肆 ~喜怒哀楽と感情線の性→裏~
「へぇ・・。」
なんにもないところだなぁ・・。
ベッドに机に・・たった、10畳くらいの部屋か。
窓も、ベットの上にあるだけ・・。
カーテンが黒だし、部屋全体的に黒だし。
暗すぎる。
怖いなぁ・・まるで、監獄みたいな部屋だね。
「まぁ、君らしいかもね。」
殺し屋らしい・・かも。
さーって、感想はこれぐらいにしてと・・。
「あった、あった。」
というか、ちゃんと残してあるのも意外だけど。
契約書。最初に渡した・・・。
とりあえず、破いておく。
「ん~・・この部屋は、燃やさなくてもいっかぁ~・・。」
そうしたら、むしろ目立つか。
「面白そうだけどなぁ~。」
いけない、いけない。別に愉快犯ってわけでもないだし。
ちゃんと目的があってだしな。
とりあえず、契約書さえ消せば・・大丈夫・・。
「写真か。」
っ・・!
瞬時に目の前の写真立てを手に取り、地面に打ち付ける。
拳を強く握りしめていた。
あぁ、ダメだ。焦るな・・。抑えろ。
うまくいく。そうすれば、こいつもいなくなる。
そのために、育ててきた駒がいるんだから。
「ふっ・・はははっ・・!!」
絶対に許さない。あいつがいなくなれば、死んでもかなわない。
必ず消してやるからな・・!
「とりあえずこの写真は燃やしておくとして・・。」
なんだこれ。花瓶に生けてある花。
なんだっけ・・。この花。
またまた・・似合わない花を。
部屋にも合わないし、彼にも合わない花だな。
思い出した。
「季節にも合わないじゃん。」
花蘇芳
開花時期は確か、4月。
ピンク色の小さい蝶形の花がたくさんかたまって咲くとか。
確かに、蝶っぽいけど。
・・・・でも今、夏だよ?なんでこんな花なんて買ったんだろう。
メッセージカードが花瓶の手前に置いてある。
ご注文ありがとうございます。残念ながら注文された花はありませんでした。
お詫びにこの花を送ります。花蘇芳という“季節のはずれの花”ですが。
あなたにぴったりなものかと。花言葉は「豊かな生涯」
踏み外すと、「裏切り」という言葉もありますけどね。
Flower Shop ~Misty Blue~
「なんだこれ。変な花屋だな。お詫びに季節はずれの花を贈るか?」
いいや。これは別に関係なさそうだし。
せめてこれだけでも、彼がいたという存在証明にしてあげよう。
「豊かな生涯」、踏み外すと「裏切り」になる・・。
変だけど、面白い花屋だな。たしかにぴったりだ。
ぴったりすぎるほど。
・・・。
さて、彼女に電話をかけようかな。
「あ、もしもし?お久しぶりだね。・・あ、そうでもない?あぁ、ごめんごめん。君まで怒らないで。
君と僕の仲でしょ。うまくいくって。・・・大丈夫、ちゃんと返すって。」
・・・裏切りなんて。最初からしてないしね。
―――裏切ったのは君だからね?




