第六章:修練開始!
第六章:修練開始!
目を覚ました途端に、跳ね起きる。
「姫様?どうして、ここに」
姫様が、目の前にいる?
「騎士様!良かったです。私は無事ですよ?」
ローザがこちらに言う。
よくわからなかった。
窓の外を見ると、もう日が昇っている。
「夢、だった?でも、それにしては……」
自分の記憶に鮮明に残っている血潮を思い出して、吐きそうになる。
頭がズキズキ痛む。頭に手を伸ばしてみると、そこには包帯が巻かれていた。
「サテ。姫様と騎士君。あとシエルとルージュ君、ファイン君以外は席を外してクレ」
イリーニが名前を挙げた以外の人を部屋から追い出す。
「いいカイ?騎士君。話は少し長くなるガ、どれも必要な説明だからよく聞きなサイ。
君が見‘モノ’には、いくつかの可能性が考えられるンダ。
一つは本当に単なる悪夢だったという可能性。
一つは君が無意識で‘予知’を行った可能性。
そして最後は何者かが、何らかの方法で君にその夢を‘見せた’可能性ダ」
周りの数名が驚きの声を上げている。
空にはもちろん理解出来ない。
そこで、ルージュが手を挙げる。
「博士、どれも可能性としては極低い可能性じゃありませんか?
そもそも、騎士には‘シルシ’がありません。予知など出来る訳ない」
また意味のわからない単語が飛び交うので、とうとう空が聞く。
「あの!ちゃんと僕にもわかるように話してくれませんか?」
イリーニが「ああ、悪いネ」と言って話し出す。
空も懸命に理解しようと耳を傾ける。
「我々、龍人族には必ず体のどこかに‘シルシ’と言う物があるンダ。
ちなみに僕は左の腿にアル。
シルシには『ある力』を集める事が出来る。そうして色々な事が可能なんだ。
出来ることは十人十色ダガ、人によっては未来を見たりも出来るンダ」
実際に周りの皆が空にシルシを見せる。
それは、場所は違うが、全てバッテンのような形をしていた。
やっと、言ってる事がわかってくる。
僕はこの世界の人間じゃないから、シルシなんてない。だから、それを使った予知なんて出来ない?
「やっと理解出来たようダガ、まだ問題はアル。
異世界間では、なんのイレギュラーが起きたって文句は言えナイ。
騎士君が何らかの状況化にいて、それを偶然起こした可能性も捨てきれないのダカラ。
もしそうじゃないとしてモ、それはただの夢に思えたカイ?」
イリーニが問う。
その問いに空は首を横に振る。
そう。あれは、ただの夢には思えない。
「ナラ、この城の中に、騎士君と姫様を落としいれようとする者がイル」
それを聞いて空は目を見開く。
「違う!そんな人はここにはいない!ここにいる人達だけでも、見ればわかる。
きっと、ここには良い人しかいない」
「ダッタラ、それは、近い未来に姫様が君の見た事と、同じ事になる事を意味スル」
その場にいる皆が固まる。
博士は正しい事を言っている。そんな事、僕にだってわかる。
イリーニは空をジッと見ている。厳しい眼差しで。
「そんな事……」
空が呟く。全員が空を見る。
「そんな事、僕がさせない。させるかよ!
僕が、姫様を、この国を守る!その為に僕はここに来たんだ!」
声の限りに空が叫ぶ。
「なら、休んでる暇は無いな、騎士殿。起きて着替えて来い」
ブロウが間も空けないで空に言う。
「あっ。えっと、はい!」
空が返事をして立ち上がる。
「姫様。よろしいですね?」
いつも通り丁寧にブロウがローザに確認を取る。
少し考えた後、ローザは決意したように頷く。
「ではっ。これより、騎士強化の修練を開始する!
ルージュ、騎士殿。準備が整ったら訓練所に集合。騎士殿はシエルに案内してもらえ」
ルージュと空、シエルが同時に気をつけをして答える。
「はいっ!」
「はいっ!」
とうとうそれっぽくなって来たね!
よ~し、じゃあ張り切って行ってみますかっ!
って、行ってる側からなんてタイトル!?
次話 第七章:敗北