負けてしまった。しかし、これから消されるというのに、私はどこか清々しい想いを抱いていた。絶対強者たる彼と指せたことが嬉しかったのかもしれない。
視界の隅に目をやる。羽出名人と書かれた名前の横に勝者を彩る王冠マークが出ていた。
薄れていく意識の中で私は思う。やがて第二、第三の私が現れるだろう。蓄積されたデータがお前を破る日を待っていろ。
そして、意識が闇に包まれた。
「第一回電脳対戦、勝者は羽出名人です!」




