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プロローグ2

受験生は何かと忙しいのです(言い訳)遅れて申し訳ないです

膨大な光の奔流が俺の体を包み込み、意識を失ってから一体どれくらいの時間が経ったのだろうか。

先ほど、エルドシアという神によって、自分が死ぬ前にいた世界から全く違う異世界へと送り出されたわけだが…

はたして、俺は一体どうなったのだろうか。体を上手く動かすことが出来ない。抵抗感が無いため、何かに拘束されているというわけでもないらしい。だがほんの少ししか身動きが出来ないのは何故だろうか。しかも心做こころなしか体が全体的に小さくなってるような?

「…………………」

声からして女性だろうか、誰かが何かを喋っている。

何かを喋っているのはわかるのだが、何を言っているのかがわからない。

日本語じゃないことだけはわかるのだが。

「…………………」

また、さっきの人とは違う声がする、これは男性だろうか?その人と声と共に身体からだが浮遊感に包まれる。

……もしかして俺この人に抱っこされてる!?俺ってそんなに軽かったか?いや、そもそも身長百七十以上あるから抱き上げるのは難しいはず……

そこでふと、さっきエルドシアという自称神が言っていたことを思い出す。

確か、死ぬ前までの姿じゃなくて、赤子としてこの世界に転生させるって言っていたような……

そうだとすると、今俺は赤ちゃんって事になるから……

少し落ち着いて、冷静に状況を整理する。

俺は死んだ。そして訳が分からないまま、自称神を名乗る女性に転生を持ちかけられた。そして三つの特典を貰った後に意識が途切れた……そして、今に至ると

そうだとしたら、転生自体は成功したということだな。

なら特に気にする必要はなさそうだな、それになんか眠いし……子供になるとここまで体力がなくなるのかね。

そう思いながら、俺は異世界に来て早々に意識を手放した。

異世界に転生してから半年ぐらいが過ぎた。

半年が過ぎたぐらいでで、この世界についてわかったことが幾つかある。

一つ目は、この世界には前に居た世界のように明確な月日を記すカレンダーなどのような物が存在しない事。

これは別に今のところ無くても苦労はしないだろう。

そしてもう一つ、この世界の言語については、どちらかと言えば英語寄りだったので、簡単な言葉程度なら覚えること自体は比較的簡単に出来たが、十数年間ずっと使っていた日本語を意識の端に追いやるのに苦労した。

言語を少し覚えたことによって自分の名前と、父さん、母さんの名前がわかった。

俺の名前はアクスとゆうらしい、父さんがステアリン、母さんがオリシア。

……なんか父さんの名前母さんと違っていささかかっこ悪い気もするが気のせいだろうか?

まあ、今わかるのはこれぐらいか。

やっぱり生まれて半年だと行動範囲が制限されてしまうな。

寝具の外に出ようとすると父さんか母さんに大体止められる。

何よりも赤ん坊だから体力が少ないのが欠点だな、大きくなったら体をちゃんと鍛えよう。

そう思いながら俺は寝ることにした。

異世界に転生してから幾年か経ち、俺は五歳になった。

五歳になってからは本格的に身体を動かそうと思い家の周りにある柵から出ようとしたら父さんに

『柵の外には危ない魔物がたくさんいるから出るな!』

と凄い剣幕で怒られてしまったので、今は家の庭で黙々と走ったり、筋トレをして体の基礎や体力を作っている。

それにしても毎回外に出て思うのは、自分の家以外、周りに家が建っている気配が無いのだ。

そのことを前に母さんに聞いたら

『私とお父さんはいろいろな場所ですこ~し有名だから、どこかでひっそりと暮らしたいって私が言ったら、お父さんが建ててくれたの』

なぜか息子相手に惚気話を聞かされた。

(てゆうか有名って裏の業界とかでの有名ってことじゃないよね!?)って幸せな顔をした母さんに、そんなことは聞けなかった。

そんなこんなで、俺には全くもって友達がいない。

友達どころか父さんと、母さん以外の話し相手もほとんどいない。

一ヶ月に何回か来てくれる行商人のおじさんぐらいしかいない。

……べ、別に寂しくなんかないんだからねっ!!

……やめよう、なんか凄く悲しくなってきた。

友達に関しては考えないことにしよう、うん。

よし、そうと決まったらいつものように鍛錬をしよう。

しっかし、この世界に転生してからというものの、どうも身体が軽く感じるんだよなー。

もしかしてこれがエルドシアさんの言ってた特典ってやつか?

あの人が言うには、俺が貰った特典の数は確か三つ。

身体能力の上限解放、大量の魔力、そしてあともう一つ……何だったけな?

まあ、覚えていない一つと、魔力の方は今は試しようがないな。

そもそも俺が魔力をどう使えばいいのかわからないし。

取り敢えず身体能力の上限解放についてわかったことは『鍛錬をすればするほど身体能力が上がる。』という事。

要するに成長チートだな。

たぶん今の俺はそこら辺の同年代の子供たちを上回る身体能力があるはずだ。

……周りに同年代の子供いないけどな!!

