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『ヒトラーに憑依しました』

作者: 零戦






「……う……と……」

 ……誰だ俺を呼ぶのは?

「総統、大丈夫ですかッ!?」

「……む……」

 目を開けるとそこには外人がいた。誰だ? それに総統って……。

「気が付いたようですね総統。突然倒られたので驚きました」

「……誰だお前は?」

「何を言っているのですか総統? 私はゲーリングですよ」

 ゲーリング? あのドイツ空軍の?

「ゲーリング、俺は誰だ?」

「誰だって御冗談を……貴方はアドルフ・ヒトラーではありませんか」

 ……マジで?

「……済まないが鏡を……」

 俺は仮称ゲーリングから鏡を渡されて顔を見たがそこにはあのアドルフ・ヒトラーがいた。

 ……うそぉ。俺は日本人で日向虎樹ひゅうがとらきであだ名がヒトラーなんだけど……。後軍オタとアニオタなんだが……。

「本当に大丈夫ですか総統?」

「……済まないゲーリング。どうやらかなり悪い夢を見ていたようだ」

「はぁ、かなり唸っていましたから……」

「それで今は何年何月だ? 少し記憶が混乱しているんだ」

「今は1935年の四月五日です」

 確かぁ……ドイツが再軍備を宣言してから一月が経っているな。

「済まないが今の世界情勢はどうだ?」

「は、詳しく説明しますと……」

 ゲーリングが一つずつ説明してくれたが、殆どが史実と一緒だな。てことは俺は史実のアドルフ・ヒトラーに憑依でもしたんだろうな。

「最後に日本ですが……急速な工業発展をしています。再軍備の宣言後にいち早く我がドイツに対して戦車、戦闘機、軍艦を譲渡すると言っております」

「……は?」

 ……おかしくないか? 確か日本は二・二六事件の前だよな? 戦闘機とかドイツに譲渡したっけ?

「此方がカタログスペックになります」

「……は?」

 ゲーリングから紙を貰ったが……これは何だ?

 『八九式中戦車乙』。五十口径五七ミリ戦車砲、七.七ミリ機関銃、最大速度三八キロ、最大装甲五十ミリ。

 『九五式艦上戦闘機』。最大速度五二二キロ、十二.七ミリ機関銃四門、航続距離千八百キロ、低翼で固定脚。

『青葉型重巡洋艦』。ほぼ史実と一緒で譲渡は四隻。

「……これはいつドイツに到着するんだ?」

「今日の午後三時にキールに到着予定です」

 ……速ッ!?

「そのため総統に声をかけたのですが、総統が倒れていたので……」

「分かった。今すぐキールに行こう」

 そして俺ことヒトラーはキールに向かった。ほんとにどうなってんのこれは?




