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Gate to another world  作者: 西木 和慶(※元・桜坂 だんご
異世界での日々~another days~
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第二章:迎え

第二章:迎え



そこにいた三人組がほぼ同時に膝を地面につく。

「姫様。わざわざこんな場所に来られる必要は無かったでしょうに」

青髪の男が突然、真面目な言葉で話し出す。

そのままピンク色の髪の女の子の目をじっと見て続ける。

「ここまでお越しいただいた後で申し訳ありませんが、この少年はケガをしていま

す。とりあえずは上に向かう方がよろしいかと」

ピンク色の髪の女の子、三人組に姫と呼ばれている女の子は驚いた表情で口に両手

を当てる。

よく見ると、その女の子は、髪の色に合っているピンクと白がベースの、ドレスの

ような物を着ていた。

「本当ですか!?大変です!早く運んであげてください。急いで手当てを」

慌てて三人組に指示を出す女の子を空が手を振って止める。

「ま、待って!君は、あの時、僕の部屋にいた女の子?」

三人組が一斉に姫と呼ばれる女の子の方を向く。

その三人を気にもせず、歓喜余る表情で空を見る。

「覚えて、くれてたんですか!そうです私です……」」

目が潤んでいる気がした。

「私です!約束通り、迎えに来ました!!」

その言葉を聞いた途端、急に体中の力が抜ける。

あれっ。力が入んないや……。

誰かが慌てて駆け寄り、倒れそうになった体を支えてくれる。


失われていく意識の中で、ずっと聞こえている声は、優しくて。

どんどん狭くなっていく視界の中にいるピンク色の髪の女の子は眩しくて。

消えていく思考の中で渦巻いている言葉は、ただ「眠い」という事だった。

そのまま空は意識を失う。


空は、いつもとは大分違う目覚め方をした。


その日の朝は、鳥の鳴き声で目覚めた。

気がついたら、自宅にあるベットとは桁違いに質のいいベットに寝ていた。

その部屋は、外国にある豪邸の部屋二つ分の大きさ程あるようなところだった。

目が覚めた時、とっさに空は「あぁ、僕は死んで、ここは天国なのかな」等と思

ってしまう始末だったりもした。

部屋を見渡して、大きな窓が目に入る。

その、今まで見た事が無い程巨大な窓から真っ赤な朝日が見える。

って、死んだわけ無いだろ。そういえば、あの女の子を見つけた?

「トントンッ」

ドアをノックする音。

「失礼します。あの、騎士様?まだ寝ていられるのですか?」

かしこまった口調で言われてるのはわかっているのだが、単純な疑問が声に出る。

「あの~。部屋を間違えてませんか?というか騎士って?」

やはり、寝ていると思っていたのか、急に声が聞こえて驚いた事が、扉越しでも容

易にわかった。

部屋がどうのって言ったって自分の部屋じゃないか。

自分の言ったことに矛盾を感じるが、ドアの向こうから聞こえた声が、空の思考を

かき消す。

「あっ、いえ!その……失礼します」

空の質問に答える事を忘れるほど焦っていたのか、そのまま部屋に入ってくる。

ドアを入って来たのは、メイドのような服装をしている自分よりも多少年上っぽい

女性だった。

さっきまでの焦りっぷりを少しも見せない落ち着いた口調で空に話しかける。

「よく眠れましたか?こちらに来て倒れてしまわれてから、二日も起きないので、

姫様が心配してらっしゃいます。後で面会の予定が取り付けてありますので、姫様

を安心させてあげて下さい。朝食の準備はできています。今、運んできますね」

ペラペラと一気に言われ、質問をする暇もなく、勢いでついうなずいてしまう。

そんな空の考えを露とも知らず、スタスタ部屋を出て行く。

姫様って、あの女の子だよね……。また、会えるのかな。

気がつくとそんなことを考えてる自分に少し驚く。

特に人見知りというわけではないが、初対面の人にこんな感情を覚えたのは初めて

だった。

「朝食を運んで来ました。入りますよ?」

まる二日食べ物を口にしてないおかげで、頭の中の感情は、簡単な一言に変わる。

「いただきます!」



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