いつか同年代の人が居るところに行ったら友人まではいかなくても知り合いぐらいは作れるようにしよう。

と、そう泣く泣く思った五歳の昼下がりであった。

そして二年の月日が経ち、俺は七歳になった。

空白の一年間に何をしていたかというと――

六歳になった俺は父の言いつけを破り柵の外へ出ていた。ダメと言われるとやりたくなるあの原理である。危険だと言われていたが、どのくらい危険なのかを確かめたかったのだ。貰った特典の力も魔物相手なら躊躇無しに試せるし丁度良かった。思ったが吉日、善は急げということで俺は両親にバレないようにこっそりと柵の外へ抜け出した。

辺りは本当に木しかなく、THE・森という感じである。危険な魔物がいると聞いていたが、流石に家の周辺にはいないようだ。しかし本当に魔物なんているのだろうか?嘘も方便という言葉もあるし、俺を外に出させないための嘘なのかもしれないな。なにせあの過保護っぷりだし、俺に何かあったらと思うと心配なのだろう。

……なんか罪悪感が湧いてきたな。早く戻ることにするか、能力を試すのはまた今度にしよう。そう思って振り返ると木しかなかった。

あれ?ここどこ?もしかして迷っちゃった?……おいおい待てよベイビー。俺は死ぬ前は高校生だったんだぜ?いい歳した大人というわけでもないが高校生が迷子になるとか笑い話にしかならん。

少し冷静になろう。今回は本当に洒落にならない……前の世界ならいざ知らず、この状況で迷子になるとか自殺行為に他ならない。とっとと帰らないとまじでヤバイかもな。

今回は近くに迷子センターどころか建物一つすら建ってない。気がつけば日も落ち始めてるし。下手に行動すると更に迷う可能性あり、か……

詰んでね?正直帰る手段が皆目検討つかん。魔物がこの近くに本当にいると仮定すると初の外出でデッドエンドになりかねん。行動しないという選択は愚策か?いやでも、体力を温存しておいて助け待つというのも……ダメだ。考えがまとまらない。まずは来た方向へ戻ろう。なんとなくはわかるしとりあえずはなんとかなるはず。

少しの間歩き続けるが家に辿り着く気配は無い。なんとなく見たような景色ではあるがどこもかしこも似たような景色なのであてにならない。

どうすっかなこれ。大声で助けを求めるというのは安否が確認出来ない以上するべきではないだろうが、現状助けを求めるという選択肢以外完全に潰されてるんだよな。よし、ダメ元でやってみるか。

俺はしばらく出来る限り大声で助けを求めた。それはそれは大きな声で。喉が潰れんばかりに全力で叫んだし、たまたま近くに通りかかった人が聞いてくれているかもしれない。後は誰か来るのを待つしかないな。

しかしやけに静かだな。さっきまで鳥の鳴き声とか聞こえてたのに、今じゃ鳴き声一つ聞こえない。これはどうしたんだろうか。まあいいか、特に問題は無い。

体感時間で十数分くらい経っただろうか。後ろの方から何かが物凄い勢いで近づいて来る音が聞こえる。え、なにこれ怖い。

人が全力で走ってもこんな音がしないぞ……ということは人間じゃない?もしかしたらさっきの叫び声を聞いて何者かがその原因を排除しに来たのかもしれない。

流石に誰かが助けに来たっていう希望的観測は捨てるか。こうなったらやけだ。俺も全力で抵抗してやる。こんなところで死ぬわけにいかないしな。それにいざとなったら特典使って逃げればなんとかなるかもしれない。無茶かもしれないがやるしかないのだ。もう俺に残された道はそれしかない。

「ウォォォォォォォォォォォォォ!」

得体の知れない声が辺りに響き渡る。

ごめん。前言撤回。めっちゃこえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?

なんかさっき覚悟決めてたけど無理!

もう逃げるんだよぉ!日々の筋トレの成果を見せてやるぜ!

俺は声が迫ってくる方向とは逆に全力疾走を開始した。足のバネをフルに活用してすぐにトップスピードまで達する。そして近づいて来る得体の知れない声から本気で逃げる。

「ウォォォォォォォォォォォォ!」

マジかよ!?子供の体とはいえ毎日欠かさず体を鍛えて足の速さには自信あるってのに、全然距離が離れる気がしねえ!むしろ近づいてきてるまであるぞこれ!

あまり前を向いて走ってなかったせいか足がなにかに引っかかりつまづいてしまった。

しまった!速さが速さだけに勢いよく転がって全身めっちゃ痛ぇ!もう走れる気はしないな。

くそ!どうするどうするどうするどうする!?このままだと確実に追ってきてる奴にやられる!かといって打開策があるわけでもねえ!

何か、何かないか!この状況を切り抜ける逆転の一手は――

「俺の大事な息子に!手ぇ出そうとしてんじゃねえぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

聞き覚えのある声がしたと思った瞬間、俺の横を疾風が通り過ぎた。

後ろを振り返ると黒い塊のような「なにか」が爆音と共に木っ端微塵に吹き飛んでいた。

「大丈夫かアクス!どこか怪我はないか!?体調はどうだ!?具合が悪いとかは!?」

父さんが傷だらけの俺を抱き抱え、必死に安否を確認してくれる。

「傷だらけじゃないか!早く帰って治療しないと!」

安心した俺はそのまま眠るように意識を手放した。


目が覚めると俺はベッドに横になっていた。そうだ、俺は父さんに運ばれて……

ベッドから起きようとすると体が痛み、また横になってしまう。流石にあれだけ勢いよくすっ転んだらまだ起きれないか。

ふと手に違和感を感じると、寝ている父さんの手が俺の手をしっかりと掴んでいた。

よほど心配だったんだな。

言うこと守らずに勝手に行動して……調子に乗って馬鹿なことしたな。これからはちゃんと言うこと聞いて心配させないようにしないとな。父さんが起きたら説教か。まあそれだけのことをしたんだし当然の報いだよな。

この後めちゃくちゃ説教くらった。


こんな事件があって、この日を境に俺は決められた範囲内でちゃんと過ごすことにした。もう心配かけたくないしな。

だけどこの日から両親が更に過保護になったのは言うまでもない。

七歳になるまでは毎日家の敷地内で出来る限りのトレーニングをする毎日を過ごしたのだ。


たぶん今後もこんな感じの投稿ペースになるかもしれませんが末永く(?)お付き合い下さい!

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