參 ~楽観視と悲観視の投影→表~
「え?携帯?」
「あぁ。新しい機種にね。」
すると、呆れ顔で彼女は答えた。
「やっとその気になったの?今は、スマホの時代だって。ね?」
彼女は隣にいる子に問いかける。
「あ・・そ、そうだね。私、スマホじゃないけど・・」
少し、驚きながらも答える。
「えぇ、あんたも!?二人とも時代遅れね~。」
「・・・なぁ、その子誰だ?」
「今頃かよ・・いつ尋ねるか、逆に気になったよ。」
たしかに、そうかもしれないが。
お前がいきなり「あんたは何買うの?」って訪ねたからタイミング逃したんだろうが。
「あ・・あの。わ、私、そ、その・・えと・・」
いくらなんでも挙動不審すぎないか・・?
「んー・・極度の人見知りだからなぁ・・ま、この際名前なんてどうでもいいでしょ?」
「なんでだ。」
「だって、あんたが私と買い物するなんて、この期一生ないと思うし。」
確かに。俺から誘うなんて珍しいだろうし。
ましてや、俺から「ちょっと買い物に付き合ってくれ」なんて・・。
この期一生ないだろう。
にしても・・この子か・・。
「でも、私は嬉しいよ!なんたって、あんたがありえない程珍しく自分から誘ったんだからね!」
「うるせぇよ。」
なんとなく恥ずかしいだろ。
「な・・仲いいんだね・・やっぱり。お・・幼馴染だもんね・・」
「もちろん!ま、悪友だよね。」
「悪友・・そうだな。仲良く見えるだけだ。・・お前なんで知ってるんだ?」
すると、その子はまた焦りをみせる。
ずっと、彼女を見ている。
「ん?私が言ったんだ。そりゃ、勝手に誘って見知らぬ男に合わせてもあれだろ?」
「あ・・その・・そ、そうです。」
俺が電話で誘ったあと、「あ、友達も誘っていい?」って言われて、いいと答えたが・・。
こんな挙動不審な子だったとは・・。
・・好都合だけど。
「さ、早く行こうよ。えーっと・・まずどっちから行く?」
「お前は、何買うんだよ。」
そう尋ねると、彼女はうーんっと唸る。
考えてないのか。
「私も新機種にしようかな・・あ、そだ、みんなで新しくしようよ!」
「え・・え・・あ・・そ、そうだね。い、いいかも・・。」
「急に決まったけど、大丈夫か?」
「大丈夫っしょ!ね!」
となりの子の肩を大きく叩く。
「う・・うん。」
なんでこんな、テンション高いやつと挙動不審な奴が釣り合うんだ?
どういう経緯で友達になったのか不思議だけど・・・。
そんなことどうでもいいんだ。
今は。
あの忌々しい携帯を捨てるんだ・・今すぐ。
黒い携帯を・・。