――キール軍港――


「……確かに青葉型重巡だ……」

 キール軍港には史実の青葉型重巡四隻と高雄型重巡二隻、輸送船六隻が入港していた。

「派遣艦隊司令官の古賀少将です」

「これは古賀少将。わざわざドイツまで御苦労でした」

『ッ!?』

 ……あ、日本語で喋った……てか気付いたらゲーリング達のドイツ語も普通に分かっていたな。

「……日本語を話せるので?」

「あ、あぁ。実は第一次大戦前にとある日本人とお会いしましてな。その人から発音、漢字、カタカナ、平仮名を習ったので」

 俺は咄嗟に嘘をついたが……明らか過ぎるかなぁ。

「ほぅ、そうでしたか。それでしたら一度日本に来られてはどうですかな?」

「今すぐ行きたいですとも」

『ッ!?』

 俺の言葉にゲーリング達は驚いているがまぁいいや。

「それにしても古賀少将。本当にこの重巡四隻を我がドイツに譲渡してくれるので?」

「はい。内地では他にも旧式の駆逐艦と小型空母も譲渡しようとする動きもあります」

「……成る程。そして見返りは?」

「工作精密機械の大量買い取りです」

「正直で嬉しいです。精密機械は大量に売らしていただく」

「ありがとうございます」

 俺と古賀少将は握手をした。しかし小型空母もだと? 確か小型空母は鳳翔や龍驤くらいしかないはずだが……まぁ譲渡してくれるのならいいか。レーダーも喜ぶだろうし。

「総統が日本語を習っているとは知りませんでした」

 短いが会談が終わった俺にゲーリングがソッと言ってきた。

「まぁ君らが聞くような事は無かったから私も言わなかった。我が闘争でもあえて書かなかったが改訂をしておこう」

「総統はそれほどまでに日本を信頼しておられるので?」

「彼等は極東の満州で当時の強国ロシアと勇敢に戦った。二百三高地や旅順攻防は有名だよ」

「……成る程。確かに日本は当時のロシアに一応ながら勝利していますからな」

 ゲーリングは感心するように言った。

「ゲーリング、これからは忙しくなるぞ」

「承知しております総統」

「早速だが、日本に行くぞ」

「に、日本にですか?」

「うむ、我がドイツに色々としてくれたのだ。その御礼を言いにな。君も来るのだ」

「はぁ、分かりました」

 日本来日を古賀少将に伝えると古賀少将は最初は驚くも快く快諾してくれた。

 ドイツの事はゲッベルスに任して、俺はゲーリングと数人の親衛隊を連れて極秘に日本へと向かうのであった。




――五月五日、日本横須賀――


「これが日本ですか。木造の家が多いですな」

「それは文化の違いだゲーリング。彼等は木造建築の技術は優れたものだが、空襲や火災を受ければ被害が拡大するな」

「必ずしも長所だけではないのですか」

 そして俺は当時の首相である岡田首相と面会した。

「岡田首相、先日は我がドイツに大変な贈り物をありがとうございます」

「いえいえ、そんな事はありませんよヒトラー総統」

 そう握手をした時、ふと隅にいた海軍軍人と視線が合ったが……あいつは……。

「足利……?」

『ッ!?』

 その時、向こうと岡田首相が反応した。

「……総統、人払いをお願いしたい」

 岡田首相はそう言った。何かあるよな。ということはあいつは……。

「部屋から出てくれないか? 少し岡田首相と話がしたい」

 俺はそう言って親衛隊とゲーリングを下がらせた。

「……ヒトラー総統、貴方は転生者……ですか?」

「……その通りです。私の名は日向虎樹です」

「ヒトラーなのかッ!? 俺だ、足利輝義だッ!!」

「……やっぱり輝義か……」

 あの軍人は友人のオタク仲間であった。

「お前は本当にヒトラーに憑依したのか?」

「あぁ。俺も吃驚だよ」

 まさか日本にも転生者がいるとはな、どんな架空戦記だ。

「ヒトラーって死亡フラグだよな……」

「言うな。せめてユダヤ人はエルサレムに国を作らせる予定だ。まぁ一種の追い出しだがな」

 俺は友人との会話に花を咲かせた。勿論、岡田首相ともだが。

「てか輝義。空母をくれるのは本当か?」

「あぁ、輸送船を改装した小型空母と龍驤だ」

「……大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。昭和十四年に雲龍型と隼鷹型の建造を開始して開戦予定日までに正規空母八、中型空母四隻を揃える予定だ。支那事変も回避するから費用は十分あるしな」

「……俺、日本が良かった……漫画も見たいしな」

「漫画ならあるぞ」

「何ッ!?」

「ほれ、東○projectの本だ」

「……これ、今までに何冊出ているんだ?」

「三冊だな」

「全部買おう」

「……総統閣○シリーズになるなよ?」

 その後、土産(漫画と抹茶。更に輝義がたまたまウォークマンとその充電器を二つ持っていたため貰えた)を手に入れて東京をゲーリング達と散策中に一人の女性とぶつかった。

「きゃっ」

「お、これは失礼したお嬢さん」

 ぶつかった女性は髪は黒のポニーだったが瞳は青色だった。

「……もしかしてハーフかな?」

「は、はい。父は日本人で母はドイツ人です」

「そうか」

「あの……ヒトラー総統……ですよね?」

「日本でも俺を知っているのかね?」

「ドイツに住んでいます。今は父の故郷である日本を観光していますので」

「そうか、名は何と言うかな?」

「エリカ・キリシマです」

「……そうか。エリカさん、また会える日があれば会いましょう」

 俺はそう言ってエリカさんに手を振った。

「……キザですな総統」

「言うなゲーリング。俺も恥ずかしいのだ」

 後に俺とエリカさんは再びドイツで会う事になるがそれはまだ先の話である。

 そしてドイツに戻った俺は軍関係者を集めた。

「陸軍は五十口径七五ミリ戦車砲を主軸にした戦車を作れ。装甲も七五ミリ程度だ。海軍は艦隊の編成及び機動部隊の編成だ。それと航空部隊の編成もだ。空軍は戦闘機の航続距離を千六百キロまでにしたのを開発し、四発爆撃機の開発も急がせろ」

『ハイルッ!!』

 取りあえずは頑張るとするかね。何とか生き残ってやるからな。

「ところで総統。今週の吸血鬼姉妹物語はまだですか?」

「後二日掛かるから待て」

 何故か東○の吸血鬼姉妹と動かない魔法使い、普通の魔法使い、人形使いはドイツ軍の中では人気だった。

 やはり吸血鬼や魔法使いは反応するところなんかね……。










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― 新着の感想 ―
[一言]  ドイツは地理的に石油が出る地域がイギリスの勢力範囲を通らないと輸入出来ないのがネックで、機動艦隊なんて維持出来ないだろうと思うのだが。  史実のルーデル等のエース達を集めて最新鋭の兵器を預…
[一言] 胸熱すぎる… 続編希望!!
[一言] ユダヤの国を作るのではなく、日本が引き取るというのはどうでしょうか。
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