伍 ~豊かな生涯と裏切りの裏表~
雨が降ってきた。
気づいたら、すでに8時を回っていた。
彼女たちを誘ったのは、午前中。
集まる約束した時間は3時。
それから、5時間もたったというのか。
まず、この地図に記載されているところ自体、遠い。
ここまで来るだけで、一時間はかかっている。
でも、やっとたどり着いた。
初めて来たけど、全く人気がないところだ。
さっきまでいたお店の街は、発展途上でビルが立ち並ぶが
今いるこの町は、まるで人と活気すべてが先ほどの街に吸収されたようだ。
少し歩くと、曲がり角が見えた。
「ここか・・。」
雨が激しくなってきた。
傘もなく、体に直に伝わる冷たさ。
人気もない路地裏に、雨の音で悍ましい活気が出る。
もう雨の音しか聞こえない。
天は我に味方したぞ!と、どこかの戦国武将が言っていたように。
夜から降る雨は、予想を早め、予想を上回る激しさで降っている。
それはつまり、“紛らわしい音が消える”ということ。
人を殺すには絶好のチャンスというわけ。
体を打つ雨は、寒さと共に恐怖を落とす。
だが、もうその恐怖もない。今、銃を握り締める。
曲がり角を曲がる。まっすぐ突き進む。
もう一つ。曲がり角。
携帯を取り出す。
雨で濡れながらも、確認する。ここだ。
この曲がり角を曲がったところに、バツ印がある。
少し入り組んだ路地裏。真夜中に行ったら迷いそうだ。
でも、この曲がり角を曲がった先は行き止まり。
完全に追い込んだ。もう、逃げられない。
あとは、この地図の指示が、本物だったらの話だがな。
この曲がり角を曲がれば・・曲がれば・・!
自然と息が荒くなる。くそ、やっぱり慣れない。
全てを捨てろ・・。悩みも何もすべて。自分を捨てろ・・。
独りを貫け・・。
よし・・よし・・。行くぞ!
赤い傘。
黄色い服を着た人物がそこに。
背中が見える。
自分の存在に気づいていない。
銃を構える。
あとは引き金を引くだけ。
そうすれば。彼女は戻ってくる。
そして、俺の“仕事”が終わる。
それから。電話口のあいつに。復讐をしよう。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
怖かった。だから叫んでしまった。
大丈夫だろう。どうせ誰にも聞こえない。
引き金を。
・・・・・
・・・・・
・・・・・冷たい。寒い。
・・・・・あれ?雨・・止んだ?雨音が聞こえない。
・・・・・視界も真っ白だ。頭も真っ白だ。あれ・・・?
・・・・・あれ・・?
・・・・・冷たい。寒い。
―――― なんで・・お前がいるんだ。




